越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告


●平成27年12月定例議会


Q1-①.質問


 議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります4項目9点について、市長、教育長に順次お伺いいたします。
 1項目めに、公共施設の今後のあり方について市長にお伺いします。越谷市公共施設等総合管理計画がことしの3月に策定されたことを受けて、6月議会、9月議会において、この公共施設等総合管理計画の内容について取り上げました。取り上げたのは、あくまでも公共施設のみであり、公共インフラについてはまだ取り上げておりません。ですが、公共施設の維持管理、更新だけでも今後、莫大な費用がかかることは、市からの広報も含めて市民の皆様にも少しずつ理解され始めているのではないかと考えております。施設を保有する以上は費用が生じますが、その費用を誰が責任を持って負担するのか、あるいは負担に耐え得る保有の量とはどのようなものか、そういったことを今後さらに市民の皆さんに対して情報を発信し、ともに考えていく必要があると考えています。
 今、負担という言葉を口にしましたが、公共施設の現状や、その維持管理、更新に係る将来の負担が、現行の制度では見えにくいという問題から、国では地方公会計の制度の見直しや財政健全化法の改正の議論が進められています。それらは公共施設、つまりストックをどのようにしてより適正に把握するか、そして将来のコストをどう捉えていくかということです。数十年前につくり上げたストックは、将来、そのままコストになります。単純に言えば、同じ場所に、同じ機能で、同じ大きさで更新するならば、建てたときのコストがもう一度発生するということになります。ストックの積み上げは、そのまま将来コストになるということがより可視化されるように、国では制度の見直しをしようと考えているというふうに伺っております。
 制度の動向に対しては越谷市としてどう対応していくか、その点については別の機会に改めて取り上げたいというふうに考えておりますが、今回は公共施設の今後のあり方ということについて2点お伺いします。
 1点目に、新規建設のルール化づくりについてお伺いします。2年前の市長選挙の際、高橋市長はマニフェストに、新規公共施設建設などに対するルール化を図りますと掲げています。これは、今後4年間の8つの重点目標のうちの8つ目、行財政改革の推進という項目の中に示されていたものです。先日も市長の1期目のときから継続して作成されています所信表明事項等の進捗状況をいただきました。市長マニフェストや所信表明に掲げられた取り組み目標をこのように議会、市民に公表される市長の政治姿勢を歓迎する声が多く聞こえてきております。
 実は、石破茂地方創生担当大臣が、二元代表制について、先月、全国議長会に関係する会議の席上で、このように言及されています。石破大臣によると、二元代表制の意義は行政べったりではない。強い牽制機能、監視機能を持つ、それが二元代表制の意義だということです。その意味で市長のマニフェスト、所信表明の事項が、市民の幸福度を高めるためにはどのように進められていくのがよいのかをしっかりと見定め、よりよいと思われる政策の提言をしていくということが議員に課せられている責務の一つであるというふうに考えております。
 さて、所信表明事項等の進捗状況を見ますと、8―3に新規公共施設建設などに対するルール化とあります。これは8―2、公共施設マネジメント白書の策定に含むとしています。8―2の白書の取り組みについては、公共施設等総合管理計画の形で策定がなされたわけですが、ルール化ということについて現状ではどのように検討されているか、また今後、具体的にどのようにしていく考えであるかについてお伺いします。


