越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成30年6月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、新本庁舎の整備と財源についてのお尋ねでございますが。費用の概算について及び財源については関連がございますので、一括してお答えいたします。新庁舎建設については、基本計画で掲げた越谷市民の安全・安心な暮らしを支える親しみのある庁舎を目指し、平成29年1月から基本設計業務に取り組み、本年3月には新庁舎の基本的な内容を示した越谷市新庁舎建設基本設計をまとめたところでございます。基本設計における概算事業費については、総額約86億8,000万円とし、その主なものとして、新本庁舎の建設工事が約60億円、(仮称)市民協働ゾーンの建設工事が約10億円となっております。この概算事業費に対する財源計画の基本的な考え方ですが、基本計画に掲げたとおり、本市の財政状況を勘案し、特定の年度に一般財源の負担が偏らないよう予算の平準化を図ってまいりたいと考えております。
 具体的な財源計画として、市債については充当率75%の一般単独事業債、さらには平成29年度から創設された平成32年度までの時限措置である充当率90%の公共施設等適正管理推進事業債を最大限に活用し、全体総事業費のうち約8割を充当し、残りについて公共施設等整備基金と一般財源を充てる予定としております。なお、公共施設等整備基金をどの程度取り崩すかについては、今後の積み増しの状況や他の事業の兼ね合いなどにより、総合的に判断してまいります。いずれにいたしましても、今年度実施設計を進める中で、コスト縮減の可能性を念頭に置き、事業費を確定させた上で、より具体的な財源計画を検討してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、職員のワーク・ライフ・バランスの推進について、超過勤務縮減に向けた取り組みのお尋ねでございますが。本市における職員の超過勤務時間は、ここ数年横ばいという状況にあり、特定の部署や時期による差はあるものの、年間を通じてまだまだ一定量の超過勤務が行われているのが実情でございます。本市ではこの超過勤務を縮減するため、定時での退庁を促す「ノー残業デー」などの取り組みを実施しております。
 一方、他の団体では、職員の業務の進捗状況や超過勤務の状況を共有するために、ホワイトボードを活用したり、業務終了前に職場内で夕礼を実施し、業務の平準化を図るなど、さまざまな工夫により超過勤務の縮減に取り組んでいることは認識しております。本市においてもさらなる超過勤務の縮減を図るには、業務改善による業務の効率化が必要と考えております。それぞれの職場における改善の取り組みを促すため、職員個人の創意工夫によるアイデアを募る職員等提案制度を設けております。また、この提案制度をより活性化させるため、優秀な取り組みを行っている職場で職員を表彰する仕組みを平成29年度から導入しました。この表彰の審査の過程では、全職員による投票を実施することにより、多くの職員が業務改善について意識するきっかけづくりを行っております。このほか業務改善の手法やノウハウを取得するため、採用後六、七年目前後の職員を対象とした事務改善研修を毎年度実施しているほか、業務改善を進めるという取り組みとして、行政評価制度の活用を行っております。特に職員による内部評価に加えて実施している外部評価では、行政の制度や法令等に精通した専門家による公開ヒアリングを実施しており、これは職員の意識改革の面からも外部の視点を再確認し、みずからの業務を見直すよい機会になっているものと考えております。
 このようにそれぞれの職場において、業務の実態に即した業務改善の取り組みを行うこととすることで、行政サービスの維持向上を図りつつ、業務の効率化による超過勤務の縮減に努めております。今後とも超過勤務縮減のための方策について、他団体の先進的な取り組みなどを参考にしつつ、引き続き調査検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、勤務時間の弾力化についてのお尋ねでございますが。職員の勤務時間については、午前8時30分から午後5時15分まで1日7時間45分とし、消防や病院、保育所などは求められる機能、役割を踏まえ、交代制勤務あるいは時差勤務を実施しておりますが、複雑多様化する市民のニーズに柔軟に対応し、行政サービスの質の向上を高めていくためには、職員が生き生きと働くことができる職場環境であることが不可欠と考えております。そのため、本市では子育てや介護を担う職員に対しては、時短勤務などの制度を用意し、家庭と仕事を両立することができるいわゆるワーク・ライフ・バランスの取り組みを積極的に進めております。本年4月にはこの取り組みの一環として、全職員に「育児・介護両立支援ハンドブック」を配布し、全ての職員がワーク・ライフ・バランスの意識を持つことができるよう努めたところでございます。
