越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成23年12月定例議会

○討論


 23請願第6号 越谷市公契約条例制定に向けた検討委員会の早期設置を求める件について、委員長報告にあった趣旨採択に反対し、原案に賛成の立場から討論いたします。
 本請願は、6月定例市議会における総務常任委員会で請願者や紹介議員の参考人出席の中、説明、審査されましたが、本年3月議会での同趣旨の請願審査の結果である趣旨採択となった経緯を含め、引き続き調査検討を行うため、継続審査となったものです。しかし、本年7月21日、総務常任委員会を継続開催したものの、委員会としての調査や専門的知見の聴取、関係者からの実態把握など、一切の活動に取り組むことなく趣旨採択の結論を出すに至りました。ですが、この間の請願者や紹介議員、執行部からの説明や答弁など、一連の審議を通じて、以下の点、整理して5点が委員会全体の共通認識となったと私は受けとめています。
 1点目に、建設業などでは重層的構造により何重もの下請があり、ここで働く労働者の賃金や労働環境が劣悪となっており、特に若者が大きな影響を受けていること。
 2点目に、現在最低賃金法が制定されているが、埼玉県の包括賃金は時給750円、1日では6,000円、また日本建設業連合会の調査でも年収は351万円から395万円であり、低水準であること。
 3点目に、これらの問題を解決するため、野田市、川崎市では公契約条例を既に制定しており、これ以外にも国分寺市を初め全国の自治体で対応が取り組まれていること。さらに、公契約法制定の国への意見書は、本市議会を初め847の議会で採択されていること。
 4点目に、これに対して越谷市の反応は、公共事業の入札に際し遵守事項を配付し、適正な賃金の支払いに努めるよう指導をしているものの、実際の賃金がどのようになっているのか実態調査さえしていないこと。また、総合評価では必須項目のほかに社会貢献を評価項目としているなどについては項目に入っておらず、末端では事実上、業者任せになっていること。
 5点目に、越谷市のこれらの実態や昨年12月議会での市長答弁を踏まえ、総務部長は公契約条例制定に向け、調査研究を行う検討委員会の設置も十分考えられるとしていること。
 以上のような点で公契約条例制定に向けてその必要性や先進自治体での成果、越谷市の対応の不十分さなどが明確になっており、公契約条例制定は、労働者はもちろん、経営者や地域共同体の発展にとって必要不可欠であることは明白になっています。しかも、検討委員会の設置の意義は当局も認識しているものです。
 しかし、委員会でのこの趣旨採択の結論では、当然ですが、執行部への拘束力はなく、委員会での審査はここで打ち切られ、今後委員会の調査活動も担保されていません。つまりこれまでの一連の本年3月議会での請願審査での趣旨採択、6月議会での継続審査、7月の総務常任委員会での審査を通して明確になった結論は、請願者の意向は理解しましたということにすぎない趣旨採択という事実です。このような結論で、請願者はもちろん、広範な市民が納得をすると委員会で趣旨採択に賛成をされた議員の皆さんは本当に考えておられるのでしょうか。
 もちろん、さきに述べた5点にわたる共通の事実確認に達したことは、委員会での真摯で活発な議論を通して各委員の立場や考え方の違いを乗り越えて政策の決定過程に市民が参加し、透明性の高い審議が行われたことの証左であるとも言えます。だからこそ原案を採択することによって議会の意思を市民に明確に示すことはごく自然のなりゆきであり、市民に信頼される議会の基礎をつくるものであります。
 以上申し述べた委員会での議論の成果を議会全体に広げていただくとともに、ぜひ趣旨採択に賛成された議員の皆さんには再考していただき、討論の趣旨にすべての議員の皆さんにご理解いただくことをお願いし、討論を終わらせていただきます。

 
 
 
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