Q1-②.質問


 2点目に本庁舎整備についてお伺いします。東日本大震災当日午後3時過ぎに、私も市役所に到着をしましたが、その際に見た光景はというと、多くの人々が市役所の玄関の外に避難をしている姿でした。その中には、高橋市長もいらっしゃいました。そういった光景を見て、本庁舎の耐震性の弱さを一日も早く解決しなければならないという思いから、平成23年6月議会において、本庁舎の安全性について取り上げましたが、その後、以前から提案していた公共施設等整備基金への積み増しが始まり、本庁舎を建てかえるという方針も審議会への諮問答申を受けて決定しました。
 昨年9月に示された越谷市本庁舎整備基本構想には、今後の方向性がいろいろ示されていますが、その後、策定された公共施設等総合管理計画との整合をどのように図りながら進めていくのかという観点も含めて、以下の点をお伺いします。
 まず、使用年数の考え方についてです。公共施設等総合管理計画では、将来を見通した上で施設の使用を80年とする目標を掲げています。また、以前、調査で訪れた兵庫県三田市では、100年使用するのを前提として庁舎整備を進めました。本庁舎の建設に当たってどの程度使用していく考えであるかについてお伺いします。
 次に、事業方式についてです。本庁舎整備基本構想の冊子の29ページに、本庁舎の事業方針についての記述があります。そこには幾つか建設方式が示されていますが、同じく29ページにある市民意見の反映という視点で見たときに、設計過程でも市民の意見を反映できる方式と反映しにくい方式があるとしています。市民の意見をしっかりと反映させるという観点から建設方式が気になるところですが、どのような方式を選択する考えであるのかについてお伺いします。
 次に、規模についてです。公共施設等総合管理計画では、市全体の延べ床面積を22%以上削減する目標を掲げています。そういった中で本庁舎の規模はどのようなものとなるのでしょうか。基本構想の24ページには、必要とされる庁舎の面積から第2庁舎、そしてことしの3月に使用開始した第3庁舎を差し引いた数値が示されていますが、これには幅があります。規模についてどのように考えているのかについてお伺いします。
 次に、予算総額についてです。公共施設等総合管理計画には、試算するに当たっての1平米当たりの建設費用が示されています。しかしながら、東日本大震災の復興事業や2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた施設整備等の影響により、全国的に人件費、資材とも高騰しているのが実情です。市民に負担をお願いするという意味からも、予算総額については重要ですが、どのような見通しであるかについてお伺いします。
 もう一つ、今後の建設スケジュールについてです。基本構想の33ページに、事業スケジュールが記されています。これによると、基本設計、実施設計と進み、平成29年度、2017年度ごろから建設工事に入り、平成32年度、2020年度の工事完了を目標としています。つまり総合振興計画後期基本計画の5年間にそのまま当てはまるわけですが、来年度、平成28年度以降、年度ごとではどのように進めていくスケジュールとなっているのかについてお伺いします。


Q2-①.質問


 次に、2項目めとして、内部統制による組織マネジメントの考えについて、ここでは1点、内部統制についての認識と、その取り組みについてお伺いします。先日、「中核市サミットin前橋」に私も参加しました。越谷市が中核市市長会のオブザーバーとなった2012年(平成24年)から毎年参加をしてきていますけれども、何といってもことしは中核市市長会に晴れて加盟となったことは、非常に大きいことであるというふうに思っております。今回は始めて高橋市長も参加をされ、他の中核市市長とともにダイナミックで臨場感のある実り多い議論をされたことは、越谷市にとっても有益であると考えております。あるときは他の中核市に範を倣い、またあるときには他の中核市をリードする、そんな施策をぜひ講じていただきたいとも考えております。
 さて、中核市への移行により、埼玉県から多くの事務権限の移譲を受けました。従来の特例市での約300が2,000を超える数となったわけですが、この事務権限の移譲により、市として新たに始めることとなった事業も多くあります。もちろん新たに始めることとなった事業については、事前にその作業手順の確認やマニュアルづくり、また研修を通じて、それぞれの課において誤りなく、おくれなく作業ができるように環境を整えていると思います。
 実は、総務省では、地方自治体における内部統制に関する研究が以前から行われており、研究会からの報告書がたびたび発信されております。内部統制という言葉は耳なれない言葉かもしれませんので、静岡市のホームページにある説明文を紹介します。
 「内部統制とは、違法行為、不正、ミスなどを発生させることなく、法令や所定の基準、手続等に基づいて業務が健全かつ効率的に運営されるよう、組織みずからが自立的に管理統制を行う仕組み、機能のことです。その対象は、適正経理を遂行する、法令を遵守する、個人情報を保護する、服務規律を保つなど、業務や組織の全般に及びます」と、このように静岡市のホームページにはあります。この静岡市などを参考にしつつ、県内の朝霞市が、この内部統制の取り組みを進めております。
 先日、その朝霞市で、これまでの経過や取り組み内容、その効果等を伺ってきました。朝霞市の内部統制に関する基本方針では、4つの事項を定めています。1、職務の遂行に当たっての法令遵守の確保について。2、職務の執行に係る情報の適正な保存及び管理について。3、リスクの管理について。4、内部統制に係る運用状況の報告等について。これらの4つは、さらに細かく取り組み事項と所管課が定められています。それは、ここでは割愛しますが、越谷市でも中核市移行により行政事務の質、量ともに増加し、市民に身近な行政として市民への責任を果たすべき立場がより強まったのを契機として、内部統制についての取り組みを進めていくべきと考えますが、市長の見解をお伺いします。


