越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成29年6月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、新地方公会計制度への対応についてのうち、今回の制度改革の目的と意義についてのお尋ねでございますが。新地方公会計につきましては、平成18年8月に総務省から地方公共団体における行政改革のさらなる推進のための指針が示され、資産、債務に関する情報開示と適正な管理を推進するため、公会計の整備の推進に取り組むことが要請されました。これにより、基準モデルまたは総務省方式改訂モデルといずれかを採用して、地方公共団体単体ベース及び関係団体等も含む連結ベースでの4つの財務書類を平成21年度までに整備することが求められ、本市におきましては、平成20年度決算から固定資産台帳を整備の上、基準モデルによる財務書類を作成、公表してまいりました。しかしながら、各地方公共団体が作成する財務書類には、基準モデルを初め決算統計データを採用し、固定資産台帳の整備を前提としない総務省方式改訂モデルなどの複数の方式が存在している状況であり、作成される財務書類の精度にも差があることなどから、国は平成29年度を期限とした統一的な基準による財務書類等の作成を地方公共団体へ要請したところでございます。この制度改正の目的、意義といたしましては、固定資産台帳が全ての地方公共団体で整備された上で、現金新会計を補完する発生主義・複式簿記による財務書類が作成されることから、より一層の財政のマネジメント強化が図られるとともに、団体間での複数の比較が可能となることなどから、財政運営上の方向性の検討などに活用することが期待されるところでございます。いずれにいたしましても、公会計制度改革の目的、意義とされている市民の皆様への説明責任の履行と、財政の効率化、適正化を行うためには、まずはその基礎資料となる新たな基準に基づいた財務書類を正確に作成することが重要であると考えており、現在円滑な移行に向けた作業や関係団体との調整に取り組んでおりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、システム改修と仕訳方法についてのお尋ねでございますが。国が示す統一的な基準による財務書類等を作成するため、各地方公共団体では地方公会計システムの導入が不可欠となることから、総務省はシステム整備の経費負担を軽減するとともに、財務書類作成作業の効率化を支援するため、標準的なソフトウエアを開発し、無償で提供しております。基準モデルを採用している本市におきましても、統一的な基準への移行に伴い、平成27年度に総務省の標準ソフトウエアの導入を含めたシステム改修経費と既存システムの改修経費の比較検討を行ったところでございます。その結果、総務省の標準ソフトウエアを導入し、改修した場合、提供されるソフトウエア自体は無償となっているものの、サーバーなどの付随費用が新たに発生するため、既存システムを改修する場合と比べて、コストが割高となる試算となりました。このため、統一的な基準への移行に伴うシステム整備につきましては、既存システムを改修し、運用することとしております。
 また、仕訳方法についてのお尋ねでございますが、発生主義・複式簿記による財務書類を作成する過程では、伝票の仕訳作業が必要となり、仕訳の方法に毎日の伝票処理の段階で仕訳を行う日々仕訳や各年度の出納閉鎖後に一括して仕訳を行う期末一括仕訳など、さまざまな方法がございます。本市におきましては、発生主義・複式簿記に基づく財務書類の整備を行った当初から、期末一括仕訳を採用しておりますが、日々仕訳などの他の仕訳方法を導入する場合、システム改修に係る新たな経費や仕訳方法の変更に伴う職員への業務負担が発生することが想定されるところです。このため、統一的な基準による財務書類等の作業におきましても、現行の期末一括仕訳を継続して採用することとしておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、固定資産台帳の整備についてのお尋ねでございますが。公会計における固定資産は、市が保有する公共施設の建物や土地、道路等の資産を総称したものになり、さらに長期的にわたり行政サービス等に利用されることから、会計上の資産管理を行う必要があります。このため、固定資産は一つ一つの資産ごとに、その取得から処分に至るまで台帳を作成して管理をしており、これを固定資産台帳と呼んでおります。現在、市では基準モデルの固定資産台帳を整備しておりますが、今回の新地方公会計制度における統一的な基準としての変更が必要になる項目があります。