越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成30年12月定例議会


市長答弁


 おはようございます。引き続いてご苦労さまでございます。それでは、ただいまの菊地議員議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、まちのブランディング化について、まちのイメージ「坂のないまち越谷」の発信についてのお尋ねでございますが。地域の魅力を発見、創造し、それを地域の内外へと広めることは、地域に付加価値を加えて観光客や転入者をふやすとともに、地域に誇りや愛着を持ってもらう効果が期待できます。その手法としては、地域が独自で持っているほかにはない魅力、例えば特産品や食文化、自然景観といった際立った地域資源を製品やサービスとして認知してもらい、地域の価値を高めていくことが一般的ですが、まちのありふれた日常、いわゆるそのまちならではのライフスタイルに着目し、目には見えない価値を地域の魅力として発信することも本市にとって有効であり、大きな可能性があると考えております。
 本市では、今年度から地域に根差したライフスタイルや生活することの幸せをテーマに、「こしがや」の多彩な魅力を発掘、編集する都市イメージ向上事業を新たに立ち上げ、まちのブランディングに取り組んでおります。本事業は、株式会社JTBとの包括連携協定を踏まえた取り組みの一つであり、交流人口の拡大並びに地域への誇りや愛着の醸成を目的に、冊子や映像を製作、発信するとともに、都心部においてプロモーションを展開いたします。
 具体的には、「こしがや」に住み、働き、学ぶ市民の皆様の何気ない暮らしと、そこで感じる幸せをテーマにした私小説形式の冊子と、市民の皆様がみずから出演する映像を製作する予定となっております。また、本事業の一環として、越谷レイクタウンにおいて、暮らしの中の誇りとあこがれにつながる参加型のイルミネーションイベントを本年12月22日に開催するとともに、来年1月26日、27日には東京駅において、都内で働き、遊ぶ若い世代を対象に制作する冊子や映像を活用した首都圏プロモーションを展開いたします。
 菊地議員さんからご提案のありました「坂のないまち越谷」の発信については、本市の高低差のない地形という特徴を生かしたブランディングであり、ありふれた日常にある当たり前の景観が、その切り口を工夫することで魅力的な素材となる可能性もございます。まちのイメージの確立は、戦略的かつ継続的に推し進めていく必要がございます。まず、本市の魅力を明確にするとともに、多くの皆様に認知していただき、その上で住んでいる人、訪れた人に幸せという共感が芽生え、地域の総合力が高まるようまちのブランディングに取り組んでまいります。
 次に、休止バス路線の再開に向けての財政的な措置についてのお尋ねでございますが。本市の公共交通は、市内の鉄道駅8駅からアクセスを基本にバス路線等が整備されており、越谷市地域公共交通網形成計画では、各公共交通機関の役割を明確にし、既存の公共交通網を活用することとしております。また、バス路線の維持、充実を図るため、広報こしがや等において公共交通に関する情報提供を行うとともに、バス停利用環境の改善など、バスの利用促進とバス利用者の利便性向上に取り組んでおります。「せんげん台駅東口から市立病院」線の休止については、既設バス路線と鉄道を乗り継ぎ、目的地に移動いただけるものと考えておりますが、「せんげん台駅東口から東埼玉テクノポリス」線の休止については、バス路線等が利用しづらい地域となることから、今後関係者との協議により、既存の公共交通網を活用し、バス停のある公共施設などを拠点とした持続可能な新たな公共交通の導入の検討を進めてまいります。
