越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成29年9月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、巨大地震への備えについてのうち、地震被害想定についてのお尋ねでございますが。地震の被害想定は、想定された被害を最小限にとどめるため、地方公共団体等の防災対策や住民が自助、共助による地域防災力の向上を図るための基礎資料となるものです。被害想定の策定に当たっては、国の防災基本計画において、東日本大震災を踏まえ、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を想定し、対策を推進することが想定されたことから、埼玉県を初め各地方公共団体においても被害想定が見直されております。本市におきましては、埼玉県において、国の首都圏における直下地震の被害想定の基礎資料に基づき、最新の科学的知見や社会条件等の基礎的データを用いて、県に甚大な影響を及ぼす可能性のある地震を想定し、震度分布や建物倒壊などの被害を予測した平成24・25年度埼玉県地震被害想定調査に基づく被害想定を地震防災計画に位置づけ、防災・減災対策を推進しております。
 お尋ねの直下地震の被害想定調査につきましては、県内ではさいたま市や草加市などで実施されております。この調査は、国や埼玉県の被害想定を踏まえ、自然条件や社会条件などの地域特性を考慮し、実施されており、あらゆる可能性を想定した地震防災対策を推進する上で有効な手法の一つであると考えております。今後につきましても、地震防災対策を総合的かつ計画的に推進するため、国や県の動向を注視しつつ、先進事例を参考にしながら地震防災計画や地震ハザードマップの見直しを含め、調査研究してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、防災業務計画の策定についてのお尋ねでございますが。災害発生時に迅速かつ効果的な災害応急対策を実施し、被害を最小限にとどめるため、災害対策マニュアル等を整備しておくことは大変重要となってまいります。このため、本市におきましては、防災対策の指針となる地域防災計画に基づき、災害対策本部要綱及び災害対策活動の実施に関する要領、大規模地震発生時における初動時の職員参集及び活動マニュアル等を整備し、防災体制の充実強化に取り組んでおります。
 お尋ねの草加市の防災業務計画につきましては、災害発生から時間の経過とともに変化する災害対応に当たり、災害対策における部ごとの行動計画を具体的に整理し、災害発生時に職員が率先して災害対応に当たることができるよう本年度から計画策定に取り組み、毎年見直しを実施していくと伺っております。この計画は、本市の災害対策本部要綱及び災害対策活動の実施に関する要領と同様の趣旨の計画となっており、本市といたしましても、各部、班の事務分掌をより具体的かつ体系的に整理してまいりたいと考えております。今後につきましても、災害発生時における災害応急対策を迅速かつ効果的に推進するため、他の自治体の事例も参考にしながら、より実効性の高い災害対策本部要綱等を整備し、さらなる防災体制の充実強化に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、非常用自家発電設備の点検についてのお尋ねでございますが。非常用自家発電設備は、地震、火災などで停電が発生した際、直ちに電源を切りかえて電力を供給するための設備であり、日ごろからの点検が重要となります。現在市役所は、それぞれの庁舎に医療用自家発電設備を備えており、発電容量と設置年度は、本庁舎に57.6キロワットを平成7年度に設置、第二庁舎に38.0キロワットを平成11年度に設置、第三庁舎に400キロワットを平成26年度に設置しております。その点検につきましては、建物用途や規模に応じて電気事業法、建築基準法、消防法でそれぞれ点検項目が定められております。電気事業法では、本体の損傷ぐあいや始動、停止等の運転状態など、建築基準法では学校、観覧場、百貨店、遊技場など、火災が発生した際に重大な被害をもたらすおそれがある特殊建築物を点検の対象として、計器類及びランプ類の指示、点灯状況など、さらに消防法では劇場、飲食店、ホテル、病院などの不特定多数の人が利用する特定防火対象物を点検の対象として、出力の30%以上の負荷運転や絶縁抵抗などの点検項目がそれぞれ定められております。
 市庁舎の場合は、法令上、事務所と同じ扱いとなり、特殊建築物及び特定防火対象物のいずれにも該当しません。このことから、負荷運転による確認点検は行っておりませんが、電気事業法による点検を月1回、建築基準法に準ずる点検を年1回、消防法に準ずる一部点検を6カ月に1回実施し、正常な稼働にすることを確認しております。今後も引き続き、こうした点検を通じ、地震、火災などの災害で停電が発生した際、非常用自家発電設備が確実に稼働するよう鋭意努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、せんげん台駅周辺の治水対策についてのお尋ねでございますが。まず、春日部市との協力につきましては、本市と春日部市の間においては、春日部市千間1丁目地区を含む千間台地区における効率的な雨水処理を推進するため、千間台地区雨水計画に伴う施設の管理等に関する協定を締結しております。この協定では、千間台地区に設置されている雨水排水施設である千間台第一ポンプ場や樋管等について、相互の施設の利用を申し合わせるとともに、その費用の負担についても定めており、両市で協力して千間台地区の雨水処理に取り組んでおります。今後につきましても、引き続き協力して雨水処理を行うとともに、浸水被害の軽減につきましても連携を図ってまいります。
