越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告


●平成30年12月定例議会


Q1-①.質問


 おはようございます。議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります7項目十数点について、市長、教育長に順次お伺いします。
 1項目めとして、まちのブランディング化について市長にお伺いします。昨年の12月議会では、人口減少、なかんずく生産年齢人口の減少ということについてさまざまに問題を提起し、私なりの対応策も提案いたしました。その中の1つ、道路に愛称をつけるということに対し、実際に取り組みをいただいたことに感謝申し上げます。都合13路線を8月に市民に公募し、11月末に発表となった愛称は、北高通り、コスモス通り、大袋西口通り、さわきた通り、西新井通り、赤山通り、まるなな通り、いちごタウン通り、不動橋通り、大相模不動尊通り、レイクタウン中央通り、レイクタウン西通り、そしてさんがさくら通りです。これらの愛称が今後地域の人たちに親しまれ、また市外からの人たちへのアピールにもつながればと考えております。
 今回は、改めてまちのブランディング化という観点から、まちのイメージを私なりに考えてみました。それが通告した「坂のないまち越谷」というものです。越谷のまちのイメージはどのようなものでしょうか。訪れてみるあるいは暮らしてみるというときに、どのようなイメージが湧くでしょうか。越谷という地名を知らない人たちには、もちろんイメージは湧かないわけですが、越谷を知っているという人でもイメージが湧かないという人が、いろいろな取り組みを官民あわせて行っている中でもまだまだ多いのではないかと思っています。今後の人口減少社会を見据えて、越谷を訪れる交流人口をふやす、さらには定住人口をふやすためには、イメージの確立、そして発信が必要です。
 そういった中、昨年市民協働の取り組みについて調査で訪れた静岡県富士市では、このまちではこんな暮らしができるというイメージストーリーを発信しています。そのイメージストーリー「いただきへの、はじまり富士市」というブランドメッセージのポスターを庁内で見ることもできました。その内容をご紹介すると、「このまちに暮らすと、目線が上がる。だって、そこには日本一の頂があるから。このまちに暮らすと、心が広がる。だって、ここにはどこまでも続く海があるから。気づけば、いつも恵みの中。だから、どんな一歩だって踏み出せる。毎日がはじまり。じぶんの頂へと歩んでいこう。」というものです。このブランドメッセージは昨年2月に発表されたものですが、富士市の説明ではポイントは2つあり、1つは目指すまちを語る未来に向けた言葉というもの。もう一つは、富士市のオンリーワンの強みを生かしたというものです。
 さて、越谷は、周囲を1級河川に囲まれている水辺空間が豊かな地形となっています。水辺のそばには、古来より増林中妻遺跡、見田方遺跡、大道遺跡、越ヶ谷御殿などが形づくられ、近代では宮内庁の鴨場も水辺のそばに設けられております。このように水と人々の営みが密接につながっていることは、誰もが認めるところです。総合振興計画の中でも歴代水と緑と太陽のまちとしていますが、水のあるまちこそが越谷のイメージの中心を占めていると言えます。このイメージにプラスして坂のないまちというイメージを加えたまちのブランディング化を図ってはどうかと考えます。
 なぜ坂のないまちか、坂のないまちがブランド化されるのかというご懸念があろうかと思います。一般的には坂のあるまちこそがブランド化されています。長崎、尾道などは、坂のある景色が人気を呼んでいます。関東ですと、横浜、鎌倉などがそうです。しかし、昨今、世界的な潮流として、ウォーカブルタウン、ウォーカブルシティーという都市環境、都市空間がささやかれるようになっています。これは、車に依存することなく、歩いてまちをめぐれる環境、歩いて暮らせる環境を意味します。「坂のないまち」というキーワードでインターネット検索をしてみましたが、坂がないことのメリットを積極的に発信している自治体はありません。唯一検索に挙がったのが、行田市がNPO法人と協力して作成した車椅子目線の「坂のないまち」という動画です。これは、観光を障がいのある方も含めて安全に楽しんでもらうという趣旨で作成されたものですが、作成の動機として、行田が平たんな地形であるからという説明がされています。つまり、坂がないということは一見ごく普通のありふれたことのように思われますが、実は坂がないことにより、歩き回りやすいという利点をアピールすることができるということでもあります。
 ちなみに、私なりにキャッチコピーとして考えてみました。「水のあるまち越谷。坂のないまち越谷。豊かな水辺、フラットな地形、将来も恵まれた環境の中、歩いて楽しめる。歩いて暮らせる。快適な生活を」というものです。私のキャッチコピーはさておいて、人口減少、超高齢化という将来を見据えた中では、どこも発信していない坂のないまちというイメージでのまちづくりが他の自治体を制して、交流人口をふやす、定住人口をふやすということにつながると考えます。
 そこで、まちのブランディング化として、坂がないということに着眼し発信することについて、市長の見解をお伺いします。


