越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成23年9月定例議会


Q4-①.質問


 最後、4項目めとして、シティズンシップ教育についてお伺いします。このシティズンシップとは耳なれない言葉だと思いますので、実際にこの夏に調査に行った京都府八幡市の資料をベースに少し説明をしたいと思います。
 シティズンシップとは、もともとは1990年代にイギリスで始められた教育で、世の中を支える市民としての力を育成する市民性の教育と言えます。当時のイギリスの状況は今の日本の状況にそのまま当てはめることができるかと思いますが、経済の不況から仕事がなく、失業問題が深刻、そのため若者の間で将来への見通しが持てないなどの理由から、政治への無関心や心の荒れによる反社会的な行動が多く見られたりするようになりました。そこで、こういった問題を解決するために、若者に対してもっと世の中の動きや政治に関心を持つことによって世の中を支えていく大人としての意識を育てていこうとして始まったのがこのシティズンシップです。
 人は、ともすれば自分の目の前のことに追われてしまって、政治や経済を初めとする世の中の出来事を自分とは関係のない話として考えようとはしなかったり、無関心のまま過ごしてしまいがちであります。そういった中、八幡市だけではありませんが、今、全国各地で少しずつ取り組みが進められています。内容やアプローチの仕方は異なりますが、政治や経済といった社会の仕組みを子供や若者が理解し、一人一人が自分の意見を持ったり、それに基づいて発言や行動していくことができる力を育てていこうとしています。そういった力をつける教育、学習が子供たちや若者たちに必要であるというふうに考えております。
 そこで、順次お伺いしたいと思いますが、まず1点目として、必要性についての認識について、市長、教育長にお伺いいたします。決して政治だけにこの話を結びつけるわけではありませんが、三選を決めた上田知事が8月1日に県庁で行った記者会見で、全国の知事選における投票率ワースト1位であったことについて、こう触れています。「投票率を上げるということは、単純な啓発運動では済まないのかもしれません。特に大人になる直前の高校生などへの政治教育なども今後検討課題として入ってくるのではないでしょうか。政治がどのように世の中を変えるのか、変えてきたのか、そういった部分もきちんと教育の場でやっていくことが今後は必要ではないかと思う」と述べられています。
 また、「ボーターズ」という情報誌がございまして、2011年7月25日に発行でございますけれども、この情報誌の特集として「公民的資質を培う」というふうな形でつくられております。ちなみに、この「ボーターズ」という情報誌は、財団法人明るい選挙推進協会が宝くじの社会的貢献広報事業として助成を受けて作成をされたということでございまして、ある意味、公としてはこの上ないものであるのかなというふうに考えておりますけれども、子供たち、若者たちにどのように公民的資質を培わせるのか、今までの教育の仕方やそれに対する反省、また今後の教育についての提案などの記事が掲載されています。選挙のことはおくにしても、シティズンシップ教育に取り組む必要性についての認識について、市長、教育長にそれぞれご見解をお伺いしたいと思います。


Q4-②.質問


 2点目に、現状の取り組みについて教育長にお伺いします。シティズンシップという言葉ではないにせよ、現状の学校教育の中でこれに類する取り組みを行っているかと思います。八幡市教育委員会の担当の方も、もともと社会科などで行っている内容を人間力、八幡市では人間力と書いて、これを「にんげんりき」と読ませているようですけれども、人間力を育てるために改めて別枠にして取り組んでいるというふうに説明をされていました。そこで、小学校、また中学校において現状ではどのように取り組んでいるのかについてお伺いをいたします。


Q4-③.質問


 次に、3点目として、新学習指導要領のもとでの取り組みについてお伺いします。小学校は今年度から、中学校も来年度から正式に新学習指導要領に基づいて学校教育が行われることになっています。先ほどの質問の現状での取り組みということの中で、既に対応済みの事項もあるかもしれませんが、文部科学省のホームページを見ますと、学習指導要領の新旧対照表というものが掲載されておりまして、小学校、中学校それぞれ科目ごとに掲載をされておりました。
 そこで、中学校の社会科の部のところを選びまして印刷をしましたけれども、「公民分野における内容の取り扱い」を見ますと、いろいろとありますけれども、ここだけポイントを絞ってみますと、「地方公共団体の政治の仕組みについて、調査や見学などを通して具体的に理解させること」。これは旧から新にもう引き継がれております。というふうにある一方で「細かな事柄は取り扱わないようにし、基本的な内容の理解にとどめること」と今まではされておりました。新学習指導要領では、前段の部分はそのまま継承されて、後段のいわば細かく扱わないようにという否定的なニュアンスの表現はなくなっておりますので、今後は積極的に地方公共団体の政治の仕組みを理解させるような学習内容にすることも可能ではあろうかというふうに考えております。もちろんいろいろな部分を見てみますと新旧変わらない部分もありますけれども、今の一例にあるように改まっている部分もあるわけでして、学習指導要領が変わる中でどのように取り組みが変化するのか、あるいはしないのか、そのあたりについてお伺いをいたします。


Q4-④.質問


 最後、4点目に今後の取り組みについてお伺いいたします。いろいろ申し上げましたけれども、シティズンシップ教育については今後具体的に取り組む必要性があろうかと考えておりますけれども、八幡市ですとこれを独立した教科として扱っておりまして、実際には1、2、3、4、5という数字での評価ではなくて、個々それぞれの子供たちが設定された目標に対してどの程度達成しているのか、記述の形で評価をしているわけなのですが、そういったような別の形の教科で取り組むかどうかは別にして、今後積極的に取り組む考えがあるかどうかについて、その点についてご見解をお伺いいたします。
 以上で1回目の質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。


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