越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成25年12月定例議会

○討論


 議長の許可をいただきましたので、議員提出第5号議案「消費税の軽減税率制度の導入を求める意見書」に対しまして、反対の立場から討論いたします。
 消費税率に関しては、来年、平成26年、2014年4月に、現行の5%を8%に引き上げることが既に決定をしております。さらに平成27年、2015年10月には、10%に引き上げることとされています。この10%への引き上げに当たって、現在、連立与党内において軽減税率の導入に向けた議論がなされております。しかしながら、この軽減税率の導入には、慎重あるいは明確に反対の声も複数出ております。例えば、直近の議論の前から反対論はありましたが、そのうち幾つかを紹介しますと、3点を示しているある主張では、「軽減税率は効果的でない。線引きの難しさがある。税収入が減る」を問題点として挙げています。また、5点を示しているある主張では、「税率の決定が煩雑になる。税率の決定が恣意的になる。税収減で別途増税が必要になる。税会計が複雑になる。低所得者対策は別に可能」と言っているものもあります。そういった中で、12月9日に開かれた与党税制協議会において、関係5団体が意見聴取に出席いたしました。その席上で関係5団体側からは、検討されている納税事務の新方式に対して慎重な対応を求める意見が相次いだほか、5団体のうち4団体までが、制度適用そのものを反対する、そういった主張をしているというふうに報じられております。この意見聴取に先立って、先月11月20日に、この関係5団体として出席した団体の一部を含めて6団体が共同して「消費税の複数税率導入に反対する意見」が出されています。6団体とは、日本経済団体連合会、日本商工会議所、日本百貨店協会、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会の各団体です。その意見は、複数税率制度は導入せず、単一税率を維持すべきと主張していますが、その理由として4点が示されています。
 以下、それを述べますと、1点目として、複数税率の導入は逆進性対策としては非効率的である一方、大幅な税収減を招き、社会保障制度の持続可能性を損なう。また、税収を補うために標準税率をさらに高くすることは国民の理解を得られない。低所得者対策としては、消費税8%段階と同様、給付措置で対応すべきである。
 2点目として、対象範囲に明確な基準を設定することは困難であり、不要な混乱を与える。また、軽減税率の対象範囲が時々の判断で変更されるおそれがあり、税率区分が変更される都度に経済活動が混乱する。
 3点目として、複数税率に対応するには区分経理が不可欠であり、そのためにはインボイス導入が必須であるが、複数税率、インボイス導入は多大な事務負担を強いる。特に、中小・小規模事業者の多くは手作業で経理事務を行っており、過度な事務負担を強いることになる。
 4つ目として、インボイスを発行できない500万超の免税事業者が取引から排除され、廃業に追い込まれる可能性がある。
 以上のような理由から、日本の大企業が集まる経団連、あるいは商工会議所や商工会、商店街の小売店など、企業同士の商取引や消費者と相対する小売業全般から幅広く反対の意見が起こっています。事務の増加によるコストアップは、製品、商品に転嫁されれば価格の上昇につながりますし、逆に上乗せできなければ、中小の企業や小売店などの経営を圧迫し、例えば商店街の空洞化、買い物困窮者を生み出す要因ともなりかねません。そのような観点からいえば、軽減税率の導入には疑義があるほか、本来消費税は、福祉、社会保障に使われるという名目でありながら、必ずしもそうはなっていない。それでいて増大する社会保障費の財源確保はどうやっていくのか。さらに、税金が上がる、負担がふえるということを歓迎する人はいない中で、なぜ上げていくのか。苦渋の決断をして上げるには相当な理由があったわけであり、そういったことを含めて、改めて今後しっかりと考えなければならない、そのように思う次第であります。
 よって、議員提出第5号議案「消費税の軽減税率制度の導入を求める意見書」には反対であり、議員の皆様のご理解とご賛同を心からお願い申し上げまして、反対討論といたします。

 
 
 
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