越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告


●平成30年6月定例議会


Q1-①.質問


 議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります5項目、十数点について順次市長、教育長にお伺いいたします。今議会の最後の質問となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず1項目めに、新本庁舎整備と財源について市長にお伺いします。これまでにも市役所本庁舎整備に関しては取り上げておりますが、ここへ来て新本庁舎のイメージも具体的に固まってきました。広報こしがやを通じて市民への情報発信も都度行われています。しかし、まだまだ市民の関心度や認識度はそれほど高くはないのが実態ではないかと思っております。私が考えるに、関連工事を含めて本庁舎を整備するのに一体幾らかかるのか、それによって自分たち市民はどのような負担をするのか、それらを自分のこととして受けとめていないからではないかと考えております。そこで、今回は整備に要する費用や、その財源について取り上げ、このことを通じて市民の関心度や認知度が高まるようにしたいと思っています。
 まず1点目に、費用の概算についてお伺いします。基本設計をベースにした現時点の事業費の総額は86億8,675万円と伺っております。これは、既に行われている基本設計3,888万円、今年度予算化されている実施設計の費用1億7,000万円や本庁舎南側に張り出している低層部の解体費、これは契約議案として詳細な数字も示されていますけれども、当初予算ベースでは1億8,000万円、また今後事業の進捗に合わせて、実際の8階建ての新本庁舎の建設工事や、その後の現在使用しているこの本庁舎の解体工事、また(仮称)市民協働ゾーンの建設工事や外構工事、さらには立体駐車場の建設工事など段階を経て、さまざまな工事が行われていくものの合計金額となっています。その合計金額全体が86億8,675万円ということでございますけれども、既に予算執行済みや、あるいは予算化されている部分を除き、各工事にどのくらい費用がかかるのか、基本設計をベースに試算されているそれぞれの工事ごとの金額をお示しいただきたいと思います。


Q1-②.質問


 2点目に、財源についてお伺いします。今回の一連の工事費用の総額は86億8,675万円ですが、公共施設等整備基金の現在の残高は、もちろんその額には達していません。平成22年9月議会で基金の積み増しを提案した際の残高3,000万円よりは相当額が積み増しされていますが、基金で大半を賄うには至っておりません。莫大な費用のかかる本庁舎整備の財源が非常に気になるところです。財源には国庫補助、市債の発行、基金の取り崩し、当年度の一般財源を充てる等さまざまな形がありますが、総額約86億8,000万円をどのように工面するのか、それぞれどのような見通しとなっているのかについてお伺いします。
 また、どのような財源内訳にしても、財政面から見たときに、市民サービスへの影響も懸念されます。市債を発行すれば、後年度の負担が重くなります。当年度の一般財源を充てれば、その年の他の市民サービスに影響が出ます。どちらにしても影響は避けられません。一番の理想は、既に必要な金額が基金に積まれていて、それを使っていくということですが、現状ではままなりませんので、市債の発行と一般財源からの充当についての基本的な考え方についてもあわせてお伺いします。


Q2-①.質問


 次に、2項目めに、職員のワーク・ライフ・バランスの推進についてお伺いします。越谷市特定事業主行動計画には、平成27年9月に実施した職員アンケートの結果が示されています。これを見ますと、回答者中40%以上の職員が子供を養育しています。また、10%強の職員に要介護者がいることになっています。さらに、配偶者の就労状況では、勤務形態は別にして、80%近くが就労している。つまり共働きだという結果が出ております。市役所は文字どおり、市民の役に立つところです。これまでに市民サービスの向上についてさまざまな提案をしておりますが、サービスの向上には業務の改善に合わせて職員の勤務環境の改善もまた必要だろうと考えております。
 そこで、1点目に、超過勤務縮減に向けた取り組みについてお伺いします。平成28年9月議会において、平成28年3月に開催された第10回全国都市改善改革実践事例発表会を視察したことを踏まえて、越谷市における業務改善運動の現状について質問いたしましたが、今回は昨年2月に開催された第11回の発表会で目にした新潟市と滋賀県東近江市の事例を紹介しつつ質問します。
 まずは、新潟市です。新潟市の発表テーマは、「超勤の見える化&縮減プログラム~働き方改革に向けて」というものでした。その取り組み内容は、業務内容を10分類し、何をどのくらい、いつするのかを見える化する。具体的にはホワイトボードに各自が記入するというものですが、これを行うとともに、1人で抱え込まない体制づくり等の超過勤務に対する意識のあり方を組織で共有化した。結果、超過勤務時間は、平成28年4月から11月において前年比55%削減され、職員の意識も「超勤ありき」から「定時退庁ありき」に変わりつつあるとのことでした。なお、従来超過勤務の管理項目は、時間だけによるものだったのを、目的を加え明確にすると、超過勤務縮減の検討材料になると考えたとのことでした。また、職員の意識を時間という数値のための削減から、自分の時間をつくるための削減に変えることにより、ワーク・ライフ・バランスの充実を目指しているとのことでもありました。
 次に、滋賀県東近江市です。東近江市の発表テーマは、「夕礼で時間外にめり張りを」というものでした。その取り組み内容は、集中力の切れやすい夕方に夕礼を行い、各自の業務進捗を報告し合う。その中で誰が何の仕事をしているかを把握し、負担が大きく偏っている部分はみんなでシェアするようにした。結果として、特定の職員に業務が偏ることなく、職場内の長時間勤務も軽減できたとのことでした。この夕礼という新しい発想での取り組みにより、情報共有の場や超過勤務時間の削減などの効果が期待できるだけでなく、さらに職場環境改善の一助にもなっているとのことでもありました。
 そこで、これら2市のように、越谷市でも超過勤務の見える化として、ホワイトボードに各自の業務や、その進捗状況を示すようにしたり、また夕礼で確認し合って、業務を特定の職員だけで抱え込んでしまわないようにするための業務の改善や課内のマネジメントの改善が必要であると考えますが、市長の見解をお伺いします。


