越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●令和4年6月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、人口減少社会を見据えたまちづくりについての東武鉄道のダイヤ改正から見る今後の在り方についてのお尋ねでございますが。本市の人口は昭和33年の市制施行当時、約4万8,000人でしたが、昭和37年に東武鉄道伊勢崎線と地下鉄日比谷線の相互乗り入れが開始されたことに伴い、昭和50年頃まで急激に増加しました。その後も緩やかな増加傾向が続き、平成8年には30万人を超え、本年6月1日現在34万4,406人となっております。
 一方、近年の人口動態を見ますと、平成29年、西暦2017年までは出生数が死亡数を上回る自然増が続いておりましたが、2018年からは自然減に転じました。また、本市への転入と本市からの転出、いわゆる社会増減については、ここ数年約1,500人から2,000人の転入超過にありましたが、昨年は約400人の転入超過にとどまり、自然減、社会増を合わせ、全体で約430人の人口減となりました。
 本市の将来人口については、昨年4月からスタートした第5次総合振興計画基本構想において、計画の最終年度である2030年に約33万6,000人となると推計しています。さらに、2040年には約31万3,000人、2060年には約26万人となると見込んでいます。こうしたこともあり、基本構想では計画期間の10年を将来の人口減少、超高齢社会をはじめとする様々な課題をしっかり見据えて、そのことに備えるための大切な10年と明記しました。
 さらに、前期基本計画の中に将来の人口減少問題の克服と地方創生を目的とした、まち・ひと・しごと創生法に基づく地方版総合戦略を位置づけ、安定した雇用を創出し、安心して働けるまちをつくる。結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力を高め、快適に住めるまちをつくるという3つの基本目標を掲げ、様々な取組を実施しているところでございます。
 一方、人口減少のスピードがコロナによって加速したということはあろうと思いますが、この傾向は変わらず、日本全体の人口構想を見ても、とりわけ自然減が一層進んでいくことは避けて通れないと考えております。こうしたことを踏まえ、縮小、成熟の時代になっている社会環境の変化の流れが速くなっている、さらに社会情勢が不安定、複雑化しているといったことを念頭に、様々な事態を常に想定しながら、柔軟に、そして臨機応変に市政運営を行い、まちづくりを進めていく所存でございます。
 次に、バス路線の利便性についてのバス停の安全対策の取組についてのお尋ねでございますが。平成30年8月、横浜市において横断歩道をまたぎ、バス停留所に停車中のバス後方で横断していた児童の死亡事故が発生しました。この事故を受け、国土交通省ではバス停留所の交通安全上の実態把握及び安全性確保の対策を講じることとし、埼玉県では令和2年12月24日に、埼玉運輸支局において埼玉県バス停留所安全性確保合同検討会が設置されました。構成員といたしましては、埼玉運輸支局、一般社団法人埼玉県バス協会、埼玉県警察本部、国、県、市町村の各道路管理者などとなっております。
 また、検討会の役割につきましては、安全性の確保が必要なバス停留所を抽出し、基準に沿ってランクづけを行い、安全対策を実施するものでございます。基準につきましては、過去3年に停車したバスが原因となる人身事故が発生している、または横断歩道に車体がかかるバス停留所がAランク、横断歩道前後5メートル以内または交差点に車体がかかるバス停留所がBランク、交差点前後5メートル以内に車体がかかる、または地域の実情等に応じて抽出されたバス停留所がCランクでございます。市道の状況につきましては、Aランクが7か所、Bランクが1か所ございましたが、バス事業者と連携し、調整を図り、バス停留所の移設や廃止を進め、現在は全て解消されております。なお、この結果については、埼玉運輸支局のホームページ上で公開されております。
 また、その他バス停留所に対する安全対策として、これまで水路の蓋かけを行い、利用者が安全に待機できるような対策にも取り組んでまいりました。今後におきましてもバス利用者の安全性の向上に向け、関係機関などと緊密に連携し、バス停留所の安全対策に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、越谷市公共施設等総合管理計画についてのうち基本方針の改訂についてのお尋ねでございますが。平成27年に策定した越谷市公共施設等総合管理計画基本方針では、建築物の更新費用について、公的単価を基に積算し、平成27年度から40年間で2,472億円を要するものと見込みました。一方、施設の改修、更新にかけられる費用は、直近の過去5か年における本市の公共施設建設にかかる投資的経費の平均額から40年間の合計で1,940億円と見込み、40年間で保有する建築物の面積の22%以上を減らすといたしました。