Q3-①.質問


 3項目めとして、受動喫煙防止と健康事務の延伸についてお伺いします。後ほど4項目めで教育長にも子供の受動喫煙ということで取り上げますけれども、ここではまず市長にお伺いをいたします。国が高齢化率21%の超高齢社会に突入したのが、平成18年(2006年)のことです。その4年前に社会全体の高齢化が進展する中にあっても、人々が健康で暮らせる社会を築き上げようという趣旨で制定されたのが健康増進法です。法の第1条では、目的を次のように定めています。この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大することに鑑み、国民の健康の増進の総合的な推進に関し、基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善、その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民健康保険の向上を図ることを目的とする。
 続いて、第2条に国民の責務があり、ここでは国民は健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたってみずからの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならないとあります。
 さらに、第3条に国及び地方公共団体の責務として、国及び地方公共団体は、教育活動及び広報活動を通じた健康の増進に関する正しい知識の普及、健康の増進に関する情報の収集、整理、分析及び提供、並びに研究の推進、並びに健康の増進に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、健康増進事業実施者、その他の関係者に対し、必要な技術的援助を与えることに努めなければならないとしております。
 そして、第25条に受動喫煙の防止についての定めがあります。一般的には健康増進法というと、第25条をもって喫煙・受動喫煙の対策の法と捉えられがちですが、むしろ来る超高齢社会の到来を前に、国では法の制定の4年後の平成18年(2006年)に、この越谷市も平成24年(2012年)に超高齢社会に突入しましたが、受動喫煙を防止しようということにとどまらずに、生活習慣病全般の予防を進めていこう。今日でいうところの健康寿命を延ばそう、その取り組みを進めていこう、それが法の趣旨であると言えます。
 他方で、生活習慣病となる原因の一つが喫煙にあることが、さまざまな研究成果で明らかになっています。ですので、健康寿命を延ばすには、たばこの煙に着眼し、その対応を図ることにやはり行きつくかというふうにも思っております。そういった問題意識から4点についてお伺いします。
 1点目として、喫煙・受動喫煙による健康への影響についての啓発活動についてお伺いします。先ほど健康増進法の条文を紹介したとおり、第2条には国民の責務があり、第3条には国及び地方公共団体の責務が記されています。国民の責務は一旦置きますが、地方公共団体の責務として、越谷市でもさまざまな生活習慣病予防に関するセミナーや禁煙治療についてのセミナーなどが企画、実施されていると伺っております。そういった取り組みの内容、また喫煙や受動喫煙が健康にどう影響を及ぼすのかとうことに対してどのような情報発信を行っているのかについてお伺いします。


