越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告


●令和元年6月定例議会


Q1-①.質問


 議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります5項目数点について市長、教育長に順次お伺いします。
 改選後最初の一般質問となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、1項目めに本庁舎整備と防災力についてお伺いします。本庁舎整備について過去たびたび質問してきましたが、いよいよ実際の工事が始まり、2年後には新しい8階建ての本庁舎での業務がスタートする見通しとなっています。8年前の東日本大震災の日、午後3時過ぎに市役所に到着した私が見た光景、建物の外に市長、職員、来庁されていた市民の方々が皆避難していた光景が今も時々思い起こされます。これまでの議論の積み重ねにより、耐震性の高い庁舎建設の構想が進み、ようやく着工にこぎつけられたことは、非常に喜ばしいことと考えています。
 とはいえ、建設費用は決して安くはありませんし、この後の2項目めの質問でもありますライフサイクルコストを考えれば、財政的な負担は重いものがあります。しかし、それは市民の生活にとっての安心安全、安定の観点から見て必要なコストであるという認識も持っています。
 そこで、私のこの認識の妥当性を確認すべく、1点、防災力の強化についてお伺いします。首都圏を襲うであろう巨大地震の発生確率も上がっていると聞きます。完成前に巨大地震が発生しないことを願っていますが、完成した後には防災力というものはどう高まるのでしょうか。本庁舎が災害時の防災拠点、中枢となることは承知していますが、防災拠点としてどのような機能があるのか。さらに、防災力が現在の庁舎と比べてどれだけ安心度、安全度が高まるのか、それについてお伺いいたします。


Q2-①.質問


 2項目めに、公共施設のライフサイクルコスト削減に向けてお伺いします。公共施設の維持管理、更新ということについては、議会でも長年にわたって取り上げてきました。そこで今回の質問に当たり、過去の議会質問と答弁をもう一度読み返してみました。
 初めて議会で取り上げたのは、平成22年9月議会で、その年の7月に東京都調布市の公共建築物維持保全計画を調査したことを踏まえて、公共建築物の維持管理についてと題して3点質問しています。公共建築物のライフサイクルコストについて、「公共施設マネジメント白書」作成について、公共施設等整備基金についてがその内容です。この当時は、公共施設、公共インフラの老朽化による更新費用が莫大なものになるという認識が全国的にもまだまだ希薄であったと記憶しています。この半年後に東日本大震災が発生しますが、公共施設の耐震性や本庁舎整備ということは除いて、公共施設の維持管理、更新ということについて私は議会で平成22年9月議会以降、平成24年12月、平成25年3月、平成25年6月、平成27年3月、平成27年9月と取り上げ続けています。この4年間間隔があいていますが、これは本庁舎整備について特化して特に取り上げてきた関係もあります。
 さて、かつては公共施設はおおむね50年くらい、学校施設はおおむね47年くらいで建てかえを実施してきました。かつてというのは、私が議会で初めて取り上げた平成22年ごろまでの話です。そもそも法定耐用年数の設定がそうなっています。実は平成23年に国では公共施設の老朽化が今後どんどん進んでいくということを懸念して、全国の自治体に更新費用を簡便に計算できるソフトを提供しています。公共施設及びインフラ資産の更新に係る費用を簡便に推計するためのソフトというものです。この提供は、東日本大震災の翌月、4月のことのようですが、この動き自体は直接的には東日本大震災とはリンクしていません。
 さて、そういったソフトの提供は、かつてのように50年くらいで施設を建てかえる、学校を建てかえる、その補助金を国では用意できませんよということを暗に示すためであったというと言い過ぎですが、全国の自治体に問題をしっかりと捉えてもらいたいという警告を鳴らす意味があったとは言えます。実際にソフト開発に携わった会社の社長の講演を平成24年に聞いていますが、その席上、文部科学省が全国の学校の建てかえについて試算したところ、従来どおりの建てかえのスパン、47年くらいでは予算が回らない。60年ではどうか、70年ではどうか、80年まで使ってようやく建てかえの予算が工面できそうだという試算結果が出たという話を聞いています。
 こういった学校を初めとした公共施設の更新に莫大な費用がかかることが判明したことや、平成24年12月の中央道笹子トンネル崩落事故に見られるように、公共インフラの老朽化が問題となり、国では平成26年に全国の自治体に公共施設、公共インフラの現状把握と今後の対応を図ることを目的にして、公共施設等総合管理計画を策定するように要請し、交付税措置も行ったというのが経過になっています。
 越谷市では公共施設マネジメント白書の作成の準備を進めていましたが、交付税措置されることにより、公共施設のみならず公共インフラも含める公共施設等総合管理計画を平成27年3月に作成して、現在に至っています。この9年間の議会での答弁は、いずれ白書を策定する、いずれ更新費用を試算する、いずれ何々をするというものでしたが、時間の経過とともにそのいずれが順次実際のものになってきています。関係各課の多年の努力に敬意を表します。そして、現在はいずれアクションプランを策定する、個別の計画を策定する、それを今進めようとしているところまで来ています。
 そこで1点目に、第1次アクションプランについてお伺いします。私が議会で公共施設マネジメント白書作成の必要性を訴えてから9年が経過しようとしています。越谷市ではこの間、平成27年3月に公共施設等総合管理計画を策定し、さらに現在、以前から答弁のあったアクションプラン策定のためにその案に対してパブリックコメントを行っているところです。この第1次アクションプランについて、その位置づけ及び検討内容についてお伺いします。