 現在見直し作業中の基本方針改訂版では、計画の根幹となる考え方については変更しておりませんが、平成27年の計画策定時以降の公共施設の保有面積の推移や現下の財政状況等を反映した縮減目標値の見直しを行いました。その結果、建築物の更新費用は令和4年度から40年間で2,647億円を要するものと見込み、また施設の改修、更新にかけられる経費は平成27年から令和元年までの5か年における投資的経費の平均額から40年間で1,604億円と積算いたしました。このことから、今後40年間で39%の経費の縮減が必要となり、計画では保有する建築物の面積の39%以上を減らすという目標値を定めております。
 次に、諸整備事業の試算上の取扱いについてでございますが。越谷サンシティや現在整備を進めております(仮称)緑の森公園保育所、(仮称)桜井分署につきましては建て替えを予定する面積を基に、整備、維持管理費用を見込んでおります。3学園につきましては、PFI事業における積算額を、また校舎等の建設後は中規模修繕、大規模改修及び維持管理費用を見込んでおります。なお、(仮称)地域スポーツセンターは、市が建物の所有権を有していないことから本計画の対象外としております。
 今後も社会経済情勢の変化や財政状況等を的確に捉えながら適時見直しを行い、公共施設の適正な管理に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。私からは以上となります。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、学校施設の長寿命化と更新についてのお尋ねでございますが。学校施設長寿命化計画については、越谷市公共施設等総合管理計画第1次アクションプランに基づく個別計画として令和2年度に策定したもので、優先的に改修等を行う建物について、令和3年度から5か年の整備計画を示しております。この整備計画では、市内小中学校の建物154棟のうち80棟について、長寿命化改修、大規模改造等を行うこととしており、計画書で示された改修等の年間コストは約21億2,000万円、5年間では約106億円と想定しております。現在整備計画に示された建物のうち、(仮称)蒲生学園に関連する小学校2校は計画どおり改築が進んでおりますが、他の建物については未着手となっております。
 今後は、3学園構想関連事業、緊急を要する修繕・改修工事や課題となっている照明器具LED化、屋内運動場のエアコン整備等による財政負担の状況を勘案するとともに、燃料や建設資材価格の高騰、さらには人口の推移による施設規模の見直しなども見据えながら、市長部局と連携を図り、全庁的な取組として実施について検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、3学園構想の費用内訳についてのお尋ねでございますが。本年4月には蒲生小学校と蒲生第二小学校の合併を行い、新たな蒲生小学校が開校いたしました。また、小中一貫校整備PFI事業では、本年9月の契約に向けて手続を進めているところでございます。
 費用の内訳でございますが、(仮称)蒲生学園の工事費等で約92億9,000万円となります。施設整備の内容としては、小中学校兼用の新校舎、中学校用屋内運動場、小中学校兼用のプール、蒲生小学校北屋内運動場の改修、校庭、フェンスなどの外構、学童保育室の整備でございます。
 費用の内訳ですが、工事費として約80億6,000万円、設計・監理費として約4億9,000万円、什器備品購入費として約1億4,000万円としており、蒲生小学校校舎、南屋内運動場、プール等の解体・撤去工事費として約5億8,000万円としています。また、(仮称)川柳学園の工事費等については約38億3,000万円となります。
 施設整備の内容としては、小学校用の高学年棟校舎、柔剣道場、校庭、駐輪場等の外構の整備でございます。費用の内訳ですが、工事費として約35億円、設計・監理費として約2億3,000万円、什器備品購入費として約8,000万円としており、柔剣道場、駐輪場の解体・撤去工事費として約2,000万円としています。その他、事業者、初期費用15年分の維持管理費などで約24億3,000万円となります。