 このような中、お尋ねの勤務時間の弾力化、早出・遅出勤務の実施につきましては、国を初め都道府県8団体、中核市6団体を含む市区町村30団体で導入していると伺っており、職員のワーク・ライフ・バランスの実践をさらに推し進める観点から、一定の効果が見込まれるものと考えております。
 一方、直接市民の顔を見て市民に寄り添って仕事を行うという基礎自治体の果たすべき役割を考えますと、実施に当たってはクリアすべき課題も多いと認識しております。したがいまして、引き続き本市職員のワーク・ライフ・バランスの現在の取り組みを進める中で、勤務時間の弾力化を既に導入している中核市から詳細な状況を聞き取るなどして、調査研究を進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、児童虐待を防ぐ取り組みについてのお尋ねでございますが。まず、関係機関の連携状況について、本市では児童相談所を初め警察署など11の関係機関を構成員とする要保護児童対策地域協議会を設置し、児童虐待などに関する情報の共有を図り、構成各機関の連携と役割分担により、適切な対応に努めております。本協議会では、情報共有と実態把握を目的として、実務者会議を毎月開催しています。また、特に関係機関の連携が必要な家庭に対して、早急に対応するための個別ケース検討会議を平成29年度は13回開催し、継続した見守りを行っています。このほかにも虐待の早期発見等のため、保育士や学童保育指導員等を対象とした研修を毎年行い、児童虐待の防止に努めております。
 次に、市民の役割についてのお尋ねでございますが。平成30年4月施行の埼玉県虐待禁止条例の中で、埼玉県民は虐待防止において県民が重要な役割を果たすことを認識するとともに、県及び市の虐待防止施策に協力するよう努めることとされました。現在、県において本条例に基づく虐待通報ダイヤル等の準備を進め、本年秋ごろを目途に運用を開始する予定と伺っております。越谷市としましても、虐待通報ダイヤルの運用等が具体化しましたら、市民に対し積極的に周知を図ってまいります。また、虐待と思われる事案が発生した場合の早期対応のための児童相談所全国共通ダイヤル「189」についても、ホームページ等だけでなく、児童虐待防止週間等の機会も捉え、引き続き周知を図ってまいります。
 さらに、保護者を対象に、いらいらすることなく子育てができるよう「どならない子育て講座」を実施するなど虐待の早期発見だけでなく、虐待そのものを発生させないための施策についても引き続き実施してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、家庭での虐待や育児放棄を防ぐ取り組みについてのお尋ねでございますが。妊娠期からの虐待予防については、平成28年度から埼玉県の妊娠期からの虐待予防強化事業実施要綱が改正され、妊婦健診や出産等に関与した医療機関が養育支援の必要性から児童虐待につながるおそれがあると判断した場合には、居住地の自治体へ情報提供することとなりました。これに伴い、保健師が妊娠期の早い段階から訪問支援を行うとともに、必要に応じて医療機関の受診にも同行するなど医療機関と連携した適切な支援につながっております。
 さらに、本年4月から開設した子育て世代包括支援センターにおいて、母子健康手帳交付の際に、全数面接を行っており、この面接で支援が必要と思われる方については、支援方法などを検討し、早期に対応する体制を図っているところでございます。また、本市では母親学級、両親学級、新生児訪問や育児相談など子供の成長、発達に応じた相談支援を行っており、これらの母子保健事業を通して支援が必要な家庭の早期発見に努め、早期に支援することにより、育児不安や育児困難から子供の虐待に移行しないよう取り組んでおります。
 さらに、医療機関や助産師会、訪問介護ステーションとの連携会議により、養育支援が必要な保護者に関する情報を共有し、包括的なサポートの実施により、児童虐待の予防に努めております。今後も妊産婦や保護者をサポートするさまざまな事業を実施するとともに、関係機関との顔の見える関係を構築し、妊娠期から子育て期において継続した支援を行うことにより、虐待予防に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