Q2-②.質問


 2点目に、包括施設管理についてお伺いします。近年自治体が保有する公共施設の管理を一括で委託する包括施設管理委託というものが全国の自治体で取り組まれるようになってきています。私は昨年夏に、実際に取り組んでいる東京都東村山市に調査に出向きました。東村山市には200以上の公共施設があり、その管理業務には30種類以上あります。従来これらの管理に当たっては、750件ほどの契約行為を行ってきました。このうち450件ほどの契約を一本の契約にまとめて、民間事業者に委託することにしました。これが包括施設管理、包括施設管理委託と呼ばれるものです。
 東村山市の場合、作業は担当職員が1人、1年間にわたってかかりっきりで各施設の状況をチェックし、内容を精査し、実際に包括施設管理委託契約を結ぶに至ったそうです。通常契約を交わすための決裁文書の起案には、1件につき10万円程度のコストがかかるとされています。職員1人当たりの時間コストは、退職手当引当金などの福利厚生も含めると、どこの自治体でも1時間当たり4,500円前後かかっています。ちなみに越谷市でも行政管理課の計算では、同程度の額が出ています。決裁文書の起案に要する時間は、内容によってさまざまだと思いますので、個別の起案に要するコストに差はあると思いますが、東村山市が全体から試算したところでは契約1件につき平均13万円程度かかっていたそうです。一つの施設で複数の契約が行われるのが普通ですから、件数が多ければ多いだけそれだけライフサイクルコストの中の一般管理費がふえていくということになります。それを契約をまとめることによりスケールメリットを生かした契約金額の削減は一旦横に置きますが、契約を交わすという事務のコストという面からのコスト削減が図れます。
 今回の東村山市の事例でいえば、包括的な契約とすることにより契約を交わすという事務のコストの点から見ると、かかったコストはまず職員が1年かけて調査した人件費がかかっていますが、他方で従来450件の契約を個別に交わしていたものは、人件費ベースで見ると契約1件13万円、それが450件で合計では5,850万円ほどコストがかかっていたことになります。それを契約を一本にまとめましたので、相当なコスト削減が図れています。しかも東村山市では、債務負担行為を設定して契約期間を複数年にしましたので、途中の年では契約事務に要するコストも発生しないことになります。このように施設管理に当たっての委託契約のあり方を見直すと、事務コストの削減、ライフサイクルコストの削減に大きなものがあります。
 そこで、越谷市でも包括施設管理を検討してはどうかと考えますが、市長の見解をお伺いします。


Q3-①.質問


 次に、3項目めとして、羽田空港機能強化による越谷市への影響についてお伺いします。国の観光立国政策により、訪日外国人が増加の一途をたどっています。これにより首都圏の羽田空港、成田空港の旅客需要は増加傾向にあります。このうち羽田空港は、国内線、国際線を合わせて年間8,000万人以上が利用しています。1日の平均では22万人以上、これを1日平均1,200回以上離発着するフライトで国内外の乗客を運んでいる日本最大の空港です。そして、さらに増大する旅客需要に対応するために、現在フライト数をふやす計画が進められています。この計画の一環として、空港の機能強化を図るため、ターミナルの改装工事が行われていますが、来年夏の東京オリンピック・パラリンピック開催前の来年春に新たなターミナルの運用が始まります。実はこれにより飛行ルートの見直しも検討されており、越谷市上空もその飛行ルートとなることになっています。現状でも韓国や中国からの北米便が越谷市の北部を飛行していますが、これは上空1万メートルの高いところを飛行しています。このため日常生活には特段の支障はありませんが、それとは違うルート、違う低い高度のフライトを千間台の自宅周辺で見かけたこともあります。そのときは高度の関係で飛行機からの音もやや大き目でした。
 世界中のフライトを24時間確認できる便利なサイトがあり、それを使ってそのとき手元のスマホで調べてみましたが、そのときの高度は約3,000メートルほどでした。現在国が検討している新たな飛行ルートでは、越谷市上空を約1,500メートルの高さで飛ぶこととなっています。そこで、この新たな飛行ルートについて、越谷市域での市民への影響はどの程度あると見込んでいるのかについてお伺いします。
 また、近隣自治体では順次説明会が開催されているようですが、越谷での開催の予定についてもあわせてお伺いします。