 このような各学園の工事費を合わせて、小中一貫校整備PFI事業の事業費として、令和4年度当初予算に債務負担行為額として156億円を計上したところです。
 なお、本事業費については、小中一貫校整備PFI事業に必要と想定される額を積算したものであるため、実際には事業者の提案に基づいた入札価格に加え、本市の要求するサービス水準の適合性並びに維持管理業務における遂行能力や事業計画の妥当性、さらに資金調達計画の確実性やリスク負担能力等を評価し、落札者を決定する総合評価一般競争入札方式により契約しております。
 今後も児童生徒が安全に過ごすことができる学校施設の整備を行い、令和8年度の学園の開校に向けて取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、国際理解・多文化共生の取組についてのお尋ねでございますが。市内小中学校における学びの現状については。中央教育審議会の初等中等教育における国際教育推進検討会報告において、国際教育を推進するための意義として、自己を確立し、他者を受容し、共生しながら発信し、行動できる力を育成すると示されております。また、日本ユネスコ国内委員会の外国人の受入れ、共生のための、教育推進検討チーム報告において、外国人との共生を進める意義として、日本人と外国人が共に尊重し合い、様々な課題に対して協働していくことのできる環境を構築することが重要であるとされております。
 本市においては、近年外国人児童生徒が増加していることに伴い、児童生徒の生活や学習背景が多様化しております。そのことを踏まえ、グローバル化に対応できる児童生徒の育成や、日本語を母語としない児童生徒の支援を重点施策として、第3期越谷市教育振興基本計画の中に位置づけております。市内小中学校では、国際理解や多文化共生の内容について、学習指導要領に基づき、学校の実態に応じた取組を行っております。具体的には、社会や外国語、道徳の授業において、児童生徒が複数の文化に触れることができる学習を展開しております。自国と外国を比較して、その共通点や相違点を知ることで世界に関心を持ち、広い視野から国際理解を深めようとする態度やお互いの文化を尊重する態度を育んでおります。
 また、オーストラリアの児童とオンライン交流等を通して、児童生徒が多様な文化や考え方などを理解し、肯定的に受け止めるとともに、英語によるコミュニケーションの中で、世界や自国の文化について、自分自身の気持ちや考えなどを発信することができるよう取組を行っております。
 さらに、総合的な学習の時間においては、関係機関から国際交流員や外国人等をゲストティーチャーとして招き、多文化共生の実現に向けてお互いの個性を認め合い、多様性を育むような授業を実施している学校もございます。
 教育委員会といたしましては、語学指導助手、ALTとの交流を生かした英語教育の充実に加え、日本語支援を必要とする外国人児童生徒への翻訳アプリ等ICTの活用事例の提供や日本語指導員による教育支援及び学校生活適応支援も行っております。今後につきましても、変化の激しい社会状況も踏まえながら、国の方針や動向に注視しつつ国際理解や多文化共生の取組の一層の充実に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、越谷の歴史について。「旧武州大沢駅貴賓室」についてのお尋ねでございますが。武州大沢駅は明治32年の東武鉄道開業当時には越ヶ谷駅という駅名でしたが、大正8年に武州大沢駅となり、その後昭和31年に北越谷駅に改称し、現在に至っております。北越谷駅に設置されていた貴賓室は、東武鉄道が昭和39年に発行した東武鉄道65年史に駅舎の一部に貴賓室が設けられていたことが記載されておりますが、越谷市史をはじめとする越谷市発行の書籍や市が保管している資料には貴賓室に関する情報がないことから、規模や内装、利用状況など詳細については把握しておりません。
 地域に残る文化財については、地域の歴史や文化の正しい理解のため欠くことができないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであると考えております。そのため教育委員会では、文化財基礎調査として、地域の方々や研究機関等と協力して各種の調査を実施しており、今後貴賓室に関する情報につきましても、その調査の中で内容把握や記録保存に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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