具体的には資産の区分が基準モデルでは、事業用資産とインフラ資産の2つの区分であったものが、統一的な基準においては事業用資産、インフラ資産の2区分に物品を加えた3つの区分に細分化されることになります。また、基準モデルにおいては、有償で取得したもの、無償で取得したものを問わず、固定資産税評価額を基礎として取得価格を算定しておりましたが、統一的な基準においては、道路、河川、水路については無償で取得したもの及び昭和59年以前に取得したものについては、備忘価額として全て1円で記載することとされております。ただいまご説明申し上げました基準の変更に当たっては、新公会計制度において適切に対応すべく作業を進めているところでございますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、道路インフラの計画的な更新についてのお尋ねでございますが。まず、今後の更新費用の見通しにつきましては、本市では高度経済成長とともに急速に成長し、小中学校を初めとする公共施設、道路や下水道などの都市基盤整備に取り組んできました。現在、これらの公共施設が老朽化し、大規模修繕の時期を迎えており、そのための経費が財政上大きな負担となることが予想されることから、公共施設の更新問題に総合的かつ計画的な対応をすることが必要となっております。現在、市の管理している道路につきましては、平成29年3月末で延長が約1,255キロメートルで、舗装済み延長約1,114キロメートル、舗装率は88.8%となっており、道路の更新費用については、平成27年3月に策定した越谷市公共施設等総合管理計画基本方針において、40年間の総額で約1,209億円の更新費用となり、平準化を図り、年平均にしますと約30億円の費用が必要と試算しております。
 次に、道路状況の把握につきましては。市では平成25年2月に国が示した総点検実施要領案舗装編に基づき、市道の1級、2級道路及びバス路線の178路線、約130キロメートルについて、ひび割れ率や、わだち掘れ量などの路面性状調査を行いました。その調査の結果から、舗装改良工事に必要な47路線、約29.6キロメートルを選定し、平成25年度から交通量に合う舗装組成を考慮しながら、計画的に舗装改良工事に取り組んでおります。平成28年度末までの進捗状況は、11路線、約11.5キロメートル、進捗率は約39%となっております。
 次に、「道路資産管理計画」の策定につきましては、平成29年2月に国から公共施設等の適正管理推進事業債長寿命化事業の実施に当たり、個別施設計画の策定が必要との通知を受け、国が策定した舗装点検要領に基づく調査を実施し、補修工法や予算計画等の検討を行い、市内の主要な道路を対象とした予防保全型の道路資産管理計画の策定を今年度実施してまいります。道路資産管理計画の策定に当たりましては、先進事例において講習会や研究会に参加するなど積極的に情報収集を行い、取り組んでまいります。今後とも道路資産管理計画をもとに効果的、効率的に行い、越谷市公共施設等総合管理計画基本方針との整合性を図りながら、安全な走行性及び道路環境の向上のため、国庫補助金や起債事業の財源確保に努め、計画的な事業を行ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、彩の国さいたま人づくり広域連合に対する職員の派遣状況についてのお尋ねでございますが。広域連合は埼玉県及び埼玉県内の全市町村をもって組織されており、職員の人材開発、人材交流、人材確保の事業を実施しております。人材開発事業の一環である職員研修には、本市からも階層別の研修の一つとして、新たに管理職となった職員を派遣しているほか、地方自治法や地方公務員法などの法律分野、簿記入門と公会計などの経済分野、さらには文書作成力や段取り向上などの業務改善分野の各講座に庁内LANで募集した職員を毎年20人程度派遣しております。