Q2-②.質問


 2点目に、勤務時間の弾力化についてお伺いします。先日、細川議員からもあったように、昨年11月、総務常任委員会の行政調査で、富山県射水市を調査いたしました。射水市では、価値観、意識の改革、仕事の進め方改革、多様な働き方の支援の3つの視点から、ワーク・ライフ・バランスの向上を目指し、種々特徴ある取り組みを行っていますが、ここでは特に早出・遅出勤務を取り上げたいと思います。試行の後、平成29年7月から本格実施された早出・遅出勤務は、ワーク・ライフ・バランスのさらなる改善のため、職員の私的な理由も含めた勤務時間の弾力的な前倒し、後ろ倒しを可能にするものです。具体的には計8区分の勤務時間が設定されており、職員が個々の目的に応じて自由に選択することができます。仕事と生活の両立を支援する取り組みとして、職員からも好評であり、また細かい勤務時間を意識することで業務の生産性が向上し、試行段階における2カ月間の調査では、時間外勤務時間が前年同月比で23%縮減されたとのことでした。
 そこで、越谷市でも職員のワーク・ライフ・バランスの充実の一つの手段として、早出・遅出勤務の実施を検討してはどうかと考えますが、改めて市長の見解をお伺いします。


Q3-①.質問


 次に、3項目めとして、児童虐待を防ぐ取り組みについてお伺いします。全国で痛ましい児童虐待や育児放棄の事件が相次いでいます。NPO法人児童虐待防止全国ネットワークの調べでは、毎年50人以上の子供たちが虐待によって命を落としているとのことです。痛ましい事件として報道されるのは、年に数件程度に過ぎず、実際にはほとんど毎週のようにどこかで命を落としている子供がいるのが今の日本の現実なのです。本当に言葉にもなりません。
 そういった中で、埼玉県では議員提案による虐待禁止条例が制定され、本年4月1日より施行されています。この条例では、児童への虐待、高齢者への虐待、障がい者への虐待を禁止するとともに、その予防、早期発見などについて定めていますが、このうちの児童虐待について取り上げます。このことにより、条例の実効性をより高めるだけでなく、子供たちの命を守る、命を救うことの一助になればと思っています。
 まず1点目に、関係機関の連携状況についてお伺いします。県条例では、第4条に県の責務を挙げています。その内容は、「県は市町村に対し、福祉、保健、教育等に関する業務を担当する部局の相互の連携を強化し、児童等を守るための役割を主体的に担うように求める」。以下省略しますが、そのようになっています。言葉を変えて言えば、県から市は福祉、保健、教育等に関する業務を担当する部局の相互の連携を強化し、児童等を守るための役割を主体的に担うように求められているわけです。
 そこで、市ではこれら関係部局、さらには市以外の機関等も含めた中では、どのような連携を行っているのかについて、その現状をお伺いします。


Q3-②.質問


 2点目に、市民の役割についてお伺いします。県条例では、第8条に県民の役割を挙げています。その内容は、「県民は、基本理念についての理解を深め、県民と児童等及びその養護者との交流が虐待の防止等において重要な役割を果たすことを認識し、虐待のない地域づくりのために積極的な役割を果たすように努めるとともに、県及び市町村が実施する虐待の防止等に関する施策に協力するよう努めるものとする」となっています。越谷市民は当然埼玉県民ですので、条例で言う県民の役割を果たすことが期待されます。ただし、市民が市民の役割を果たすためには、市民一人一人が児童虐待を防止するために果たす役割を認識したり、また県や市が実施する施策に協力してもらうには、まずは市民への広報、働きかけが必要となります。
 県条例第12条では、啓発活動という規定もありますが、市としては市民に対してどのような広報、働きかけを行っているのかについてお伺いします。
 また、市民の役割を期待する中で、児童相談所への連絡番号である189番の普及の取り組み状況についてもあわせてお伺いします。


Q3-③.質問


 3点目に、家庭での虐待や育児放棄を防ぐ取り組みについてお伺いします。県条例では、第10条に児童虐待予防の取り組み、第11条に乳児家庭全戸訪問事業等による児童虐待予防の取り組みについての規定があります。これは、市町村が養護者に対して妊娠、出産、育児等の各段階に応じた切れ目のない支援を行うこと、また市町村が乳児全戸訪問事業等の実施に関して、各家庭への支援が適切に実施されるよう、県が何を行うかを規定しているものですが、これもやはり言葉を変えれば、市としてはこれらの取り組みを適切に実施していかなければならないということになります。
 改めて申し上げるまでもなく、昨今では妊娠した女性、また出産後の育児において、女性が社会生活上孤立しがちな傾向にあります。この孤立した状態、少なくとも気軽に相談できる相手がいないような場合、心理的な不安が高まり、不幸にして育児ノイローゼによる我が子への虐待が行われるというケースも散見されます。こういったことを防ぐ意味でも、妊娠、出産した女性へのケアがますます重要と考えますが、改めて市の取り組みについてお伺いします。


 
 
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