越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告


●令和元年9月定例議会


Q1-①.質問


 おはようございます。議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります5項目数点について市長、教育長に順次お伺いします。
 まず1項目めとして、運休中のバス路線について市長にお伺いします。議会初日に議場で報告しましたとおり、8月に福岡県太宰府市でコミュニティバスについて調査しました。太宰府市を調査地に選んだ理由は、福岡都市圏のベッドタウンであること、福岡県内の自治体の中では、最初に行政が補助して運行を開始したこと、複数の路線があること、一般的なバスのほかにワゴン車を改装した狭隘な道路を走る路線があることなどがあります。この太宰府市の交通事情ですが、鉄道は私鉄の西日本鉄道、通称西鉄とJR九州が走っています。西鉄には本線格の大牟田線から、さらに太宰府線も分岐し、市民、観光客の足となっています。このため、市外へのアクセス、また市外からのアクセスは容易ですが、駅から離れたところの交通の便はよくなかったというのが実情です。これは、バス路線がそもそも余りなかったという話でもあります。このため、市民の要望により約20年前からコミュニティバスが走り始めました。その後、路線の拡大も行われ、通常のバスとしての路線が6路線、ワゴン車を改装した地域サポート路線が3路線あり、これらが約7万2,000人の市民の足となっています。
 コミュニティバスを考える際、議論の一つに採算性があります。バスの運賃を幾らに設定するか、高くては乗りませんし、安ければ赤字が多く出ます。太宰府市の場合は、通常のバスは1回100円、地域サポート路線は、路線により異なりますが、1回150円と200円という設定になっています。ちなみに、福岡県では県内自治体に補助金を出していますが、その基準に収入は経費の25%以上というものがあるそうです。これをクリアするために、ワゴン車を改装した狭隘な道路を走る地域サポートカーが走る3路線のうち2路線は、地元自治会が回数券を購入したり、ワゴン車の車内に広告を掲載したりして、経費の25%以上の収入を確保するようにしています。太宰府市では、利用者の減少から運休となった路線はありませんが、バス路線を維持するために行政だけではなく、地元住民も自治会といった単位などで心を砕いていることがよくわかりました。バス路線の維持には、やはり地域の人たちに乗って守るという意識を持ってもらうことが大切だと考えています。
 さて、せんげん台駅東口からのバス路線が2路線、昨年7月から運休となっています。越谷北高周辺を回ってから市立病院へ向かう路線と、新方地区の大杉公園通りを走って松伏方面へ向かう路線です。このうち新方地区では、新方地区内公共交通導入検討協議会が発足しています。この協議会の現状についてお伺いします。


