越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、災害時の対応について、被災者の心のケア対策についてのお尋ねでございますが。災害発生時には、救急、救助、医療、救護を必要とする多数の傷病者が発生するため、災害時における救急、救助、医療、救護体制を確立し、関係機関との密接な連携のもと、迅速かつ適切な活動を実施することが必要となってまいります。また、災害による精神的ダメージを受けた被災者の心のケア対策についても大変重要であると認識しております。越谷市地域防災計画では、災害時要援護者に対する医療対策として、被災者に対するメンタルケア対策を行う体制を整備するとともに、避難所への医師、保健師等専門家派遣体制の整備を図ることとしています。また、災害発生時には、精神医療対策として、避難所や応急仮設住宅等への巡回を行い、被災者の精神保健福祉相談等、メンタルケア対策を実施するとともに、地区センター等において精神保健上の健康の維持、回復のため、市民相談窓口を開設することとしています。
 昨年9月2日の竜巻発生時には、被害を受けた避難所に避難された方々に対し、越谷市医師会による訪問診療と市民健康課保健師等による避難所巡回健康相談を実施いたしました。訪問診療では、6日間で延べ53人の方に対して血圧の測定などを行い、十分な睡眠と食事の必要性について呼びかけを行いました。健康相談では、9日間で延べ82人の相談をお受けいたしました。健康相談の内容といたしましては、受診が必要など緊急で対応すべき方は当日対応されておりましたので、多くは高血圧等の健康管理に関することでございました。また、この巡回において、健康保持のためのチラシをマスクとともに配布し、避難所に手指消毒薬を配置するなど、保健活動を行いました。さらに、被災から時間の経過とともに、精神面での支援が必要と考え、10月から11月にかけて心の健康相談を7日間実施いたしました。相談は3件あり、眠れない、不安が強いなどの訴えが聞かれましたので、傾聴するとともに生活状況等を確認し、必要に応じ専門機関をご紹介いたしました。今後も、いつ起こるかわからないさまざまな災害発生時に対応できるよう、日ごろからの体制整備に努めてまいります。
 次に、動物愛護と動物救護本部についてのお尋ねでございますが。災害時における動物の救護体制につきましては、越谷市地域防災計画において、動物愛護の観点から、所有者が不明となったペットや負傷したペットの保護、避難所等におけるペットの適正な管理に関し、埼玉県等の関係機関と獣医師会、動物関係団体、ボランティア等と協力体制を確立することとしております。また、災害の発生を想定して、緊急時における動物救護活動等に関する協定書を越谷市獣医師会と締結するなど、動物の保護体制の整備も進めているところでございます。昨年9月に発生いたしました竜巻災害におきましては、県の春日部保健所から、ペットを収容するためのゲージ等を借用し、2カ所の避難所を設置するとともに、行方不明になったペットを飼い主がいち早く発見できるように、迷い犬、迷い猫の収容先である春日部保健所や埼玉県動物指導センター南支所との連絡体制を整え、市のホームページにおいて情報提供が図れるようにいたしました。また、越谷市獣医師会に所属する一部の動物病院においては、被災動物保護の観点から、被災者が所有するペットを一時的に預かるといった対応も行われたと伺っております。
 さらに、本年5月に、越谷レイクタウンで開催されましたレイクタウン防災まつりにおいて、災害時におけるペットの同行避難に対する飼い主の意識啓発を図るため、パネルや避難用備蓄品の展示等も実施したところでございます。災害時にペットなどの動物保護や管理の拠点となる動物救護本部を設置することについて、現時点では大規模な災害が発生した場合、埼玉県において県及び獣医師会、動物愛護団体による動物救護本部が設置されることとなっており、市は設置された動物救護本部と連携して対応することとしております。本市は、来年度からの中核市への移行に向け、新たに県から移管される動物愛護に関する業務等についても準備を進めているところであり、今後大規模な災害発生時における動物救護体制について、関係機関との調整を図りながら調査検討してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、サイレントタイムについてのお尋ねでございますが。大規模災害発生時におきましては、道路、鉄道などの陸路が寸断され、救援機関の活動が著しく制限されることが予想されます。そのような状況において、消防、自衛隊及び警察などのヘリコプターが重傷者の緊急搬送や緊急物資の輸送などの初動対応の大きな力となります。しかしながら、平成7年1月に発生した阪神淡路大震災において、倒壊建物などで生き埋めになった行方不明者の捜索に当たり、わずかな音や声を聞き分ける必要があったにもかかわらず、報道機関の取材ヘリコプターの騒音で聞こえず、救助活動の妨げになったという指摘がありました。