越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■鷹隠書屋(コラム)

政治や経済・文化・歴史などさまざまな事柄について、きくち貴光の考えや想いを随時載せます。なお、「鷹隠(よういん)」とは、きくち貴光の号です。

 

 

■議会改革について

 議会の存在がいま全国的に問われている。その最大の理由は「議会が何をしているところか見えない」ことにある。挨拶に訪れる議員個人の姿を見ることはあっても、「議会」の姿は見えてこない。議会がいつ行なわれているかも知られていないし、議会が開かれても興味も持たれない。もちろん我々議員が実質的になかば放置してきたようなものでありその意味で責任は重大であるが、事態は非常に深刻である。
 実際には年4回定例議会が開かれている。またそれ以外に臨時議会が開かれることもある。定例議会のうち3月議会は新年度の予算案について審査する場、つまり4月からの市民サービスをどのように行なうかを決める議会となる。主権者・市民からすれば、4月からの自分たちが得られる行政サービスの内容を確認(満足出来る内容か・出来ない内容か、ということも含めて)する場でもある。しかし、予算特別委員会の傍聴者はごくわずか。もちろん、通年を通して本会議そのものへの傍聴者は少ないのが現状である。
 その議会を改めなければならない。改革のコンセプトは「市民への発信」である。議会改革というと、とかく「議員の定数を減らす」ということを声高に叫ぶ議員やまた市民がいる。不必要に人数はいらない(正確には能力の無い議員は全くいらない)ので、減らすという選択肢も重要である。他方、本当に市民の声を拾い上げるにはもっと人数が必要ではないか、という議論もある。その意味で議員の数をどうこうするのは問題の本質ではない。大切なのは「議会が何を行なっているのか」を市民に発信することなのである。
 北海道の栗山町というがある。人口1万3000人くらい。破たんをした夕張市の西隣である。この栗山町は全国に先がけで「議会基本条例」という議会の在り方を規定する条例を制定した。そのキモは「議員による議会説明会の開催」である。議会では何が行なわれて何が決められたのか、その結果として住民生活はどうなるのか町の今後はどうなっていくのか、そういったことを「自分の支持者」ではない「住民」に対して地域ごとに議員がローテーションで説明に回っているのである。
 そのことにより、住民自らが町政のことを考え、自分たちで出来ることは自分たちでやる、また任せるべきところも白紙委任するのではなく結果がどうなるかも注視するようになる。現在、この「議会報告会」を開催する議会が増えてきた。議会に住民を呼ぶのではなく、住民がいるところに議会が出向く、のである。平日の昼間に行なわれる議会に傍聴者がいないのであれば、参加をしやすいように平日の夜間・土日に議会報告会を開けば良いのである。
 越谷でも桜井地区の6人の議員が始めてじき3年になろうとしている。大袋地区でも昨年からスタートした。議員がいない地区もあるが、そういう場所は議員の中から順番で開催すれば良い。市民も主権者として、積極的に議会の声を聞く姿勢を持ってもらいたいし、また持たなければ自分たちが納めた税金がどのように使われていくのかのチェックも出来ないと思われる。いないのであれば、参加をしやすいように平日の夜間・土日に議会報告会を開けば良いのである。
 議員は議会の一員として市民に説明をしなければならない。議会としての説明が出来ない議員は不要である、というところまできている。議員は説明が出来る能力を求められているし、また他方で市民にも、議員にその能力があるかどうかを自らが判断することも求められているのである。

(2011年1月3日)

 

 
 
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