 お尋ねのバス路線を再開するため、運行経費の一部を補助金として交付するには、財政負担のほか、市内を運行するバス路線の収支状況などを把握した上で、補助対象とするバス路線の条件を整備する必要があると認識しております。また、本市だけでなく、東京都や都市部においてもバス運転手不足により、赤字路線のみならず、黒字路線についてもバス路線を維持することが困難となり、減便や廃止になっている状況が見られます。今後については、引き続きバス路線運行費補助やバス運転手確保のための支援策など、他の自治体が実施している事例等について調査研究を行うとともに、市民の皆様には既存の公共交通網を活用し、鉄道やバス路線を乗り継いで目的地に移動していただくよう啓発活動を行ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、福祉なんでも相談窓口についてのお尋ねでございますが。現在、本庁舎1階に設置している福祉なんでも相談窓口は、平成22年4月1日に福祉に関する相談やサービス提供を円滑、的確に対応するため開設いたしました。近年、福祉サービスの細分化などにより、市民の皆様にとっては福祉に関する相談やサービス提供の窓口がわかりにくく、特に高齢者の皆様には制度のはざまにある問題や複数の分野に重なっている問題は、どこに相談すればよいのか悩むこととなります。福祉なんでも相談窓口では、こうした悩みを初め、さまざまな問題に対し、まず職員がお話をじっくり伺い、課題を整理し、解決の方法を探るとともに、必要なサービスや制度の説明を行っております。さらに、申請手続や専門的な相談などに対しましては、担当課に引き継ぐようにしております。
 平成29年度の実績につきましては、窓口及び電話にて1,194件、1,750項目の相談がありました。その内容は、介護、生活保護・生活困窮、障がいなどの福祉に関する相談が上位を占めておりますが、子育てや保健医療などに関する相談や複数の分野に関係する相談も年々増加傾向となっております。また、相談者の年齢も10代から90代の方までと幅広く、60歳以上の方が全体の約6割を占めている状況でございます。今後につきましても、相談者が真に困っていることは何かを聞き取り、その悩みや生活課題の解決に向けた適切な対応が図れるよう努めてまいります。
 次に、地域福祉の今後のあり方についてのお尋ねでございますが。近年、人口減少、少子高齢化や核家族化の進行、地域のつながりの希薄化など社会環境が大きく変化する中、地域社会では80代の高齢の親と50代の無職の子供の同居世帯、いわゆる「8050」や介護と育児に同時に直面する世帯、いわゆる「ダブルケア」などさまざまな問題が同時に重なり、複合的な支援を必要とする方がふえております。また、みずから相談に出向くことが困難な方や地域において孤立する方、既存の福祉制度のはざまにあって解決が困難な課題を抱える方など、支援を必要とする方の状況もさまざまであり、地域住民の生活環境は複雑多様化しております。
 このような状況の中、国では来る2025年、2040年を見据え、地域共生社会の実現に向けた取り組みを進めており、改革に向けた取り組みの方向性として、大きく次の2点を示しました。1点目は、公的支援の縦割りから丸ごとへの転換です。これまでの公的福祉制度は、高齢者、障がい者、子供などを対象として支援が必要となる典型的な要因を想定し、それぞれの対象者ごとに整備し、充実を図ってきました。しかしながら、現在では個人や世帯単位で複数分野の問題を抱え、複合的な支援を必要とするといった状況が見られ、縦割りで整備した公的な福祉制度のみでは、根本的な解決に至らないケースが顕在化しております。制度、分野ごとの縦割りをなくし、横の連携を十分に図りながら、世帯の抱えるさまざまな課題に対し包括的な丸ごとの支援をしていくことが求められております。
 2点目は、我が事の地域づくりへの転換です。近年、人間関係の希薄化などを背景に生活不安やストレスが増大し、自殺やニート、虐待やひきこもりなどの社会問題が数多く発生しております。特にひとり暮らし高齢者が増加する中、孤立死は大きな問題となっております。これらの問題は、公的な福祉サービスのみでは対応が困難なものであります。地域において深刻な状況にある世帯に早期に気づくことができるのは、地域の見守り役である民生委員・児童委員や地域で暮らす近隣住民などであり、社会的孤立や制度のはざまの問題の解決に向け、よりよい地域社会を構築していくためには、地域住民の皆様一人一人が我が事として地域づくりへ主体的に参加することが求められております。地域福祉の今後のあり方については、この地域共生社会の理念を踏まえ、行政による福祉サービスのさらなる充実と住民相互の助け合い・支え合い活動の促進を両輪としながら、本市の地域福祉推進の理念である「すべての市民が生涯にわたり、すこやかに、いきいきと、人間らしく、安心して暮らすことができる福祉のまちを実現する」ことを目指す取り組みを進めてまいります。