Q2-①.質問


 2項目めとして、休止バス路線の再開に向けてお伺いします。「広報こしがや」12月号では、昨年12月議会で私が取り上げたサイクルアンドバスライドの取り組み記事が掲載されています。自宅などから自転車に乗り公共施設などに駐輪して、そこからバスに乗りかえる。こういったことからもバス利用者がふえていけばと考えていますので、引き続きこの取り組みを積極的に広報していただきたいと思います。
 さて、そのサイクルアンドバスライドの取り組みも行っていた停留所を走るバス路線も含めて、せんげん台駅東口を発着点とするバス路線の運休がことしになって続いていますし、これ以外にも運休となったバス路線もあります。ここしばらく議会でこのことが取り上げられています。また、今議会でも既に畑谷議員、山田議員と、複数の議員がそれぞれの視点で取り上げています。私からは、1点、改めて財政的な措置についてお伺いします。
 せんだっての平成30年9月議会で、長野市での調査事例をもとに運行費補助について質問しましたが、その9月議会で国民健康保険税を来年度引き上げるという議案が上程され、可決しました。私も賛成した議員の一人ですが、これにより国民健康保険特別会計への一般会計から繰り入れのうち、いわゆる赤字とされる部分の繰り入れが少なからず圧縮される見通しとなっています。国民健康保険に加入されている方は、比較的高齢の方や所得が低い方が多いとされているため、引き上げには痛税感を感じる方が多いのは確かだと思います。
 そこで、その痛税感をやわらげるために、民生分野や衛生分野、また公共交通など生活に欠かせない部分に法定外繰り入れが圧縮される金額から予算を振り向けてはどうかと考えます。平成30年度では10億円強赤字とされていますが、来年度圧縮される金額は予算ベースで約3億円と試算されています。残念ながら、この額がずっと続くわけではなく、平成31年度は約3億円ですが、国保加入者の減少から、平成32年度は約2億円、平成33年度は約9,000万円となります。しかし、国の求めに応じて赤字解消を図っていくのが現在の市の考えですので、平成30年度時点での10億円強の赤字を解消するために段階的に国保税を引き上げて、最終的にはこれをゼロにさせるということだと思っています。限られた財源をどのように振り向けるか頭を悩ませるところだと思いますが、国民健康保険特別会計の赤字解消に向けた取り組みとリンクさせて、市民ニーズに対応するための新たな基金を設置して、平準化した形での支出をする仕組みを整える中で、その一部をバス路線の再開維持に充ててはどうかと考えます。市長の見解をお伺いします。


Q3-①.質問


 3項目めに、市民に寄り添う福祉行政についてお伺いします。過日、埼玉県立大学理事長の田中滋先生の話を聞く機会を得ました。テーマは、「多世代共生社会づくり」というものです。冒頭、昔は要介護者をどう処遇していたか。文明発生以来の歴史から始まり、時間がずっと近づいて1964年、昭和39年の東京オリンピック前後のころ、現在、そして将来という時間軸の中で、医療や保険制度の整備から寿命が延びた。今後も高齢者人口はふえ続ける。生産年齢人口は減り続ける。その中での個人や社会における問題や課題、そういったことについて短い時間ながら、非常に示唆に富んだ話を伺うことができました。
 その中で先生が個人における問題や課題として挙げられていたのは、看取り、介護、貧困、虐待、ネグレスト、セルフネグレスト、自死希求などです。もちろんそれ以外にもあると思いますが、それらが個別に単体で存在するわけではなく、「複合的福祉ニーズ」という表現も使われていましたが、個人の方が抱える問題や課題は複数あり、それが複雑に絡み合っているのが現在の姿だと言われていました。
 同様のことが、宇都宮市で開催された全国市議会議長会研究フォーラムの席上、基調講演の講師、中央大学法学部の宮本太郎教授からもありました。こちらのテーマは、「「地域共生社会」をどうつくるか~2040年を越える自治体のかたち~」というものでしたが、自治体が直面する2040年問題にどのように対応していくのかという観点での話がありました。そのような問題、課題に対して、市としてどのように対応していくのかがまさに問われます。
 そこで、1点目として、現在の取り組みの一つである福祉なんでも相談窓口についてお伺いします。市民の方から、連日さまざまな相談が寄せられているかと思います。その場で解決が図られることもあれば、市の担当課へ案内するケース、場合によると、市の行政サービスではない内容も含めてさまざまな相談に対応されているかと思いますが、現在の相談内容と対応についてお伺いします。