Q3-②.質問


 2点目に、医療費中に占める喫煙に起因する額についてお伺いします。国の医療費の総額は、約40兆円となっております。政策的な判断のもと、医療費の抑制に努めているところですが、このうち喫煙に起因する医療費の額は一体どのくらいになるでしょうか。いろいろ調べてみますと、約3兆2,000億円と記している研究レポートを複数見かけました。この数字が正しいとすれば、たばこ税は国税、地方税合わせて約2兆1,000億円から3,000億円程度の水準で推移していますので、税として入る以上に医療費がかかっていることになります。ただし、3兆2,000億円の内訳が定かでありませんので、内訳のわかる数字がないかと調べました。改めて調べた結果、医療経済研究機構という団体が、過去数回にわたって喫煙によるコスト推計を行っていることがわかりました。
 このコスト推計では、医療費のほかに施設整備等のコスト、労働力損失のコストなども試算していますが、ここでは医療費の部分だけ取り上げたいと思います。医療経済研究機構が2005年度の喫煙関連疾患への罹患状況から喫煙によるコスト推計を行った結果、その額は約1兆7,680億円で、さらにこのうち受動喫煙によるものは約1,431億円であったとしています。参考までに、この年の医療費の総額は33兆1,289億円となっていました。医療経済研究機構では、2005年度以前でも1990年度、1993年度、1999年度のデータをもとに同様の研究を行っております。ぜひ最新の数字で研究を重ねてほしいところです。
 さて、今申し上げた数字は、日本全体の数字です。これを人口比で見ると、越谷市の数字の推計値が出るのではないかというふうに考えております。越谷市の人口は、日本全体の約0.25%ですので、それぞれの数字の0.25%が越谷市における喫煙に起因する医療費の額だというふうに推計できます。1兆7,680億円の0.25%は約44億円、1,431億円の0.25%は約3億5,000万円ということになり、これが2005年度における越谷市民の医療費中に占める喫煙に起因する額であると推計できます。直近はというと、直近の医療費は総額約40兆円です。10年前に比べて約1.21倍となっていますので、先ほどの数字、1兆7,680億円、約44億円、また約3億5,000万円にその伸び率を掛け合わせると約2兆1,430億円、約53億円、約4億円となります。つまり医療経済研究機構が研究した数字から推計される越谷市における医療費中に湿る喫煙に起因する額は、以上の計算により約53億円、このうち受動喫煙による医療費は約4億円であると推計されます。
 なお、日本全体の推計値で言えば、たばこ税として国、地方に入る額が、そのまま医療費で消える計算です。たばこ税によって潤うというのは、入と出の現実、双方を見比べた中での話とはなっていないということが言えるかというふうに思います。
 さて、たばこ税との関係は一旦置いて、医療費中に占める喫煙に起因する額は、私の試算では大変大きな額となっています。上田知事は、常々医療費中の約3分の1を占める生活習慣病を改善することで医療費の削減を図りたいと言われており、その一環として健康長寿プロジェクトを進めています。私も同様のことを考えており、現状を認識する意味から試算をした次第ですが、この数字に対する市長の見解をお伺いします。


Q3-③.質問


3点目に、受動喫煙防止の取り組みについてお伺いします。厚生労働省からたびたび受動喫煙防止対策ということについて、全国の知事、保健所設置市の市長、特別区の区長に対して通知が出ております。ことしの4月に越谷市は、中核市への移行を果たし、新たに保健所を開設しましたので、今後、同様の通知が出される際には、越谷市にも直接通知が来ることになろうかと思います。そういった観点で、今までも受動喫煙防止の取り組みを進めてきたと思いますが、今後はさらに強く進めていく必要があると考えます。現状と今後についてお伺いします。


