越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成27年6月定例議会

○討論


 議長の許可をいただきましたので、27請願第1号「「国際平和支援法」と「平和安全法制整備法」の国会審議を十分に行い、今国会での採決は行わず慎重であることを国に求める意見書の提出を求める件」に対し、賛成の立場から討論いたします。
 まず先に、日本を取り巻く国際環境は常に流動的に変化をしていると私自身も認識をしていること、また日本を取り巻く領土領海の問題や中東を初めとした原油確保策などについても常に意識をしていること、そのことをまず先に申し述べさせていただきます。
 さて、今回の安全保障関連法案は、昨年7月1日の閣議決定、国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備についてによる集団的自衛権を限定的に容認する憲法解釈の変更により、日本を取り巻く国際環境の変化に対して政府が考える対応策としての法整備です。この法整備を考える際に重要なことは、日本を取り巻く国際環境の変化に対して、ことし4月にアメリカとの間で既に合意をしている日米防衛協力のための指針ガイドラインの改定内容に合わせる法整備であるという点です。手元にこの新ガイドラインの全文を持っておりますけれども、この指針では、日本の安全を確保するための日米協力は、平時から有事まで切れ目のない形で行うと明記し、日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動として集団的自衛権の行使を想定しています。そこでは5つの分野についての例示があります。
  1、米艦船などのアセット、装備品などの防護
  2、捜索、救難
  3、機雷掃海や艦船防衛などの海上作戦
  4、ミサイル防衛
  5、後方支援
 これらが例示されています5分野の協力内容です。 
 日本有事では、離島奪還作戦を初めとした島嶼防衛について、米軍が自衛隊の作戦を支援し、補完するための作戦を実施すると規定し、CBRN(化学、生物、放射能、核兵器攻撃に対する協力)も盛り込んでいます。他方で、地理的制約が事実上課せられていた周辺事態法を重要影響事態法に改正することを念頭に、日本有事以外で対米後方支援が必要となる事態は地理的に定めることはできないとし、日本周辺に限らないことを明確にしました。
 さらに、グローバルな日米協力としては、国連平和維持活動(PKO)などでの連携を強化し、東南アジア諸国連合など第三国の軍隊の能力構築支援で協力するほか、日・米・豪3カ国や多国間で防衛協力を強化することもうたっています。また、宇宙、サイバー空間での協力も明記しています。この日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を見ると、日本の安全確保に向けた取り組みが進むと考えられる部分と安全確保を損なうのではないかという懸念が生じる部分があると考えられます。安全確保を損なうのではないかという懸念は、つまりこういうことです。安全保障関連法案の整備は、他国からの脅威に対して武力を抑止力として応じるものであり、これにより自国と他国の対立構造が一層顕在化するということです。世界に目を移せば、国家や民族、宗教など、自分と異なる相手の存在や個性を認めず、増幅した相互信頼を根底に暴力や紛争が相次いでいます。国際社会は激烈な競争状況にあり、時に合従し、時に連衡し、自国の存立を図っていくものです。その自国の存立を図るに当たっては、過去に国家間の紛争が不幸にも生じた例が数多くあります。そしてまた、日本とアメリカの間でも激烈な戦闘を繰り広げました。しかし、だからこそ、真に平和と安全を構築するためには寛容と互譲(互いに譲る)の精神で相手の違いを受け入れ、認め合い、信頼を醸成し、他者とともに生きる基盤の整備を進めること、これが重要ではないでしょうか。
 この安全保障関連法案に関して、各種世論調査では、その調査媒体、調査方法によって数字に差があるものの、多くの国民は反対あるいは懐疑的な意見を示しています。民意をそんたくしない政権は倒れる、民意をそんたくしない国は滅びるとはある有識者の言葉ですが、民意をそんたくするならば、現時点において安全保障関連法案は国民の支持、合意を取りつけることが不十分であると言えますし、支持、合意ではなく、国際社会さまざまな環境の変化をしっかりと国民の皆様方に理解、納得をしてもらうのだということであれば、やはりなおのこと、まだまだ時間が必要だろうとも考えております。
 その観点から本請願に賛成するものであり、議員の皆様のご賛同を心からお願い申し上げ、討論を終わります。


 
 
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