■議会報告

●令和元年9月定例議会

行政調査報告

　議長のご指名によりまして、行政調査を行いましたその概要をご報告申し上げます。
　調査は、去る８月７日、８日、９日の３日間にわたり、「中心市街地活性化について」、「コミュニティバスについて」、「ＳＤＧｓ未来都市について」の３項目を調査事項とし、山口県周南市、福岡県太宰府市、福岡県北九州市への行政調査を実施しました。
　まず、周南市において、「中心市街地活性化について」調査しました。周南市は平成25年３月に、市の中心であり山陽新幹線も停車する徳山駅周辺の活性化を目指した中心市街地活性化基本計画を策定しました。
　現在駅ビルは、平成30年２月に地上３階建ての徳山駅前賑わい交流施設として整備され、図書館や書店、キッズライブラリー、カフェ、交流室、市民活動支援センターなどが設けられています。
　再開発に当たっての市民アンケートでは、市民が行きたいと思う場所のイメージとして、１位が「落ち着いて居心地の良い」、２位が「カフェやレストランが併設」、３位が「年中無休で早朝から夜遅くまで開いている」というものであり、駅ビルに欲しい施設として、１位がカフェ、２位が書店であり、公共施設としては図書館を望む声が１位としてあったとのことです。これらの市民ニーズを踏まえて検討を重ねた結果が現在の姿ですが、市民ニーズを十分に満たしたつくりとなっていると感じました。
　このほか、中心市街地活性化基本計画では、中心商店街等への新規出店と街なかの歩行者等通行量の目標値を定めていますが、基準となる平成24年度に比べていずれも目標値を達成しているとのことでありました。
　次に、福岡県太宰府市において、「コミュニティバスについて」調査しました。太宰府市は、古代の太宰府政庁跡、令和改元の出典元である万葉集の梅の花を詠んだ宴の場所、太宰府天満宮など、歴史・観光資源の豊富なまちとなっています。
　市民の足であるコミュニティバス「まほろば号」は平成10年４月に運行を開始、現在は６路線あります。このほか、道路が狭隘でバスが入れない地域の足として、大型乗用車を利用した地域路線が３路線あります。年間利用者数は約59万人、１日当たりでは1,600人以上となっています。運賃収入は約5,000万円、これに対して運行経費は約１億9,000万円以上となっており、市の補助額としては１億4,000万円ほどになります。収入は経費の約26％です。
　なお、福岡県では、県内自治体のコミュニティバス事業に上限1,000万円で補助を出しています。太宰府市の場合は事業規模が大きいということもあり、上限の1,000万円を福岡県から補助されているとのことでした。この福岡県からの補助金は、収入が経費の25％以上あることが求められているそうです。このため、３つある地域路線のうち２路線は、収入を補うために地元自治会が回数券を購入しているほか、大型乗用車に広告掲載して収入を確保しています。
　なお、私も地域路線の一つに地元の方にまじって乗車してみました。
　最後に、福岡県北九州市において、「ＳＤＧｓ未来都市について」調査しました。かつて公害が社会的な問題となっていた当時、市民・企業・行政が対立ではなく対話により公害を克服してきたそうですが、課題解決を図る中で、環境都市として大きな地位を占めるようになり、現在では環境未来都市として国内外から高い評価を得ています。そうした中、国連が提唱するＳＤＧｓに取り組み始め、平成30年６月に国から「ＳＤＧｓ未来都市」に選定されています。
　ＳＤＧｓの取り組みはターゲットが17あり、非常に広範多岐にわたる内容となっています。このため、その取り組みは単に行政だけが進めていけばよいというものではありません。むしろ企業や市民が積極的に進めていくことが必要です。
　そこで目標達成に向けて、産官学民が連携して推進していく仕組みとして「北九州ＳＤＧｓクラブ」を設立しています。直近の数字では、約600の企業、団体、学校、市民が会員となっています。運動の高まりの一つとして、中心部の商店街ではＳＤＧｓの17のターゲットを記した横断幕をアーケードに掲げるなどして買い物客への普及啓発活動に取り組むなど、全市的な活動になってきています。
　なお、越谷市も加盟している「地方創生ＳＤＧｓ官民連携プラットフォーム」の会長を現在北九州市長が務めています。その意味では、各自治体の範として今後も活動を深めていくと思われます。
　以上が今回の行政調査の概要でありますが、全体を通して貴重なお話を伺うことができました。今後はこのことを議会及び市政の中で生かしていきたいと考えています。