越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●令和5年12月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症5類移行後のワクチン接種についてのお尋ねでございますが。現在の取組状況については。令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に移行いたしましたが、同日から新型コロナウイルスワクチン春開始接種を開始いたしました。春開始接種は9月19日までを接種期間として、初回接種が完了し、かつ前回の接種から3か月以上経過した65歳以上の方、5歳以上64歳以下で基礎疾患がある方、または重症化リスクが高いと医師が認める方、医療従事者等を対象に追加接種を実施いたしました。その結果、春開始接種における接種人数は5万2,701人となりました。
 なお、対象者の母数を把握できている65歳以上の高齢者の方で比較しますと、接種人数が4万7,118人、初回接種を完了している方が8万4,062人ですので、接種率は56.1%となっております。
 次に、令和5年秋開始接種につきましては、令和5年9月20日から令和6年3月31日までを接種期間として現在実施しております。対象者は、初回接種が完了し、かつ前回の接種から3か月以上経過した生後6か月以上の方で、オオミクロン株XBB1.5対応の1価ワクチンによる追加接種を実施しており、11月末現在の接種人数は5万9,934人で、初回接種を完了している方が27万433人ですので、接種率は22.2%となっております。なお、秋開始接種と並行して、初回接種につきましても引き続き令和6年3月31日まで実施いたします。
 一方、新型コロナウイルス感染症につきましては、国や県の統計によりますと、現在は新たな感染者の発生数は低い水準で推移しておりますが、これまでの感染流行周期を踏まえますと、年末年始における感染の拡大が懸念されております。このため、新たな感染拡大に備えワクチン接種を希望される方が適切に接種できるよう、越谷市医師会や医療機関と連携を図りながら接種体制を維持してまいります。
 また、令和6年3月31日で公費負担による特例接種が終了する見込みであることから、年代を問わず全ての接種対象者へ向けて、広報紙やホームページ、SNSなど様々な手段を活用し、ワクチン接種に関する最新情報を発信するなど、さらなる周知に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、市立病院の経営強化についてのお尋ねでございますが。コロナ禍後の経営状況について。市立病院では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行した後も、越谷市医師会などの関係機関から市内における安定的なコロナ医療を継続してほしいとの要請を受け、本年9月30日まで専用病床を設け運営してまいりました。こうした状況も含め、入院患者数がコロナ禍前に戻らず、病院経営は大変厳しいものとなっております。また、コロナ禍の病院経営を支えていた新型コロナに関する補助金は、令和4年度が約11億円であったところ、令和5年度は約1億4,000万円と大幅に減少することとなりました。
 このような状況下において、収益改善を図るため令和4年度末より紹介及び救急患者の受入れ方針を改めて明確にし、病院職員一丸となり改善に努めたことで、救急車搬入患者数を前年同時期と比較し、約700人増加することができました。引き続き、感染症への安定的な診療体制を確保しつつ、救急体制や近隣医療機関との連携の強化を図り経営改善に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、病院経営強化プランの策定についてのお尋ねでございますが。令和4年3月に総務省より示された持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインに基づき、公立病院等を設置する団体は、公立病院経営強化プランを令和5年度末までに策定することが求められています。この強化プランの内容は、役割、機能の最適化、連携の強化、医師、看護師等の確保と働き方改革、経営形態の見直し、新興感染症の感染拡大時等に備えた平時からの取り組み、施設設備の最適化、経営の効率化などとなっております。市立病院においては、病院経営の具体的な実施内容について定めた第六期中期経営計画を既に策定しており、この計画を国の求める強化プランとして位置づけておりますので、新たに策定する必要はないものと認識しています。
 次に、医療体制の強化について。収益確保策については、地域医療支援病院の認定取得や新たな施設基準の取得などを目標に掲げ取り組んでおります。地域医療支援病院については、取得要件である紹介率65%以上、逆紹介率40%以上の基準を満たすことができない状況にあることから、地域の医療機関に直接訪問し、患者の症例などを情報共有することで、継続的に患者を紹介していただく信頼関係の構築に努めてまいります。
 また、取得要件が緩和された、新たな紹介受診重点医療機関という制度も打ち出されていることから、こちらの取得についても並行して検討してまいります。さらに、新たな施設基準の取得につきましては、令和4年度以降、認知症ケア加算2、外来腫瘍化学療法診療料1、連携充実加算を取得しておりますが、医療従事者の配置基準など人員の調整が必要な施設基準についての取得が進んでいないことや、年々相談件数や対応時間が増加しており相談業務に遅れが生じることで在院日数が長くなり、結果として診療単価が低くなっていることも課題となっております。
 そのため、令和6年度より事務部の職員を増強し、病院経営の中心となる課を新設するなど組織体制を強化することで、収益確保についての課題解決につなげていきたいと考えております。また、経費削減策については、後発医療品の採用推進を図り薬品費の節減を進めるほか、診療材料の採用替えの際に、新たに採用する診療材料の価格交渉を行うなど、診療材料費の削減に努めてまいります。