Q4-①.質問


 4項目めに、水路に関わる諸課題についてお伺いします。先日大泊に住む市民の方から水路についての相談を受けました。その件につきましては、現在担当課で対応の検討を進めていただいておりますので、ぜひよりよい結果となりますことを願っています。その相談の内容というのは、自治会の中に水路が2本ある。この水路を長年2カ月に1度自治会で清掃している。しかし、自治会員の高齢化が進み、清掃活動がだんだんと厳しくなってきた。ところで、この水路は地域の公共下水道が整備された折、未接続の家屋があるためにふたかけができなかった。このため市に対して過去何度か未接続の家屋がある状態を解消し、ふたかけができるように要望してきたが、なかなか前に進んでいない。何とかしてほしいというものでした。このことから幾つかの課題が浮かび上がってきましたので、以下お伺いいたします。
 まず1点目に、ふたかけの現状と今後の見通しについてお伺いします。私自身複数の自治会からの要望を受けていますが、予算面からなかなか工事が進んでいないのが実情です。そこで、水路へのふたかけについて要望が現状ではどのくらい上がっていて、それらの対応は今後どのようになるのか、その見通しについてお伺いします。


Q4-②.質問


 2点目に、水路の清掃についてお伺いします。今回相談された市民の方の自治会では、水路の清掃、ヘドロをさらうということですが、自治会員が協力して行い、さらったヘドロを市に処分してもらっているとのことです。道路から水路脇におりて、細いU字溝をさらうという作業ですが、道路から下におりるのは年配の方にとってはかなりきついと思われます。それでも現状は市に清掃を要望するのではなく、自分たちで頑張っています。その場所は水路におりられるので、自分たちでということもできますが、構造上それができない水路も多くあります。その場合には市に清掃を要望するということになります。そこで、現状水路の清掃はどのくらい要望があり、どのくらい対応しているのかについてお伺いします。


Q4-③.質問


 3点目に、公共下水道未接続対策についてお伺いします。相談された市民の方は、非常によく法律を勉強されていました。下水道法ではと法が定めている内容を示されながらその方はお話をされましたが、下水道法では第10条として排水設備の設置等の定めがあり、それによれば「公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、排水渠その他の排水施設を設置しなければならない。」「一 建築物の敷地である土地にあつては、当該建築物の所有者」「二 建築物の敷地でない土地にあつては、当該土地の所有者」とあります。平成23年1月に策定された一般廃棄物処理基本計画(生活排水処理・し尿処理編)にも、設置は下水道法によって義務づけられているとあります。そこで、未接続の家屋や土地の所有者等に対してどのような対策を市では講じているのかについてお伺いします。


Q5-①.質問


 最後、5項目めに、新方川に架かる鉄道橋の土台保存について、これは教育長にお伺いします。この件については、昨年6月議会で歴史的遺構の保護と魅力発信についてと題した質問の中でも鉄道橋についてとして質問しておりますが、改めてお伺いします。
 新方川にかかる鉄道橋は、正式には浅間川橋梁といいますが、以前にもお話ししたとおり、上下線の橋梁のうち上り線は明治32年に東武鉄道が北千住駅より久喜駅まで開業したときから使用しているものです。この土台は、今も毎日たくさんの電車が通るのを支えていますが、新方川の河川改修に合わせた橋梁工事によって、じきに取り壊されることになっています。そこで、土台のれんがを保存してはどうかと昨年6月議会で取り上げたわけですが、実は土台のれんがの保存を提案したのは、市民の方からの相談を受けたのがきっかけでした。その市民の方から日本煉瓦製造という会社の話がそのときありました。
 明治時代に深谷にれんがを製造する日本煉瓦製造株式会社という会社が操業を始めました。明治21年、1888年のことです。この工場はつい最近、平成18年、2006年まで実際にれんがをつくり続けてきました。120年近く操業していたことになります。この工場で製造されたれんがによって、東京駅や迎賓館は建てられています。まさに日本の近代化を深谷で製造したれんがが担ってきたと言えますし、もとの工場の施設は現在国の重要文化財にも指定されています。
 新方川にかかる浅間川橋梁の土台のれんがが日本煉瓦製造株式会社のものであるかどうかは、解体した後で刻印などを調べてみないことには判明しないかもしれませんが、もし日本煉瓦製造株式会社のものであると判明した場合どうなるか。深谷と聞いたときに、郷土埼玉の偉人が皆さん頭に浮かぶと思います。渋沢栄一です。日本煉瓦製造株式会社は、渋沢栄一が立ち上げた会社の一つです。2024年から流通が予定されている新しい一万円札の肖像画に渋沢栄一が選ばれたことは、皆さんご存じだと思いますが、土台のれんががもし日本煉瓦製造株式会社のれんがであった場合、郷土埼玉の偉人、渋沢栄一と越谷市とがれんがを通じてつながるということになります。そういったことを期待しつつ、東武鉄道から土台の解体の後にはぜひれんがの提供を受けていただきたいところですけれども、その見通しについてお伺いいたします。
 以上、5項目の質問に対し、ご答弁よろしくお願いいたします。


 
 
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