Q2-①.質問


 2項目めとして、ひとり歩きが困難な高齢者への対応について、現状と今後の対応についてお伺いします。7月に県内の他の議員とともに、入間市における徘徊SOS支援事業について調査してきました。入間市では、越谷市でも実施しているGPS端末を活用した徘徊位置情報サービスのほか、徘徊身元確認支援サービスを実施しています。徘徊身元確認支援サービスは、迷い人となった高齢者の身元確認の助けとなる物品を交付し、警察等に保護された際に、早期に身元の特定ができるようにすることを狙っています。具体的には爪Qシールという爪に1センチ四方のQRコードが印字されたシールの配布、かかとステッカーという、靴のかかとの部分に張る蛍光ステッカーの配布、さらに徘徊SOSキーホルダーというQRコードが印字されたキーホルダーを作成し、それを希望の世帯に配布しています。この身元確認の運用の仕方も説明していただきましたが、市内だけではなく、市外に出てしまうケース、さらに県外へも出てしまうケースもあるということです。そこで、運用では、例えば警察が保護することもありますので、地元警察署への協力要請、さらには他県の警察署への連携も図っているとのことでした。
 さて、認知症対策推進大綱が本年6月に国から示されました。こちらを見ますと、認知症対策について、さまざまな記述があります。この中で今回のテーマであるひとり歩きに関連する記述としては、ソフト面として、認知症の人が安全に外出できる地域の見守り体制づくりとともに、行方不明者になった際に、早期発見、保護ができるよう、既存の捜索システムを把握し、広域捜索時の連携体制を構築するとともに、捜索ネットワークづくりやICTを活用した捜索システムの普及を図る。ハード面では、認知症の人を含め自動車を運転することができない高齢者や自動車の運転を避けたいと考えている高齢者に、みずから運転しなくても移動できる手段を確保できるよう、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律により、地域の取り組みを推進する。高齢者、障がい者を初めとする誰もが安心して通行できる幅の広い歩道等の整備を推進する。踏切道に取り残された認知症高齢者等の歩行者を救済するため、検知能力の高い障害物検知装置や非常押しボタンの設置を推進するというものがあります。
 越谷市では、今後も高齢化率が上がり、結果として認知症、またその予備群の方がふえていくことが予想されます。ひとり歩きが困難になりつつある、あるいは既に困難となっている高齢者とその家族の方への対応は喫緊の課題です。現に迷い人の防災無線もかなりの数に上っていると思います。今月、9月21日は世界アルツハイマーデーであり、今月はその月間でもあります。このため、広報こしがややcityメールを活用しての情報発信を現在積極的に行っていることは承知していますが、改めて越谷市におけるひとり歩きが困難な高齢者への対応の現状と今後についてお伺いします。


Q3-①.質問


 3項目めとして、子育て情報の発信の工夫についてお伺いします。先日、野口和幸議員から同趣旨の質問がありましたが、私からも子育て情報の発信に当たってのアプリの活用という観点からお伺いします。7月に東京都町田市へ行き、子育て支援策として母子健康手帳アプリなどについて調査してきました。町田市では、インターネットやスマートフォンを活用したさまざまな取り組みを進めています。例えば子供の予防接種スケジュールを作成できるウエブサービスであるわくわくワクチン、子供の食事の栄養を考え、料理のレシピを公開しているクックパッドに町田市の学校給食のレシピを公開するなどしています。また、母子健康手帳アプリというサービスを2016年12月から提供しています。
 この母子健康手帳アプリを少し紹介します。妊娠、出産、育児期の家族を継続的にサポートするための情報を受信するだけでなく、通常の母子健康手帳の記録をアプリに入力できるようになっています。主な機能としては、まずホーム画面では、登録した子供の写真、年齢がトップに表示されます。画面を下にスクロールすると、制度、助成金などの情報が配信される自治体からのお知らせや子供のためにしてほしいことがわかる病院からのお知らせ、また産科医、小児科医、専門家監修の妊娠期、育児期のQ&Aなど、さまざまなコンテンツを見ることができます。このほか、成長の記録という画面があります。これは、日記形式で子供の様子を写真や動画などを使いながら簡単に記録することができる機能です。また、成長のグラフという画面があります。これは、子供の身長、体重を記録すると、発育曲線として自動的にグラフ化される機能となっています。他のアプリになりますが、通常母子健康手帳には予防接種の記録、色分けしたシールを張っていきますが、こちらはわくわくワクチンという別なアプリで記録を保存できるようになっています。このような情報を受信する機能、子供の成長を記録できる機能が評判を呼び、町田市ではアプリ登録者がどんどんふえてきています。「子育てするなら越谷」といううたい文句をより充実させる意味からも、アプリを活用した子育て情報の発信を行うことや子育て記録の保存ができるようにすることは有効かと思います。何よりアプリの利点は、母親だけではなく、父親も登録でき、家族間での情報共有や父親の子育てへの参加をさらに促進する効果もあると考えますが、アプリの活用についてお伺いします。