 また、本市における地域共生社会の実現に向けた具体的な取り組みについては、来年度から取り組みを始める第3次越谷市地域福祉計画の策定プロセスの中で、十分な検討を行ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、「市民に役に立つ所」としての人材育成についてのお尋ねでございますが。越谷市人材育成基本方針について、市民にやさしい職員づくりについて、将来的な課題に対応できる職員づくりについてに関しましては、関連がございますので、一括してお答え申し上げます。本市では、職員の人材育成及び能力開発の柱として、平成15年に越谷市人材育成基本方針を策定いたしました。基本方針では、本市が求める職員像として、「市民と共に考え、行動する職員」、「自ら考え責任を持ち、挑戦する職員」、「広い視野と先見性を持った職員」、そして「市民に対し公正・公平・誠実に対応し、信頼される職員」という4つを掲げ、現在この基本方針に基づき職員研修を初めさまざまな取り組みを進め、人材育成に努めております。
 一方、将来的に地方自治体を取り巻く環境は、少子高齢化、高度情報化がさらに進展し、社会構造が変化することで、市民ニーズや行政の役割が変化することが予想されます。また、組織内部においても、いわゆる団塊ジュニア世代の退職などにより、職員構成も大きく変化していくことが見込まれます。私は、施政方針の中で、「行政は市民のためという認識を全職員と共有し、市政運営に全力で取り組む」と申し述べました。このため、職員は日々の業務を行う中で、まずは相手の話を傾聴し、ともに解決策を考えるといった姿勢が重要であり、そのための基本となるのが、常に市民に寄り添う心であると思っております。そして、時代がどのように変わっても、この寄り添う心は、市の職員として普遍的に持ち続けていかなければならないとても大切なものであると思っております。
 このことを基本といたしまして、将来にわたり行政運営を持続させるためには、各職場の業務に精通したベテラン職員やいわゆるスペシャリストが持つスキルやノウハウを組織の財産として共有し、次の世代に継承していくことが、これからも必要になってくると考えております。さらに、職員の世代交代を見据え、特に現在20代、30代の若い職員について、早いうちから仕事を任せる。そして、その仕事において一方向からだけでなく、さまざまな見方を持って課題を解決していくこと。このことを習慣づけることによって、先見性を持ち、将来の課題を予測しながら仕事を進める、こういった自律的な成長がこれからは必要になってくると考えております。人材育成というのは、決して一朝一夕に進むものではありませんが、このような私の思いを管理・監督職員とも十分共有し、将来をしっかりと見据え、今後も市政運営を行ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、子ども・若者の市政参加についてのお尋ねでございますが。総合振興計画策定の際に意見を聴くこと及び(仮称)子ども・若者会議に関しましては、関連がございますので、一括してお答えいたします。子ども・若者のまちづくりへの参加は、本市のまちづくりを推進する上では大変重要なことと考えております。そのため、市では市政への関心と理解を高めてもらうため、高校生を対象とした自治基本条例の普及出前講座や選挙啓発出前講座の実施などの取り組みを進めております。
 お尋ねの総合振興計画策定の際に意見を聴くことについては、本市の長期的かつ総合的なまちづくりの指針である第4次総合振興計画の策定時に、若者世代を含めた幅広い年齢層の意見を伺いながら策定していくことが必要と考え、13地区の意見を伺う地区まちづくり会議において、可能な限り若者や学生の委員選出を地域にお願いし、少ないながらも参加いただいた経緯があります。次期総合振興計画の策定に当たりましては、これまでの市民懇談会、地区まちづくり会議のほかに、新たな取り組みとして高校、大学の学生を対象とした懇談会を開催し、次世代を担う若者の意見を聴取してまいりたいと考えております。
 次に、(仮称)子ども・若者会議につきましては、本市では若者の意見を聴く場として、平成24年度から高校生や大学生などを対象に「市長とふれあいミーティング」を開催し、若い世代からの市政に関する意見、要望を継続的に伺っております。これまで、「越谷の未来」や「越谷のまちづくりのためにわたしたちができること」などのテーマに対し、若者らしい新しい発想による意見、要望もいただきました。