Q3-②.質問


 2点目として、地域福祉の今後のあり方についてお伺いします。現在、2025年問題あるいは2040年問題ということが言われています。団塊世代が順次75歳を迎えるのが2025年、団塊ジュニア世代が順次70歳を迎えるのが2040年であることから、それに伴って生じるであろう問題、課題を2025年問題、2040年問題と呼んでいます。これに対して総務省の自治体戦略2040構想研究会から、第1次報告、第2次報告が出されています。その概要を手元に持っておりますけれども、表題として「人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか」と記されています。こちらを見ますと、2040年に向けてさまざまな課題が危機的な状況にあると言えます。その課題の中には福祉の領域もあります。
 そこで、地域福祉の今後のあり方について、現在どのように捉えているのかお伺いします。


Q4-①.質問


 4項目めに、「市民に役立つ所」としての人材育成についてお伺いします。人材育成については、平成29年6月議会でも彩の国さいたま人づくり広域連合に着目して、政策課題解決に向けた人材育成や政策課題の解決方法についてお伺いしていますが、改めて他の視点も含めてお伺いします。そのときに紹介した「月刊ガバナンス」平成29年4月号では、「次代をつくる自治体の「人財戦略」」が特集となっていました。人材の材の字は財産の財の字を用いておりまして、文字どおり人こそが財産であるというふうに示しています。現在の約34万2,000人の市民だけではなく、将来の市民にもしっかりとした行政サービスが行われていくよう、そのサービス提供の中心である職員が人財となることを願っています。
 そこで、1点目に越谷市人材育成基本方針についてお伺いします。越谷市では、平成15年3月に越谷市人材育成基本方針を作成しました。市民からは、日ごろからさまざまな問題や課題、要望などを受けていることと思います。
 そこで、どのような職員が望ましいのか、どのような職員となってもらいたいと考えているのかについてお伺いします。


Q4-②.質問


 2点目に、市民に優しい職員づくりについてお伺いします。新潟県三条市では、三条市人材育成基本計画を作成していますが、さらに市民に優しい寄り添える職員となるべく、行動規範「三条市役所品質」というものを作成しています。これを平成28年3月に愛知県春日井市で開催された第10回全国都市改善改革実践事例発表会でそのプレゼンを聞き、実際に昨年夏調査に訪れました。行政における市民サービスの提供は、公平性を持って対応しなければならないのは言うまでもありませんが、一方で目の前の問題や課題をルールに即して厳格に対応することが、市民サービスの点から見て本当に正しいと言えるかどうかということを常に意識して、どのような対応が好ましいかを考える。それをまとめたものが行動規範「三条市役所品質」というものです。コンパクトな手帳サイズにまとめ、全職員に配付しているとのことでもありましたが、単に配付するだけでなく、さまざまなケースを想定し、ワークショップを開催して、職員一人一人が考えて行動できるようにもしているとのことでした。先ほどの3項目めの質問、福祉行政に限らず、市民ニーズが複雑多様化する中では、職員一人一人がしっかりと市民に寄り添えるようにしていかなければなりません。
 そこで、市民に優しい職員づくりについて市長の見解をお伺いします。


Q4-③.質問


 3点目に、将来的な課題に対応できる職員づくりについてお伺いします。先ほど触れた総務省の自治体戦略2040構想研究会第1次報告、第2次報告について、少し概要をご紹介したいと思います。内容は、大きく4つに分けられています。まず、2025年から2040年までの我が国の人口の動向、人口段階別市町村の変動。越谷市は、その中で人口20万人から50万人というくくりの中で示されています。次に、2040年ごろまでの個別分野の課題。ちなみに、課題は6つに整理されています。次に、2040年ごろにかけて迫り来る我が国の内政上の危機とその対応。これは、3つに整理されています。最後に、新たな自治体行政の基本的な考え方で、これは4つに整理されています。
 この報告に対してのいわば解説が、「月刊地方自治」平成30年7月号に総務省の3名の担当官の連名で記載されています。その記事を読んで、自治体行政の課題として、そもそも将来の職員体制がどうなるかという懸念を抱きました。直近の年齢別の職員数の数字をいただきましたが、事務と技師とを合わせた現人数は、平成30年11月1日現在で1,198人、これには越谷・松伏水道企業団と東埼玉資源環境組合にいる職員を含み、再任用は除かれています。2025年3月までに60歳の定年を迎える職員は計146名で、現在の職員の12.19%、2040年3月までに60歳の定年を迎える職員は、今の数字も合わせて計577人で、現在の職員の48.16%となっています。これは、2040年問題を考えた際、定年が60歳だとすれば、今の職員の半分は定年を迎えているということになります。
 ちなみに、昭和46年生まれの私は今47歳ですが、仮に職員だったとすると、2032年3月に定年退職となります。ですから、2040年問題は、まさに2040年のときに実際に対応していくのは30代、20代の職員、さらにはこれから入ってくるその下の年代の職員ということになります。
そこで、将来的な課題さまざまあるわけですが、それに対応できる職員づくりをどのように考えているのかについてお伺いします。



 
 
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