Q4-①.質問


 4項目めに、SDGsの普及と促進についてお伺いします。SDGsとは、2015年に国連に加盟する193の全ての国が合意した持続可能な開発目標のことで、Sustainable Development Goalsの頭文字をとって、SDGsと称しています。これは、誰一人取り残さないをキーワードに世界が抱える貧困、福祉、ジェンダー、経済、環境、平和など、あらゆる課題を途上国だけでなく、先進国も含めた全ての国を挙げて解決していく取り組みで、2030年までに達成する17の目標、そこから派生して169のターゲットと232の指標が設定されています。複雑化した現在の社会では、問題、課題は単体で存在するのではなく、むしろ別の問題課題とも関連性があるケースが多いと感じています。その意味では、さまざまな問題、課題をパッケージとして捉え、解決の道筋を考えていくことが必要だと思います。
 議会初日に報告したとおり、8月に北九州市においてSDGsの取り組みを調査してきましたが、北九州市ではSDGs達成に向けて社会、経済、環境という3側面を統合的につないで取り組もうとしています。社会という面では、人口減少、超高齢化の対応、生涯活躍社会の実現を図る。環境という面では、気候変動への対応、資源効率の向上を図る。経済という面では、持続可能な産業の振興を図ることとし、その3側面をそれぞれ社会と環境、環境と経済、経済と社会とを結びつけて取り組むことを意識しています。これにより、これまでの社会を変革しようとしています。越谷市でも過去の市長答弁で、今後SDGsに取り組むことを明言されています。そこで、順次お伺いします。
 まず1点目に、「官民連携プラットフォーム」についてお伺いします。正確には地方創生SDGs官民連携プラットフォームという名称ですが、会長を現在北九州市長が務めています。この官民連携プラットフォームに越谷市も昨年11月加入したところですが、現在の活動状況についてお伺いします。


Q4-②.質問


 2点目に、庁内での普及についてお伺いします。越谷市の今後の取り組みとしては、まずは来年度から改定を始める越谷市環境管理計画にSDGsの目標を反映していくこととしているほか、SDGsの17の目標がさまざまなまちづくりの施策にも結びつくことから、次期総合振興計画での位置づけなどを検討していく考えを示されています。しかし、SDGsの概念あるいはSDGsという言葉そのものの普及をまずは庁内で図っていく必要があると考えます。調査で訪れた北九州市では、市長が率先してSDGsという言葉を使うことにより、職員の意識にも浸透していったそうです。調査の折、市の総合計画や年度ごとの予算との関係について伺うと、政令指定都市である北九州市には約3,000の事務事業があるそうですが、今年度の予算ではSDGsの17の目標のどれが当てはまるか、事務事業ごとに当てはめる作業もしたそうです。こういったことは全庁的な認識、理解があってこそ行えるものですし、他方ではこのことによってさらに意識を深めたということもあったかと思います。そこで、SDGsを今後庁内で普及させていくことについての見解をお伺いします。


Q4-③.質問


 3点目に、市民・事業者への普及についてお伺いします。北九州市では産・学・官・民一体となってSDGsの普及、実践のために北九州市SDGsクラブというものを立ち上げ、会員に対する情報発信や、この北九州市SDGsクラブを通じたSDGsの普及啓発を行っています。また、小学校区単位に市内130カ所設置されている市民センターを拠点に、まちづくり協議会があるとのことですが、昨年度このまちづくり協議会に順番に回ってSDGsの説明を行ったとのことです。
 このように市民や事業者への普及に力を注いでいますが、その成果として、市役所に近い魚町商店街、アーケードにSDGsの横断幕を掲げているところですが、ことし1月に募集のあった第1回SDGsクリエイティブアワードで最優秀賞、ゴールドアワードを見事受賞しています。北九州市ではSDGsの概念、取り組みがしっかりと普及し始めているようです。今後国連が目標にしている2030年までにこの越谷市においても、市、事業者、市民、各種団体がそれぞれあるいは連携して行動し、実現を図っていくことが必要です。そのための第一歩として、市民や事業者への普及の取り組みについてお伺いします。