このため、国の中央防災会議では、首都直下地震応急対策活動要領において、必要があると判断した場合は、関係機関と調整の上、行方不明者の捜索及び救助を容易にするため、航空機、重機等による騒音の発生を禁止するサイレントタイムの設定を行うことがうたわれました。本市におきましても、昨年の竜巻災害の際に、報道機関のものと思われるヘリコプターが上空を飛び交い、被災した自宅の片づけをしている被災者の方々のストレスになっていたと伺っております。今後につきましては、災害発生時において円滑な救助活動を実施できるよう、また被災された方々の心情にも配慮したサイレントタイムの運用について、埼玉県と連携し、状況に応じた報道機関への要請など、実施手順を含め、検討してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 続きまして、職員の災害発生時のストレス対策についてのお尋ねでございますが。東日本大震災の発災直後、自治体職員が直面したさまざまな業務の中で、家族や家を失った悲しみや、先が見えない不安など、住民の行き場のない感情が不平や不満となって職員に向けられ、対応に当たった職員及び派遣職員の精神面に深刻な影響を与えたということが報告されています。本市では、東日本大震災直後に、緊急消防援助隊を派遣したほか、復旧支援に当たる職員を派遣しましたが、必要な職員には帰庁後、保健師、看護師による面接を行いました。また、昨年9月に発生した竜巻災害では、越谷市立第二学校給食センターが被災し、職員2名がけがを負いましたが、竜巻という自然災害を目の当たりにした職員に対するストレス対策として、所属職員全員を対象にメンタルヘルスチェックを行い、必要な職員には面接を実施いたしました。大規模災害が発生した場合には、多くの職員が肉体的、精神的に過重な業務に従事することになりますが、職員の健康被害を防止するためには、心身の疲労度を適切に把握するとともに、セルフケアの積極的な取り組みが大切であり、これらの点が十分に機能できる体制づくりに努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、さらなる広域的協力体制についてのお尋ねでございますが。本市では、災害時に適切な応急措置を講じるため、県内外の自治体との間であらかじめ相互応援協定を締結し、広域的な協力体制の整備を進めております。協定の締結先といたしましては、同時に被災するリスクを考慮した広域的な連携として、群馬県高崎市及び福島県二本松市と災害時における相互応援に関する協定を締結しております。また、全国40の特例市間において、特例市災害時相互応援に関する協定を締結しております。その他埼玉県内の全市町村と災害時における埼玉県内市町村間の相互応援に関する基本協定を、さらに近隣5市1町間で災害に対する相互応援及び協力に関する協定を締結しております。また、本市は、平成27年4月に中核市への移行に伴い、全国43の中核市間において締結されている中核市災害相互応援協定に参画し、さらなる防災体制の強化を図ってまいります。本協定は、中核市のいずれかの市域において災害が発生し、被災市が独自で十分な応急措置が実施できない場合に、被災市の要請により相互に応援協力を行います。被災市の応急及び復旧対策を円滑に遂行するため、全国を4つのブロック、6つのチームに編成し、広域災害に対応することとされています。これらの協定に基づく応援の種類といたしましては、食料、飲料水及び生活必需物資の提供並びにその供給に必要な資機材の提供、また被災者の救助、医療、救護及び防疫活動に必要な資機材及び物資の提供、さらに応急対策及び復旧活動に必要な職員の派遣及び資機材の提供などがあります。
 なお、自治体間の広域的協力体制といたしましては、災害時応援協定とは別の枠組みもございます。本市も加盟する全国市長会では、全国町村会などと連携し、継続的に東日本大震災に係る被災市町村に対する職員の派遣を実施しております。
 お尋ねの川越市との協力体制といたしましては、災害時における埼玉県内市町村間の相互応援に関する基本協定や、今後締結する中核市災害相互応援協定の締結先であることから、発災時にも迅速かつ円滑な対応が可能となるものと考えております。いずれにいたしましても、これらの応援協定が災害時に円滑に機能するよう、平常時から各自治体との連携強化を図るとともに、広域連携を見据えた他の市町村との新たな相互応援協定の締結について、引き続き調査研究を進めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 菊地議員さんの答弁を続けさせていただきます。


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