 次に、東武鉄道の橋梁かけかえ工事の現状につきましては、新方川改修事業に伴い、平成26年2月に県と東武鉄道の間で基本協定が締結され、県が東武鉄道に委託し、工事が進められております。平成26年度から工事に着手し、平成27年度は仮桟橋の設置工事などが実施され、平成28年度は樋門の仮移設と従来の8インチ2台の応急ポンプを10インチ2台に増強して設置されております。現在の状況でございますが、東武鉄道橋梁部の橋台の仮設工事が実施されており、平成31年度の完成を目指していると伺っております。
 次に、せんげん台駅周辺の雨水管整備及び雨水のはけ口につきましては関連性がございますので、一括してお答えいたします。せんげん台駅周辺につきましては、雨水管の一定の整備が完了しており、本市の地形的な要因や過去の浸水状況を踏まえると、ポンプを増強することが浸水被害の軽減には最も効果的と考えております。さらに、平成28年度に県の実施された新方川堤防かさ上げにより、ポンプの増強が可能となったことから、現在進められている河川改修事業に伴う東武鉄道の橋梁かけかえ工事の中で、樋門の整備に合わせたポンプ設置について県と協議を進めているところでございます。今後も本市といたしましては、千間台地区も含めた浸水被害の軽減に向けて、国や県と連携を図りながら効果的な浸水対策に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、公文書の定義及び保存期間についてのお尋ねですが。本市では、市民参加と協働による市政を進めるため、公文書は行政と市民との共有財産であると考えております。そこで、越谷市情報公開条例においては、公文書とは、職員が職務上作成し、または取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録であって、市が組織的に用いるものとして保有しているものと規定しております。職員が職務を遂行する上で公的な立場で作成し、または取得した文書で、組織で共有しているものは紙、電子の媒体にかかわらず、全て公文書に該当いたします。また、公文書の保存期間とは、業務に使用するため、保存を必要とする期間であり、本市では越谷市文書管理規程に基づき、その重要性や利用頻度などに応じて、11年以上、10年、5年、3年、1年、1年未満の区分の中から、各所属において設定することを基本としています。また、法令等に定めがある場合、時効が成立するまで証拠として保存する場合などでは、それらに応じた適切な期間を設定することとしています。なお、保存期間が満了した公文書については、引き続き保存の必要があるものは保存期間を延長し、必要がないものは廃棄の決定を行います。この際、11年以上と区分された公文書についても、11年を経過した時点で保存継続の必要性を検討し、必要がないものは廃棄の決定を行っております。
 次に、歴史的公文書の位置づけとその保存についてのお尋ねでございますが。本市では、その時代の市政運営や市民生活等を知る上で、歴史的な価値を持ち合わせる文書については、文書管理規程に基づき、歴史資料として区分し、保存しております。具体的には、廃棄が決定された公文書のうち、保存期間が10年または11年以上に区分されたものの中から、文書所管課において教育委員会の専門知識を有する職員と連携を図り、埼玉県の歴史資料選定基準などを踏まえて選別し、保存することとしております。現在525件の歴史資料を長期保存に適した中性紙の保存箱に収納し、本庁の文書庫に保存しております。なお、歴史資料は公文書に該当しないため、情報公開制度の適用はありませんが、運用制度の整備など、その利用に関する課題について、先進団体を参考にしながら検討を進めてまいります。
 次に、公文書管理条例の制定についてのお尋ねでございますが。本市では、文書管理規程を基本に公文書の管理を行っております。また、情報化の進展など、文書事務が多様化する中で、適宜見直しを行い、公文書の適正な管理に取り組んでいるところでございます。さらに、越谷市自治基本条例において、まちづくりの基本原則として、市政情報の積極的な提供を基本とし、市政に関する市民の知る権利を保障していることなどから、直ちに条例化を図らなければ公文書の適正な管理が実現できないという状況にはないと考えております。一方で、平成30年4月から、文書管理システムの運用を予定していることも踏まえ、今後他団体の動向を見ながら、よりよい公文書管理の制度構築に向け、調査研究してまいりたいと考えております。