Q5-①.質問


 最後、5項目めに、水泳指導とプールの維持管理について、これは教育長にお伺いします。越谷にはオリンピックに出場した星 奈津美さん、足立夢実さんという水泳選手がいます。非常に誇らしいことです。スポーツの式典などでは折に触れてお二人の話も出ますので、子供たちの憧れ、目標ともなっている存在です。今回はそのお二人の専門である水泳を取り上げますが、先日も服部議員から指摘があったとおり、公共施設マネジメントの視点から、数年前より学校のプールの維持管理が課題として浮き上がってきています。学校という空間において一番利用頻度が低い施設が実はプールだとも言われています。公共施設マネジメントを考える中で、そのことを数年前、元行政職員で、現在主に行財政改革について研究されている南 学先生という方から伺いました。その際の事例にあった千葉県佐倉市に以前から調査のアプローチをしていましたが、今回夏休み前に実際にスイミングスクールで子供たちが授業を受けている様子も含めて調査することができました。佐倉市では、現在市内の小中学校のうち、2校が民間のスイミングスクールで授業を行っています。民間委託といっても形態はさまざまですが、佐倉市の場合はスイミングスクールの場所を借りる。スクールと学校との間の送迎、さらに授業を行う先生方を補佐する形でのインストラクターの配置が主な委託内容となっています。体育の授業として子供たちを評価する必要がありますから、先生方もプールに入ります。事前に先生が指導する部分とインストラクターが指導する部分の打ち合わせを実施し、それに基づいて授業を実施しているとのことです。この民間のスイミングスクールのプールを利用した場合の効果、メリットを佐倉市では以下の点を挙げています。水温、水質等プール環境の安全性、衛生性が維持向上する。屋内型のため、天候等の外部要因に左右されず、安定したカリキュラムの確保が可能になる。騒音の心配がなく、プライバシーが保護される。教員とインストラクターのチームミーティングにより、効果的な指導ができる。もちろん効果ばかりではなく、課題も認識されています。それらは民間プールまで児童生徒の移動を伴う。夏休み中の児童へのプール開放が行えなくなる。部活動への影響が考えられる。消防災害時の水利の確保が必要であるというものです。そこで、この佐倉市の事例を踏まえ、数点お伺いします。
 1点目に、水泳指導の現状についてお伺いします。越谷市内の45の小中学校にはプールが設置されており、例年6月半ばごろから水泳の授業が行われています。この水泳の授業ですが、子供たちへの指導においてどのような狙いがあるのでしょうか。学年によって異なると思いますが、その目標及び目標を達成するための指導方法についてお伺いします。さらに、その指導方法を先生方の間で共有する取り組みの状況についてもお伺いします。


Q5-②.質問


 2点目に、学校プールの管理の現状についてお伺いします。市内45のプールは、屋外プールが主流ですが、屋内プールの学校も数校あります。屋外プールと屋内プールとでは管理方法は多少異なるかもしれませんが、プール開きに向けての清掃から始まり、日常さまざまな管理を行っているかと思います。この管理の状況についてお伺いします。また、あわせてプールを授業として使用していない期間は、どのような管理となっているのかについてもお伺いします。


Q5-③.質問


 3点目に、民間委託についてお伺いします。民間委託といっても、佐倉市の場合では指導をスイミングスクールのインストラクターに全て任せるのではなく、先生も一緒にプールに入って指導する形をとっています。他の自治体では、先生はプールサイドで見守るというところもあるようですが、佐倉市ではプールを通じて先生と児童のコミュニケーションを図ることも重視しているとのことでした。このように指導という点から見て、複数の形がありますが、いずれの形であれ、水泳の授業に当たって先生の負担軽減につながっているようです。また、仮に民間のスイミングスクールを借りて水泳の授業を実施することができれば、その学校の老朽化したプールを除却することも可能になります。例えば人口増加の著しいレイクタウン地区では、以前から議会でも取り上げているように、学校が手狭になっています。もしそういった学校においてプールを除却できれば、その空間を利用して校庭を広げる、あるいは新たな校舎を増設する、そういったことも可能になります。そこで、水泳指導という点、またプールの維持管理という点からの越谷市における民間委託に対する見解をお伺いします。
 以上で1回目の質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。


 
 
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