 次に、広域連合における政策課題研究についてのお尋ねでございますが。この政策課題研究では、毎年度自治体が直面している政策課題が設定され、自治体、企業、NPO、大学など多様な自治体からの職員、社員によって、より実践的な共同研究が行われ、年度末にその研究成果の発表が行われます。直近では「平成26年度の地域ブランドプロモーション」という研究テーマの際に、本市職員を派遣したほか、過去には「自治体ファシリティマネジメント」や「歴史的景観を生かした地域の活性化」などの研究テーマの際にも、本市職員を派遣いたしました。政策課題研究の成果といたしましては、派遣された職員が研究成果を本市に持ち帰り、担当業務に活用することはもとより、県や他の市町村職員、企業、NPO、大学など多様な人材とかかわることによって、異なる視点での情報やノウハウを吸収できるといったことなどが挙げられます。この政策研究の派遣のほかにも、政策研究成果発表会や各種セミナーなどが開催されておりますが、これらについても庁内LANにおいて職員を募集し、毎年15人程度を派遣しております。広域連合が主催する研修や政策課題研究につきましては、職員の意識改革、視野の拡大といった部分で、庁内で行う研修とは違った効果が期待できることから、今後も積極的に職員を派遣してまいりたいと存じます。行政課題、市民ニーズは時々刻々と変化、多様化しております。職員の能力開発、職員研修につきましては、職員のキャリアの各段階において必要とされる能力を身につけるため、いかなる時期にどのような内容の研修を、どのような方法で実施することがより効率的、効果的であるかを念頭に引き続き人材の育成に努めてまいります。
 次に、地域医療構想と今後の病院経営についての地域医療構想の内容についてのお尋ねでございますが。急速な高齢化の進展により、2025年には団塊の世代の全てが75歳以上の後期高齢者となり、年齢構成など人口構造の変化に伴い、医療、介護需要の大きな変化が見込まれています。こうした状況を見据え、都道府県は地域ごとに異なる条件や実情を踏まえ、限られた医療資源を効率的に活用できる医療体制の整備に向けた将来像である地域医療構想の策定が義務づけられております。埼玉県においても第6次の地域保健医療計画の一部として、平成28年10月に策定されました。県の構想では構想区域を埼玉県地域保健医療計画の定める二次保健医療圏とし、2025年における医療需要や必要病床数の推計を行った上で、今後における医療提供体制の整備の方向性が示されております。今後県全体では、高度急性期、急性期、回復期、慢性期といった4つの医療機能のうち、回復期や慢性期の病床が不足すると見込まれており、これらをいかに確保していくかが課題となっております。構想の実現に向けた取り組みといたしましては、医療機関の自主的な取り組みを基本としつつも、県が区域別に設置する地域医療構想整備会議等を通じて推進していくものとされております。なお、本市を含む東部保健医療圏においても、医療関係機関、保健所、行政等の委員から成る地域医療構想協議会が設置されており、将来の医療機能ごとの必要病床数を確保するための方策などについて協議していくことになっております。本市といたしましても、協議会委員の一員として参画しておりますことから、将来の医療提供体制の整備に向け、必要な提案や情報提供を行ってまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、地域医療構想の中での今後の市立病院のあり方についてのお尋ねでございますが。埼玉県地域医療構想では、本市が属する東部区域は、今後も高齢化の加速を背景とした医療需要の増加により、回復期と慢性期の病床不足が見込まれると想定されています。これを踏まえて県では必要な病床を確保するため、適切な病床機能の配分及び機能転嫁などに努めるものとしていますが、県が主導的に権限を行使して行うものではなく、あくまで医療機関の自主的な取り組みによることが原則となります。市立病院では、経営ビジョンに掲げた市立病院のあり方において、地域の中核病院として医療連携の推進及び救急医療の充実を図り、急性期医療に特化すると定め、現在これに基づき策定した第4期中期経営計画の具体的施策に取り組んでいるところでございます。平成29年度については、既にご案内のとおり、7階小児病棟改修工事を完了し、新生児集中治療室、NICUを3床、新生児回復治療室、GCUを6床整備する予定であります。これらは高度急性期病床に位置づけられ、県東部地域における周産期医療の充実につながるものと考えています。今後地域医療構想の実現に向けて機能分化や連携について東部区域の調整会議等により、さまざまな協議が行われると考えますので、引き続きその動向に注視し、積極的に意見交換をしてまいります。医療機関の機能分化が進む中で、高度急性期から回復期、在宅医療等まで切れ目のない医療供給体制の必要性がますます高まってまいります。市立病院では医療連携の一層の充実を図り、地域の中核病院として7対1看護体制を堅持しつつ、地域住民の求める医療に応えるべく努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと存じます。以上でございます。


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