越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成21年12月定例議会


○行政調査報告


 議長のご指名によりまして、行政調査を行いました石川下公議員、今野忠雄議員、樫村紀元議員、中村讓二議員、原田秀一議員、白川秀嗣議員、藤森正信議員、松島孝夫議員、武藤 智議員を代表しまして、私からその概要をご報告申し上げます。
 調査は、去る11月16日、17日の2日間にわたり、環境経済部長の随行を求め、「議会改革の取り組み」、「高齢者福祉産業彩事業」についての2項目を調査事項とし、徳島県小松島市、徳島県上勝町への行政調査を実施いたしました。
 11月16日は、小松島市において「議会改革の取り組み」について、議会による事務事業評価の実施を中心に調査をいたしました。事務事業評価の実施の契機となったのは、「小松島市も財政が赤字で再建団体一歩手前という厳しい状況に立たされ、そのため議会の厳しい財政チェックが必要ではないか」、「財政を市長や財政担当者だけに任せておいてはいけないのではないか」、「決算・予算審査のやり方を工夫しなければいけないのではないか」との佐野議長からの決算・予算審査改革の表明によるものでありました。その他、議会による市の財政白書作成、議会として施策をつくり行政に提案、議会基本条例の制定などを議長は公約に掲げ、議会では議会基本条例の制定に向け議会改革特別委員会と決算審査特別委員会を設置し、条例内容や決算審査のあり方の検討に入ったとのことでした。
 平成20年9月に初めて事務事業評価を実施され、その作業につきましては、まず議員全員で市が実施した平成19年度の393全事務事業の中から、議会として調査すべき事業として24事業を選定したとのことです。その各選定事業について、執行部が事務事業評価シートを作成し、自己評価を行い、作成した事務事業評価シートを議会に提出、議会は各議員の意見を調整の上、議会として事務事業評価書を作成、さらに議会で評価報告書を作成し、次年度以降の予算の作成資料とするため、市長に提出したとのことでした。
 評価の方法につきましては、事務事業を目的の確認、経費の分析を通して、成果や課題、問題点及び改善策を把握し、評価シートにおいて必要性、妥当性、効率性、緊急性、成果の5項目において、それぞれ20点を配分とした100点満点で事業を数値評価し、その評価を4段階として、1、拡充・継続、2、改善・縮小、3、終了・休止、4、廃止で評価するというものでした。評価の結果として、議員間の意見がほぼ一致した項目が多かったとのことでしたが、一部意見が割れた項目については少数意見も付記され、説明では「議会として評価をまとめることに大きな意義がある」とのことでした。
 小松島市議会は、議会の新たな取り組みとして、公正性及び透明性を確保することにより、市民に開かれた議会を目指して活動を行う、あるべき姿を市民の皆様に知ってもらいたいとのことから、定例会終了後、議会報告会を開催されているとのことでした。調査当日も、夜6時から予定がされておりました。議会基本条例制定により、さまざまな改革が進んでいるものの、改革の緊張感をどれだけ各議員が保ち続けるかに小松島市議会のさらなる議会改革の命運がかかっているとのことでありました。我が市議会にとっても、議会改革に向けて参考になるものでした。
 11月17日は、上勝町において「高齢者福祉産業彩事業」について調査いたしました。上勝町は、徳島市の中心部から車で約1時間の場所に位置し、大部分が山地で、山腹斜面に階段状の田畑があり、標高は100メートルから700メートルの間に大小55の集落が点在する町です。町の人口は毎年減少し、平成21年9月現在では1,997名、854世帯で、高齢化率は49.5%、過疎と高齢化が同時進行している四国で一番小さい町であります。上勝町は、ミカンや、香酸柑橘であるユコウやスダチが特産品でありましたが、昭和56年2月にマイナス13度という異常寒波に襲われ、町の特産品であるミカンは壊滅し、ユコウやスダチも壊滅寸前状態となり、1年間の売り上げは半分に、町の農業は林業の衰退とあわせて大打撃を受けてしまったとのことです。
 この歴史的大災害を乗り切るため、まず軽量野菜を中心に栽培品目をふやし、特に季節的要因の少ないシイタケに注目して農業の再生を行いました。さらに、町の約半数を占める高齢者が活躍できるビジネスはないかと模索したところ、軽量で、しかもきれいであり、女性や高齢者が取り組める商材である葉っぱビジネスに目をつけた、現株式会社いろどり代表取締役横石知二氏が、葉っぱビジネス、つまものビジネスを「彩」と名づけ、昭和62年にスタートいたしました。当初は4名の高齢者でスタートしたものの、現在では200名の高齢者が集まり、その平均年齢は70歳、最高年齢96歳のおばあちゃんもおられるとのことでした。始めたばかりのころは、商品の企画や出荷の時期など特に気にせず詰めて出荷したため、全体で100万円程度しか売れず大赤字になってしまったとのことです。その後、料亭での調査、青果市場との交渉を重ね、市場に受け入れられる企画を整備、情報ネットワークの充実や売れる葉っぱの木の植樹の整備などにより、安定供給を図る努力を重ねた結果、年間販売額は約2億6,000万円になり、全国シェア80%を占めるまで成長したとのことでした。また、高齢者の中には、1人で1,000万円を売り上げている高齢者もいるとのことでした。
 おかげで彩事業が忙しくなり、上勝の町の様子も次第に変わってきたとのことです。年金暮らしだった高齢者は、彩で収入ができて所得税を納めるようになり、毎日のように通っていた診療所やデイサービスには、仕事が忙しくてそれどころではないくらいに元気に働いているとのことでした。上勝町では、彩事業のほか、ごみゼロ、ゼロ・ウェスト宣言、有償ボランティア輸送活動、バイオマス事業と、小さくても輝くオンリーワンを目指して、自立、持続可能な地域であり続けるため努力されていると感じました。
 以上が今回の行政調査の概要でありますが、全体を通しまして市、団体の貴重なお話を伺うことができました。今後、このことを議会及び市政の中で生かしていきたいと考えております。
 以上で報告を終わります。

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