越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成26年3月定例議会

○討論


 議長の許可をいただきましたので、市長提出第6号議案「中核市指定の申出について」、反対の立場から討論いたします。
 これまで、私は中核市について、私なりにさまざまな調査を行ってきました。それは、平成24年3月に開催された市主催の中核市だより特別講演会の講師である東京大学名誉教授の大森 彌先生が、講演の最後に、都市内分権を進めること、これが今越谷市が中核市移行を目指す意義だと思っているし、この点について今後の取り組みを、私としても見守っていきたいという趣旨の発言があったからです。この言葉を聞く以前から、市民自治の観点で都市内分権を進めることの必要性を感じ、地区別予算制度などの提案もしておりましたが、大森先生の話を聞いて、なお一層都市内分権の推進に意を固めた次第です。そして、このことは越谷市として中核市移行を図る中で進めていくべきとの思いを持ち、それ以降、行政調査先として可能な限り中核市を選択しているほか、中核市市長会が主催する中核市サミットへも2度参加して、全国の中核市の現状について理解を深めるように努めてきました。
 さて、この中核市への移行ということについて、越谷市では平成22年11月に移行を目指すことを表明し、平成23年8月に中核市移行へ向けた基本方針が作成されました。「はじめに」と題された一文の中段には、このようにあります。「平成21年9月には、市政運営の最高規範となる「越谷市自治基本条例」を施行し、市と市民の責務や権限のあり方を明らかにし、自治のまちづくりのさらなる推進を図ることとしました。この条例に基づき、平成23年度を初年度とする「第4次越谷市総合振興計画」を策定し、「水と緑と太陽に恵まれた 人と地域が支える安全・安心・快適都市」を将来像とするまちづくりを進めています。このような中、「住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うとともに、地域住民が自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組む」という地域主権改革の考えに基づき、より積極的な市政運営を行い、さらなる市民サービスの向上を図るため、多くの事務権限が移譲される中核市への移行を表明しました」、以上の部分は、多少要約されていますが、市民向けのチラシなどにも、なぜ中核市移行を目指すのかということの説明としても書かれています。
 市長は、中核市を目指す意義は、地方分権と市民自治だと言われています。私もその点は同意をしております。また、説明として、市長からは、国や県ではなく、住民に近い市に権限があることによって、市民ニーズに的確に対応した行政サービスを提供することができるとも言われておりますが、この点について地方分権という観点からは、私も全く異論がありません。
 しかし、私は、この説明では市民自治についての部分が抜けていると感じています。市長ご自身は、両方含まれているとお考えになられているかもしれませんが、地方分権と市民自治とは全く別個の話であると私は考えております。市民自治について特に言及する理由は、越谷市自治基本条例、また第4次総合振興計画に「市民主権」という言葉があり、市民自治を根づかせて、市民自治をしっかりと育てていくことは大切なことだと思うからです。
 市民自治とは、自治基本条例をもとに説明をすれば、それは参加の原則であり、協働の原則であると言えます。そして、それを推進する上にも、情報共有の原則がなされていることが必要です。今回の場合で言えば、中核市移行にはどのようなメリットがあるか、どのようなサービスが拡充されるかということはもちろんですが、中核市移行の課題があるのかないのか、あるとすれば、どのようなものかということも市民に発信をすることが最低必要です。その上で、発信をした情報をどの程度市民が受けとめているかを知るために、中核市移行の認知度は非常に重要な指標でありますが、私が申し上げるまでもなく、重要であるがゆえに、目標数値も70%という非常に高い数値で設定されたと私は解釈をしております。
 しかしながら、現時点においては、その認知度は、平成24年度では「よく知っている」、「知っている」で13.7%、7人に1人という状況です。また、平成25年度では、これに「言葉を聞いたことがある」という人を含めて26.5%、4人に1人という状況です。目標の数値は70%であるにもかかわらずです。しかも、あくまでも広報されている内容は、市民にとってのメリットであり、内包する課題、例えば財政的な面であるだとか、市民が不安に思っている点であるだとかということの説明はありません。中核市移行は目的ではなく、あくまでも手段の1つだという説明をいただいています。もちろん、市政運営上の手段であり、そのとおりだと思っていますが、しかしその具体的な内容を市民がきちんと理解をする。確かに必要だ、進めるべきだと誰もが思うようにならなければならないですし、そのための広報を行い、そして広聴、市民に疑問があれば、それに丁寧に対応するということが必要であると考えます。
 この中核市移行について、私なりにその意義も含めて市民に広報し、また意見もいただいてきました。残念ながら、私の意に反して、中核市移行への疑問、疑念、反対の声が複数あります。これは客観的事実であります。したがって、中核市への移行に向けた取り組みの中で、特に広報広聴は今まで以上に丁寧に行っていくべきと考えますが、現時点での中核市指定申し出は時期尚早と考え、この議案には反対をいたします。
 以上、反対理由を申し述べましたが、議員各位のご理解とご賛同をお願い申し上げ、討論を終わります。以上です。

 
 
 
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