 次に、新たな文書管理システム構築後についてのお尋ねでございますが。本市では、財務会計、人事給与、庶務事務など内部事務システムの再構築に当たり、さらなる事務の効率化、高度化を図るため、文書管理システムを含めた一体的な整備を進めております。文書管理システムは、文書事務をシステムで運用管理することにより、事務の効率化やセキュリティーの向上のほか、他の内部事務システムと連携しながら電子決裁を行うことにより、紙の保存文書を縮減し、経費節減を図ることを目的としています。現在平成30年4月の運用開始に向け、具体的な使用や運用の検討を行っておりますが、公文書のさらなる適正管理が実現できるよう進めてまいります。今後とも市民の皆様との共有財産である公文書を適正に管理し、公正で開かれた市政の一層の推進に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、市民の命を守る医療相談の充実とさらなる情報発信についてのお尋ねでございますが。まず、成人救急電話相談の充実につきましては、埼玉県では平成19年6月から実施している小児救急電話相談事業♯8000に加えて、平成26年10月から大人の救急電話相談事業♯7000を実施しております。この電話相談事業は、急な病気やけがに関して看護師の相談員が家庭での対処方法や、すぐに医療機関を受診すべきかどうかなどのアドバイスを行うものです。相談件数の推移といたしましては、平成26年度が1万780件、平成27年度が2万3,028件、平成28年度は3万3,386件となっており、事業開始以降、毎年増加している状況でございます。
 一方で、相談できる時間帯が平日は午後6時30分から午後10時30分までの4時間、休日は午前9時から午後10時30分までの13時間30分となっており、本市といたしましても、電話相談ができない時間帯があることについては課題と考えていたところです。そこで、市単独あるいは近隣6市1町で24時間対応することも検討いたしましたが、より広域での実施が効果的であるとの結論に達し、平成25年度以降、事業の実施主体である埼玉県に対し、小児を含めた救急電話相談事業の24時間対応について毎年度実施要望を行ってまいりました。その後、実施時間が徐々に拡大され、本年10月1日から小児救急電話相談事業と大人の救急電話相談事業を埼玉県救急電話相談事業♯7119として統合し、24時間体制で実施されることになったところでございます。
 次に、妊娠初期段階の女性への対応についてのお尋ねでございますが。まだ妊娠しているかどうかわからない妊娠初期段階の方が、休日や夜間に急に体調が悪くなった場合の相談先として、大人の救急電話相談をご利用いただくことも可能であると考えております。また、夜間であれば、越谷市の夜間急患診療所を受診いただき、対応が難しい症例であれば適切な医療機関を紹介することもできます。本市といたしましては、この救急電話相談事業が24時間体制で実施されることにより、市民の医療や健康への不安の解消と救急医療の適切な利用の促進を期待しているところでございます。今後、救急電話相談事業が24時間体制に移行することに伴い、さらなる周知を図ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、県による産業団地の現状と今後についてのお尋ねでございますが。本市では、第4次総合振興計画及び都市計画マスタープランに基づき、工場や倉庫等の一定集積が見られる出羽地区、荻島地区などや、一定規模以上の主要幹線道路沿線地域を候補として、新たな土地利用の必要性、可能性を検討してまいりました。具体的には、候補地の検討や関係法令等における課題の整理、企業訪問等による企業ニーズの収集などに取り組み、事業の実施可能性を検討してきたところでございます。
 このような中、平成28年度において、荻島地区の国道463号バイパス沿道地域を対象として、埼玉県企業局による産業団地整備に関する検討が開始され、平成29年度には事業化の可能性を精査するための検討を行う可能性調査が実施されております。産業団地の整備の特徴は、企業局と地元市がそれぞれの役割を担う共同事業方式で事業を推進するものです。このことを受け、市では調査区域の土地建物所有者を対象として、平成29年6月から8月にかけて地元説明会やアンケートを実施し、将来の土地利用に関する意向を伺っているところでございます。これらの結果を踏まえ、企業局や関係機関と協議を継続してまいります。企業局では、これまで圏央道周辺や県北地域を中心に産業団地の整備に取り組んでまいりましたが、近年多くの労働力確保が期待でき、企業ニーズの高い県東南部地域への関心を高めており、平成29年度にはレイクタウン地区に隣接する草加柿木地区産業団地の整備事業が開始されています。市といたしましては、このような状況を大きなチャンスと捉え、早期の事業化に向けた協議の円滑化、効率化を図るためのプロジェクトとして、平成29年9月1日付で都市計画課内に荻島地区土地利用プロジェクトチームを発足いたしました。今後につきましては、このチームを中心として、企業局はもとより、関係機関や庁内各課と一層連携を深め、さらなる事業推進を図ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。


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