Q3-④.質問


 4点目に、受動喫煙対策としての認証制度についてお伺いします。埼玉県では、受動喫煙による健康への悪影響を防止するために、全面禁煙、空間分煙により積極的に取り組む施設を認証することにより、受動喫煙防止を推進しています。この認証施設については、県の保健所別に件数が把握されている関係もあり、直近の正確な数字は不明ですが、越谷市内でも県や市の公共施設、学校、保育所、医療機関、介護施設等が認証されています。また、数は少ないですが、飲食店なども認証されています。県が対象としている施設は、健康増進法第25条で列記している施設のほか、さらに細かく対象を列記しています。具体的には、学校、体育館、病院、診療所、劇場、観覧場、集会所、展示場、百貨店、事務所、飲食店、駅、金融機関、美術、博物館、社会福祉施設、商店、スーパーマーケット、ホテル、旅館、遊戯場、娯楽施設、屋外競技場など多数の者が利用する施設としています。その中でも認証制度を募集するチラシでは、飲食店に重きを置いている、そういったもので広報をしているところでもあります。
 今申し上げている認証制度は県の制度ですが、市としても積極的に広報する、あるいは活用するということが必要であると考えます。場合によれば、県とは別の市独自の認証制度を整えるということも検討することがあるいはは必要かとも思いますが、この点について市長の見解をお伺いします。


Q4-①.質問


 4項目めに、子供の受動喫煙について教育長にお伺いします。今ほど3項目めでは、市としての受動喫煙の取り組みがどうであるかという点での内容でしたが、この中には子供も含まれます。そういった中で、改めて子供、小中学生に対して学校ではどのように取り組んでいるか、また子供の健康を将来も見通す中ではどのような取り組みがよいのかという点も含めて、教育長にお伺いいたします。
 まず1点目に、学校健康教育の現状についてお伺いします。学校保健安全法では、第1条に目的として次のように定めています。この法律は、学校における児童生徒及び職員の健康の保持・増進を図るため、学校における保健管理に関し必要な事項を定めるとともに、学校における教育活動が安全な環境において実施され、児童生徒等の安全の確保が図られるよう、学校における安全管理に関し必要な事項を定め、もって学校教育の円滑な実施と、その成果の確保に資することを目的とする。やや幅広い内容ですが、ここでは健康保持増進の部分に着眼してお伺いします。
 埼玉県の学校健康教育必携を見ますと、これは県教育委員会のホームページから見ることができますが、第2章、学校健康教育の推進方策の1の部分に、学校保健の充実の項目があります。順番を多少前後して述べますと、学校保健安全法に基づく健康診断を実施しながら、歯、口の健康づくりを進めたり、望ましい生活習慣づくりを進めたりするほか、近年、特に対応が重視される心の健康について、社会がIT化していることも含めて記述がされています。この一連の中に喫煙・飲酒・薬物乱用防止教育というものがあります。薬物は法律で完全に禁止されていますが、喫煙、飲酒については成人は認められています。ですから、将来、20歳を過ぎれば子供たちも喫煙、飲酒は可能ですが、未成年の間は法が認めていません。このことは家庭の中で子供たちに教えるのが当然ですが、学校の中でもしっかりとした教育を行うことが必要だろうと考えます。このことについて現状ではどのような取り組みをしているのかについてお伺いします。


