越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
 まず、東日本大震災の復興支援と今後の備え、被災自治体への支援の取り組みについてのお尋ねでございますが。東日本大震災の復興事業の推進に当たっては、被災市町村におけるマンパワー、とりわけ行政職員の確保が極めて重要であると認識しております。
 本市におきましては、職員派遣に係る調整を一元的、総合的に実施する全国市長会のスキームにより、震災直後の平成23年3月下旬に職員派遣の申し出を行っております。その結果、平成23年の9月から12月までの4カ月間、宮城県東松島市、岩手県大船渡市に延べ6人の本市職員を派遣し、罹災証明発行に係る被災家屋調査業務や義援金の受け付け業務などを行ってまいりました。さらに、24年度においても同様に全国市長会に中長期的な人的支援を申し出たところ、年度当初から年度末までの1年間にわたり、岩手県大船渡市と宮城県名取市への職員派遣が決定されたところでございます。
 このことに伴い、これまで両市に延べ3人を派遣しており、現在も2人の本市職員がそれぞれ復興に係る土地区画整理事業や生活再建支援事業などの業務に当たっております。来年度につきましても、年間を通じて本市職員2人分を被災地に派遣することとして、昨年12月に全国市長会宛てに回答しているところであり、現在派遣先の調整が進められているものと思われます。
 全国市長会のスキームにつきましては、広範囲にわたる被災地の復興状況に応じて、より的確な職員派遣の調整が円滑に行われるシステムであると認識しております。したがいまして、本市といたしましては、引き続きこの仕組みを通じて継続的に職員派遣の申し出を行い、被災地における人的支援に努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 さらに、被災地に派遣した職員が現地における業務を通じて得た知識は経験は、組織としても貴重な財産であると認識しております。平成23年度には東松島市と大船渡市に派遣した6人全員に帰任した後に業務レポートを作成してもらい、これを庁内LANに掲載し、全職員が閲覧できるようにいたしました。レポートには生々しい被害状況の写真や職員自身が苦労した経験談、また現地の人々の心境の移ろいようなどが克明に記されており、これを見た職員から大変大きな反響がありました。
 また、被災1年後の昨年3月11日に開催した「東日本大震災から防災を考える市民フォーラム」において、派遣職員が経験談を踏まえた講演を行ったところであり、参加された市民の皆様には被災地の現状や復興状況を理解していただいたものと認識しております。
 さらに、昨年の3月14日には職員を対象とした災害対応研修を実施し、この中で派遣職員などによる被災地派遣報告やボランティア活動報告を行ったところでございます。現在大船渡市と名取市に派遣している職員が本市に帰任した際には、昨年同様さまざまな取り組みを通じ、現地での経験を本市に還元してもらい、災害や危機管理に対する職員の意識の醸成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、自治体間の防災協力のあり方につきましては、現在本市では群馬県高崎市及び福島県二本松市と災害時における相互応援に関する協定を結んでおります。これは、同時被災とならないことを考慮して、当市から距離がおおむね100キロから200キロメートル程度であり、複数の交通路の確保が可能なことなどから締結しているものです。その他、特例市40市間で特例市災害時相互応援に関する協定を、埼玉県内全市町村と災害時における埼玉県内市町村間の相互応援に関する協定を、5市1町と災害に対する相互応援及び協力に関する協定を、さいたま市及び春日部市と災害時における避難場所相互利用に関する協定を締結しております。
 これらの協定に基づく応援の種類としましては、食糧、飲料水及び生活必需物資の提供並びにその供給に必要な資機材の提供、被災者の救助、医療救護及び防疫に必要な資機材及び物資の提供、応急対策及び復旧活動に必要な職員の派遣及び資機材の提供などがございます。また、これらとは別に被災地で必要であると要請があった事柄にも積極的に対応できるよう考えております。このように、あらかじめ他の自治体と応援協定を結んでおくことは、被災地に対する救援活動や本市が被災地となった場合に迅速で確実な支援につながり、大変有効なものでございます。
 また、東日本大震災では、協定を結んでいない南相馬市などにも実際に救援物資の援助を行っており、協定等に基づかない協力もございます。しかしながら、災害時には被災状況に応じた的確な応援、協力が必要で、相手の要望に応えるためには、協定による相互応援や国や県からの要請に基づく支援が基本となります。
 今後につきましては、本市の災害特性等をよく検討し、新たな自治体との協定締結について調査研究してまいります。また、応援協力の内容につきましても、お互いの地域特性に合ったいざというときに役に立つ協定となるよう取り組んでまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、災害発生時の対策についてのお尋ねでございますが。まず、高齢者、要介護者、障がい者等の避難につきましては、災害発生直後においては公助には時間を要することが考えられるため、ふだんからの近所づき合い等共助によって避難していただくことが重要と考えます。ただし、あらかじめ避難支援者を決めてしまいますと、自分自身の危険を顧みずということにもなりかねず、2次被害が発生するおそれや発生時に不在ということも考えられますので、ふだんからより多くの方が要援護者の把握に努めることが重要と考えます。
 また、市では要援護者への支援体制づくりを推進しており、増林地区の一部自治会や民生委員・児童委員の皆様のご協力を得て、平成20年度から越谷市災害時要援護者登録制度モデル地区を創設しております。現在新たに庁内プロジェクトチームを立ち上げ、平成25年度中に全市展開できるようガイドラインを作成しております。また、避難所で2次避難、3次避難が必要な場合などは、助け合いの心を持って避難者同士で協力いただければと考えます。
 次に、避難所等への情報発信と情報収集につきましては、災害時の避難所等との連絡手段として地区防災拠点である市内13地区センターに移動系防災行政無線を配備し、情報の収集、発信ができるようにしております。また、市内小中学校、市立体育館等にウィルコム社製PHSの家電話を配置して教育委員会との連絡がとれるようにし、さらに各小中学校には災害時優先電話も備えております。
 しかしながら、災害時には指定避難場所以外の施設等に自主的に避難する方もおります。このような場合には、ある程度の人数がまとまれば避難所として指定を後からすることも可能でございますので、通常の避難所と同様に情報の収集、発信をしてまいります。その他、避難所以外の避難者につきましても情報の収集、発信をする必要があるため、指定避難所ごとに避難者名簿とは別に避難所以外の避難者名簿を作成し、管理することで、指定避難所と同様に情報の収集、発信をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと存じます。


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