 次に、外国人観光客の誘致についてのお尋ねでございますが。昨年の訪日外国人旅行者数は、過去最高の2,869万人となり、その消費額は初めて4兆円を超え、4兆4,162億円となっており、インバウンド観光需要は今後も期待できる成長分野でございます。戦略的誘致策の立案については、インバウンド観光に取り組むに当たって、最も重要であると認識しており、マーケティングを強化し、観光地としての魅力や利便性を高めることで集客に結びつける効果が期待できます。そのためには、まず現状を把握し、分析する必要がございます。本市を含む草加市、八潮市、三郷市、吉川市及び松伏町の5市1町で構成される埼玉県東南部都市連絡調整会議では、平成28年度に広域におけるインバウンド観光を見据えた調査研究事業を実施しております。
 この事業では、外国人向けモニターツアー及び在住外国人アンケートを実施し、日本庭園花田苑や日本文化伝承の館「こしがや能楽堂」の施設見学並びに南越谷阿波踊りへの参加など日本文化に触れることができるルートを検討いたしました。また、平成29年度には試験的なアプローチとして、近年訪日旅行者が増加しているベトナムの旅行会社と連携し、日本を紹介するガイドブックに、越谷いちごタウンやイオンレイクタウンなど記事を掲載いたしました。このガイドブックは、現地の旅行会社39社と、その支店である84カ所で配布されております。さらに、今年度は埼玉県による外国人観光客実態調査が実施されます。この調査では、専門の機器を使用した常時観測及びアンケート調査を集計、分析し、本市における外国人観光客数や旅行消費額などが国籍や旅行目的などとともに公表される予定となっております。今後は、これらの成果を踏まえ、本市の状況に合ったターゲット国を検討し、思考と検証を重ねながら、効果的なプロモーションに取り組んでまいります。
 次に、翻訳アプリについてのお尋ねでございますが。官公庁が訪日外国人旅行者を対象に実施した調査によると、旅行中に困ったことの中で施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれないという項目に最も多くの声がございました。また、上位には多言語表示の少なさ、わかりにくさの項目があり、いわゆる言葉の壁を取り除くことは、インバウンド観光に取り組む際の大きな課題となっております。スマートフォンやタブレット端末を用いた翻訳アプリは、外国語に精通したスタッフがいなくても、その場で日本語を各種言語に翻訳し、また訪日外国人旅行者が話している各種言語を日本語に翻訳することができるため、相互の円滑なコミュニケーションについてメリットがございます。また、英語や中国語などの主要な言語以外についても対応しており、多様化するインバウンド観光需要に迅速に対応することが可能でございます。
 一方で、翻訳アプリの導入については、その整備及び維持に一定の費用がかかることや、サービスに合わせた翻訳の質の確保、さらには集客につながる効果的な活用方法などの課題もございます。今後戦略的なプロモーションを展開する中で、訪日外国人旅行者の本質的なニーズを捉えるとともに、自治体、民間企業、地域との連携も踏まえ、調査研究してまいります。
 次に、外国語による交通手段の情報発信についてのお尋ねでございますが。訪日外国人旅行者の消費動向は、個人旅行によるリピーターの増加などから、求める価値観に変化があらわれてきております。具体的には、これまでの中国人の爆買いと呼ばれる現象が一段落し、サービスや体験に基づく満足感に価値を見出すコト消費が注目されており、そのことに伴い、地域独自の文化や体験を求め、地方を訪れる訪日外国人旅行者は今後もふえていくと言われております。
 このような状況を踏まえて、昨年度埼玉県東南部都市連絡調整会議では、インバウンド観光を対象とした広域観光ガイドブック「SAITAMA RING ROUTE」を発行しております。このガイドブックでは、首都圏からのアクセスのよさを強みとし、圏域の生活文化を気軽に楽しみながら周遊するスタイルを提案しており、訪日外国人旅行者に人気のある渋谷、秋葉原、浅草や東京スカイツリーなどからの鉄道を利用したアクセスルートをわかりやすく表示しております。また、公共交通機関については、鉄道主要駅から目的地に至るバスなどの二次交通の充実及び多言語表示についても課題があり、交通事業者との連携を深めていく必要がございます。訪日外国人旅行者の観光の目的、楽しみはアジア圏だけでも国によって異なっており、さらに欧米諸国に地域が広がれば、より多様化いたします。それらを理解した上で、本市にとって最適なプロモーション及び受け入れ体制の整備について検討し、交通手段も含めた総合的な情報発信に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。


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