Q4-②.質問


 2点目に、市内小中学生の受動喫煙の実態調査実施についてお伺いします。この件については、議員になった年の平成19年12月議会において、熊谷市の取り組みをもとに議会で取り上げたことがあります。先月、実際に熊谷市に調査に行ったことを踏まえて、改めて取り上げたいと思います。
 まずは、熊谷市の取り組みの内容をご紹介します。熊谷市では、小学校4年生の児童を対象に生活習慣病検診を実施してきました。これは国が定める学校保健安全法の健康診断にはない熊谷市独自の取り組みです。さらに追加して、今回のテーマである受動喫煙検診が行わています。生活習慣病と喫煙については、一定の関係があることは多くの研究によって明らかですが、受動喫煙との関係で児童にどのような影響が及ぶのかという観点から、熊谷市医師会の協力のもと、平成14年度に2校の小学校で始められました。そして、私が以前、議会で取り上げた平成19年から全小学校に広がりました。実際には小学4年生全員に行っているわけではなく、案内文は全員に渡し、意思を保護者に確認した上で、その希望者に対して行っている事業であります。
 参考までに受診率は、生活習慣病検診が90%以上、今回のテーマの受動喫煙検診は80%台後半となっています。検診の方法ですが、ニコチンは体内に入るとコチニンという物質に変わります。この物質は尿の中に含まれますので、尿を調べることにより、受動喫煙の有無、またその程度がわかります。例年10月初旬に尿検査を実施し、その分析を埼玉県健康づくり事業団で行い、その結果を12月初旬、ちょうど今ごろですが、各自に返しています。これは過去の実績でわかっていることですが、尿中コチニンの値は、次の順でより出やすい結果となっています。
 まず、両親ともにたばこを吸っている子供、この場合は尿中コチニン値は高く出る傾向にあります。次いで、母親が吸っている子供の値、父親が吸っている子供の値の順に数値が出る傾向にあります。基本的に両親ともに吸わない子供の場合には出るということはないはずですが、コチニンの値は三、四日前に吸ったニコチンにも反応するということもあり、家でたばこの煙を吸うことがなくても、子供の生活圏のどこかで吸うことがあれば、コチニンの値が出る。場合によると、高く出るという可能性もあります。
 熊谷市では、あくまでも小学4年生の希望者に対して実施をしていますが、実施に当たっては保護者に当てて受動喫煙がどんな影響を子供に及ぼすのかという冊子、十文字学園女子大学の齊藤麗子教授監修のものですが、これを小学4年生の保護者に配付しています。なお、齊藤麗子教授は、先月に起こった事件、父親が2歳の自分の息子にたばこを吸わせた事件の際に、ニュース番組でコメントをしておりますので、ごらんになられた方もいるかと思います。
 さて、受動喫煙検診の結果が保護者に戻されますが、その際に、実際の尿中コチニンの値が記されます、単に数字だけでは、その意味が理解できませんので、4段階で数値の説明も加えています。ここでは、その数値については省略しますが、4段階とは正常値、軽度高値、高値は高い値ですが、軽度高値、中等度高値、高度高値と分類しています。高度高値と、それ以外の値とでは、結果、表の記述が異なっています。高度高値が出た子供の場合には、強い受動喫煙を周囲から受けていると考えられますので、より強い注意を促す記述となっています。
 具体的には、「万が一ご家族に喫煙をされている方がいらっしゃいましたら、お子様の健康のためにも分煙・禁煙等をお勧めいたします。また、ニコチンからコチニンへ変換する酵素の測定により、保護者様及びお子様が将来、肺がんになりやすい体質かどうかも無料で検査できます。登録医療機関へご相談ください」というものです。こういった結果表の記述もあり、その後の後追い調査、この受動喫煙検診は小学校4年生の段階で行いますが、中学2年生の時点でアンケートを実施するようです。実際に保護者の意識が変わり、ある年のデータですが、小学4年生時の保護者の喫煙率と、その子供たちが中学2年生になったときの同じ保護者の喫煙率を比較すると、父親では61.8%から46.6%に、母親では24.4%から18.5%にとそれぞれ減少しているとのことです。
 このように熊谷市の受動喫煙検診は、子供の受動喫煙の実態を調査することにより、子供たちの健康状態を把握することにとどまらず、その先には保護者、大人に対する分煙、節煙、禁煙の指導という効果もあり、その効果が実際に生まれています。子供がたばこに手を出すかどうかは、周囲にたばこを吸っている人間がいるかどうかも影響するという研究成果もあります、
 1点目の学校健康教育における子供が喫煙をすることの有害性を説く取り組みをより有効なものにするには、保護者も一緒になってたばこの有害性を考えることができる熊谷市の取り組みは効果が高いと考えますが、教育長の見解をお伺いします。
 以上で1回目の質問を終わります。ご答弁よろしくお願いいたします。


 
 
copyright (c) 2009. kikuchi-takamitsu. All Right Reserved.