越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■鷹隠書屋(コラム)

政治や経済・文化・歴史などさまざまな事柄について、きくち貴光の考えや想いを随時載せます。なお、「鷹隠(よういん)」とは、きくち貴光の号です。

 

 

■TPP参加推進について

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加についての是非が議論されている。TPPは貿易の自由化を目指す自由貿易協定(FTA)を柱に、関税のみならず経済システム全体を円滑化・連携化させる経済連携協定(EPA)である。2006年5月にシンガポール・ブルネイ・チリ・ニュージーランドの4ヶ国でスタートした。オーストラリア・ペルー・アメリカ・ベトナムの4ヶ国が参加を表明し交渉をスタートさせ、マレーシアも参加を表明した。
 日本は経済連携協定に関してシンガポールと2002年に結んだのを皮切りにアセアン諸国と順次締結。アセアンとは包括的な協定も結んだ。これ以外にはメキシコやインド・ペルーとも結んでいる。日本にとっての主要な貿易相手国はAPEC加盟国であるので、それらの国々との間の貿易自由化や経済システムの均質化は非常に有益である。実際にそれらの国との貿易額も10年前に比べて2倍・3倍と増えている。
 政府は現在、参加をするかどうかの判断をするための検討を行なっていると聞く。しかし貿易自由化に対して足並みは揃っていない。農林水産省は、参加の場合日本の農業は大打撃を受けるとして参加に反対。他方経済産業省は、不参加の場合自動車・電機産業は大打撃を受けるとして参加に賛成。それぞれが数兆円単位のメリット・デメリットを挙げている。そういった個々の事例はあるがトータルではGDPを数兆円引き上げるメリットがあるとされている。
 経済的な数値を見てメリット・デメリットを論ずることも大事であるが、本質はそこには無い。重要なのは参加をしない、とした場合日本は鎖国をする、という決断をするに等しいということになることである。食料自給率は40%、つまり60%は輸入に頼っている。自国の農業を守るということは重要であるが、現実に半分以上は輸入である。であれば安全確実に輸入出来る仕組みを整備しなければならない。また日本は産業立国である。高い技術に裏打ちされた製品は世界で通用している。自国の産業を保護するために日本製品に高い関税をかける、という手段を取られなくなればそれだけ販売は拡大するのである。
 また、参加を今決断しなければならない理由がもう一つある。現在9ヶ国ベースで貿易自由化を始めとしたルール設定が議論されている。ルールが固まったあとに参加を決定すれば、既に定められているルールに基づいて行動することが求められる。ならば最初から参加をし、ルール作りから参加をすることこそがより国益に沿う仕組みづくりが行なえる。残念ながら参加を表明していない現在ではオブザーバー参加も認められなかったという話である。
 日本という国が今後世界の中でもなんとかその存在を残そうとするのであれば、いまここでTPPに参加をし、国内の産業構造や社会構造をグルーバル時代に対応委出来る体制へと大変換させなければならない。それしか過酷な国際競争には打ち勝てない(すでに負けつつある分野もある)し、国としての安全も保てないことになるのである。

(2011年1月3日)

 

 
 
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