越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成25年12月定例議会

○討論


 議長の許可をいただきましたので、議員提出第4号議案「辻浩司議員に反省を求める決議について」反対の立場から討論をいたします。
 まず、改めて事の発端から時系列を追って整理したいと思います。今定例議会初日の12月2日の議会運営委員会の席上、民主党・市民ネットワークの辻議員より、「特定秘密保護法案の強行採決に抗議し、慎重な国会審議を求める意見書」の提出にかかわる議員提出議案を提出したい旨の申し入れがあり、そのことについて辻議員から説明がありました。その趣旨としては、「特定秘密保護法案の強行採決に抗議し、慎重な国会審議を求める意見書」の提出にかかわる議員提出議案を提出したいと考えている。議員提出議案は、原則として議員会の日までに提出することになっているが、急施の場合は都度、議会運営委員会で協議することになっている。今回の意見書は、告示日の翌日26日に衆議院本会議で可決した特定秘密保護法案についてであり、急施に値すると考えているので、ぜひ提出をさせていただきたい。また、国会の会期が12月6日までとなっており、市議会の最終日の採決では意見書の効果がなくなることから、12月6日より前に採決をしていただきたいというものでした。
 ここで、日付や関係する日程を確認しておくと、告示日、議員会の日は11月25日、法案の衆議院の採決は11月26日、議会初日及び議会運営委員会の開催日は12月2日、国会の会期末の予定は12月6日となっていました。
 そういった中で、急施に値するか否か、各会派の意見を確認したところ、7つの会派のうち民主党・市民ネットワーク、日本共産党越谷市議団、新政クラブの3会派は、その時点で急施に値するという見解、残りの4会派は持ち帰って協議したいとのことでありました。午後に議会運営委員会が再開されて、会派に持ち帰った4会派のうち、緊急性がなく、取り扱わないと判断した会派が2会派、公明党越谷市議団、自由民主党市民クラブ、緊急性があり、取り扱うと判断した会派が1会派、保守無所属の会、全会一致であれば取り扱うとした会派が1会派、清流越谷ということでした。
 緊急性がなく、取り扱わないと判断した公明党越谷市議団と自由民主党市民クラブの2会派に対して、急施に値しない理由を伺ったところ、要約をすると、公明党越谷市議団からは、先議が含まれているからということ、自由民主党市民クラブからは、国会で審議中であるからということ、そういったことを理由に述べられていました。そういった理由であるがゆえに、辻議員は急施に値すると発言をされています。しかしながら、議会運営委員会は全会一致を旨としており、一致しない以上は現状維持の原則から、今定例会での議案提出は了承しないということに決した次第です。
 これが12月2日のことでありますが、その翌日の12月3日に辻議員は、自身の簡易投稿サイトツイッターで「越谷市議会では、自民・公明の不当な反対で、意見書の提案そのものを阻止されました。特定秘密保護法案について小金井市議会からの慎重審議を求める意見書が出ました」、以下は別の方のアドレスが続いておりましたけれども、このツイッターの投稿に対して、12月5日の議会運営委員会の席上、公明党越谷市議団から、この投稿を取り上げ、不当、阻止という言葉は不適切ではないか、取り計らいをお願いしたい旨の発言がありました。こういったことを取り扱うのは、申し合わせ事項に基づき、代表者会で行ってきた経過がありますので、議会運営委員会でも当該の辻議員がいたことから、事実の確認が行われた後に、最終的には代表者会で取り扱うことになり、12月6日の代表者会で取り扱われた次第でございます。それ以降は長くなりますので、省略をいたしますけれども、これが一連の流れとなっております。
 さて、一つの事実に対して、物の見方や捉え方がいろいろとあるのは、社会ではどこにでもあることだと思っております。もちろん政治の世界にもです。いや、むしろ政治の世界であればこそ、なおのこと激しく見解が異なる、そういったことが往々にしてあるというふうに思っております。その観点から言えば、不当であるかどうか、阻止であるかどうか、それは投稿した辻議員がどう感じたのかという話でありますが、もちろんその考えに対してそうではないと考える立場の方がいることもまた今回の件で明確になっているところであります。しかしながら、辻議員が感じたことを議員として見解を披瀝する、これがもし文字どおり不当なことであるというふうに仮になっていけば、今後議員は異なる見解が存在することについては、一切発言、発信ができなくなるということに行き着かないのかというふうに私は大いに懸念をしているところであります。
 私は、議会は言論の府であると思っております。それは国会であれ、この越谷の市議会であれ、同じことであるはずです。言論の府の議員である我々は、言論の中に生きていると言えます。その中にあっては、辻議員が見解を発する、そのことに反論をする、その自由も当然にあります。しかし、その反論の自由の存在を認めるゆえんは、反論の前の見解、今回でいえば辻議員の見解の発信ということでありますが、それが保障されて初めて成り立つものであると、そのように考えております。
 よって、今回の「辻浩司議員に反省を求める決議について」、これは反対をするものであり、何とぞ良識ある議員の皆様のご理解とご賛同を賜りますことを心からお願いを申し上げまして、反対討論とさせていただきます。

 
 
 
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