 次に、老朽化が進む病院の今後についてのお尋ねでございますが。市立病院は、開院後48年を迎えようとしており、ご指摘のとおり老朽化や狭隘化という問題を抱えております。当院の置かれる東部医療圏での地域医療構想から見る推計必要病床数は、高度急性期、回復期、慢性期は不足する状況でありますが、当院のような急性期病棟は必要数を満たしている状況と言われております。建て替えに向けては、当然地域医療構想を踏まえた役割を明確化し、経営の効率化を図っていく必要がありますが、昨今の建築費高騰により病院建て替えには多額の費用が発生することから、建て替えを実施した場合に市の財政を大きく圧迫する可能性があります。
 さらには、市内には2つの大学病院があり、隣接するさいたま市の浦和美園に800床規模の高度急性期を中心とした大学病院の新設計画があることから、市として市民が将来にわたり継続して安心安全な医療が受けられる体制をどう整えていくか、その中で市立病院が将来的にどうあるべきなのか、在り方の検討を行っていく中で判断してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、文化芸術歴史によるまちづくりについてのうち、文化芸術歴史によるまちの魅力づくりについてのお尋ねでございますが。本年3月に閣議決定された第2期文化芸術推進基本計画では、文化芸術は、近年、観光・まちづくり・国際交流・福祉・教育・産業その他の分野との緊密な連携の下、様々な価値を生み出している。今後も、創造的な社会・経済活動の源泉として、急速に発展するデジタル化等の技術革新を取り入れながら、新たな価値や収益を生み、それが本質的価値の向上のために再投資されるといった好循環を通じ、我が国の持続的な発展に寄与し続けていくことが期待されるとしています。
 本市では、2021年度から2030年度を計画期間とする第5次総合振興計画において、まちづくりの目標の一つとして、「みんなが主体的に学び、生きがいを持って活躍できるまちづくり」を掲げ、この中で文化活動を充実し、郷土の歴史を継承する取組を進めていくこととしております。具体的には、地域文化の主役、担い手は市民の皆さんであるという認識の下、日頃の文化活動や創作活動の成果を発表できる機会を提供するため、市民文化祭や美術展覧会の開催のほか、文化総合誌「川のあるまち」の発行などを行っております。また、能楽堂を有する本市ならではの越谷薪能や越谷市郷土芸能祭を開催するほか、国指定の重要文化財である浄山寺の本尊、木造地蔵菩薩立像や県指定の無形民俗文化財である下間久里の獅子舞をはじめ、地域の文化財の保存、活用を支援するなど、伝統文化の継承に取り組んでおります。加えて、本市は大河ドラマで描かれた徳川家康がしばしばを訪れて泊まり、鷹狩りをした地であることから、家康にゆかりのある史跡や文化財などを掲載したリーフレットを作成し、本市の歴史に関する魅力を発信したところでございます。
 さらには、市民の皆さんはもちろん、市外の方々にも越谷市について理解を深めていただけるツールとして、市の歴史や刊行物、地図、古文書などの資料について、インターネットでいつでも、誰もが閲覧できるウェブサイト「越谷市デジタルアーカイブ」の運用を本年8月から開始いたしました。引き続き、こうした本市の文化、芸術、歴史を通じた様々な取組に努め、魅力あるまちづくりを進めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。私からは以上となります。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問にお答えをいたします。
 文化芸術歴史によるまちづくりについてのお尋ねでございますが。文化芸術振興条例制定について及び文化芸術振興計画策定についてに関しましては、関連がございますので、一括してお答えをいたします。文化芸術の振興を図るため、平成13年に制定された文化芸術基本法が、文化芸術そのものの振興に加え、観光やまちづくり、福祉、教育、産業など幅広い分野と連携して総合的な文化政策を推進しようという趣旨から、平成29年に文化芸術基本法と改正されました。改正法においては、条例制定については特に規定はありませんが、文化芸術推進基本計画の策定について国には義務づけ、一方、地方公共団体には努力義務と規定されました。
 文化芸術活動につきましては、人々の創造性を育み、表現力を高めるとともに、人々の心に安らぎや潤いを与えるものであるとともに、感動や生きる喜びをもたらし、心豊かな活力ある社会の形成に大きな役割を担っていると考えております。
 現在、教育委員会では教育分野の最上位計画である第3期教育振興基本計画において、「生涯にわたる学びを充実し、地域文化を振興する」を基本目標の一つとし、施策の方向の一つに「文化活動を充実し、郷土の歴史を継承する」を掲げ、文化芸術に係る諸施策に取り組んでおります。
 具体的には、越谷市民文化祭、越谷市美術展覧会などの開催や文化総合誌「川のあるまち―越谷文化」の発行などの芸術文化事業、全国でも数少ない屋外能舞台を備えた日本文化伝承の館こしがや能楽堂におけるこしがや薪能、能楽体験事業、越谷市郷土芸能祭などの開催により、伝統文化事業の鑑賞、発表、体験の機会を提供し、特色ある地域文化の振興と普及に努めております。
 お尋ねの条例制定や計画策定についてでございますが。越谷市教育振興基本計画の策定に当たり、従来の計画を融合し、本市の教育に関連する全ての要素を含めた教育分野全般における基本計画として定めた経緯もありますことから、現時点において新たな個別計画の策定等についての予定はございません。
 文化芸術に係る諸施策につきましては、今後におきましても文化芸術基本法や文化芸術推進基本計画の考え方も踏まえ、越谷市教育振興基本計画に施策の方向性や具体的な取組をしっかりと盛り込み、引き続き特色ある地域文化の振興と普及に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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