 また、越谷市、越谷市教育委員会、青少年育成越谷市民会議により、毎年、青少年健全育成啓発詩・作文集「か・が・や・き」を編集、発行しております。対象は小学校4年生から中学3年生までで、今年度は詩・作文合わせて623作品の応募があり、選考の結果、160作品が掲載されております。テーマを「未来に向けて考えること、日常生活や学校生活の中でチャレンジしていることや感じていること、大人に訴えたいこと」とし、子供たちが自分自身を見直す機会として、また子供たちが日ごろ考えていることを捉える貴重な機会となっております。今後もこのような取り組みを継続し、これからのまちづくりに生かすことのできるようなテーマを提案するなど発展的に活用してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、踏切についてのお尋ねでございますが。本市には、北越谷駅以北から春日部市境までの間に9カ所の踏切がございます。このうち4カ所の踏切を大袋北小学校、大袋東小学校、北中学校が通学路として指定しております。これらの踏切を渡る児童生徒に対しては、踏切内では他の車両が通行することから、歩道帯を1列になって通行すること、警報や遮断機がおりたら絶対に渡らないことなどの具体的な安全指導を行っております。また、特に交通量が多い踏切については、交通指導員や教職員による立哨指導を初めとして、PTA、自治会などのご協力をいただき、安全を見守っていただいております。さらには、児童生徒の安心安全な登下校のための取り組みとして、全ての小学校で年1回の交通安全教室を実施するとともに、交通事故が多いとされる5月、6月には、全校朝会や学級指導を通して交通事故の具体例を挙げ注意喚起するなど、継続的な安全指導もあわせて行っております。
 次に、幹線道路についてのお尋ねでございますが。市内でも特に交通量の多い国道4号バイパスや東埼玉道路を通行する児童生徒も多くいることから、各学校において交通安全教育を通じて交通ルールの遵守と交通マナー実践の習慣化を図るとともに、歩道橋の活用や交通指導員による2段階横断の立哨指導を行うなど、通学路対策に関する基本方針を具体的に定めた越谷市通学路交通安全プログラムに基づく対策を講じるよう努めております。
 また、交通状況の変化などによる通学路の変更や既存通学路のさらなる安全性の向上のため、防護柵の設置や新たにスクールゾーンの設定に関する要望を行うなど、関係機関との連携のもと、通学環境の整備についても随時実施しております。今後も児童生徒の安全対策を積極的に講じるとともに、各学校においては、引き続き徹底した交通安全指導を実施するよう校長会などで指導、助言をしてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、郷土芸能の普及についてのお尋ねでございますが。本市では、第2期越谷市教育振興基本計画の施策、「伝統文化を尊重し国際性を育む教育の推進」の主な取り組みに日本伝統文化推進事業の推進を位置づけております。これまで越谷市木遣保存会や八坂連、神明はやし連中、大相模後方はやし連中、下間久里獅子舞連中のご協力を得ながら、地域の教育力を活用して地域の特色や文化を大切にする心の育成に努めてまいりました。本年度も小学校5校が専門性を持った外部指導者に指導していただいております。郷土芸能に関する具体的な取り組みといたしましては、クラブ活動では小学校4校が里神楽、お囃子、獅子舞について、課外活動では小学校1校が木遣について取り組んでおります。これらの活動の成果を発表する場として、例年10月に日本文化伝承の集い、3月に郷土芸能祭を開催しております。また、小学生対象の社会科副読本「わたしたちの越谷」や小中学生に配布している「越谷市道徳教育郷土教材集」でも、越谷市に伝わる郷土芸能について学ぶ環境を整えております。
 教育委員会といたしましては、郷土芸能の普及という点について、今後も学校と地域との連携が深まるよう支援してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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