越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■鷹隠書屋(コラム)

政治や経済・文化・歴史などさまざまな事柄について、きくち貴光の考えや想いを随時載せます。なお、「鷹隠(よういん)」とは、きくち貴光の号です。

 

 

■学校耐震化について

 昨年5月に起きた中国四川省での地震は、日本にも多大な影響を与えた。世界中で発生するM6以上の地震の2割は日本で起きる、と言われているほどの地震大国である日本である。常に地震に対して備えをしており施策を講じているが、地震によって「学校」が倒壊して子どもが犠牲になるということは考えもしないことであった。
 学生時代に成都近郊の都江堰市に訪れたことがある。現在は世界遺産にも指定されている、秦の時代に作られ諸葛孔明によって改良されたとされる岷江(みんこう)の川堰がある街であるが、当時住んでいた町、正しくは町のある郡が姉妹都市となっていた関係で訪れた。その時にいろいろな遊戯を披露してくれたのが都江堰市の小学生たちである。
 その時に実際に訪れた学校が今回無事であったのかどうかは定かでは無いが、相当数の学校が倒壊し、多数の犠牲者が出てしまったようである。その数は数千人にものぼるとのことである。「痛ましい惨劇」という表現をすら通り越してしまった。
 その学校倒壊には手抜き工事が指摘されている。日本ではマンションなどの耐震偽装問題が先年起きているが、本来の強度で作り上げても予想を超える被害が生じるのが天災である。ましてや必要な強度が無ければどのようなことが生じるか、想像を絶する被害が生じたのが今回の四川省地震である。
 現在、日本全国に多数の学校があり、それぞれの自治体で強度調査を実施し、さらに耐震強化のための工事が行なわれている。国からは、各自治体に対して、計画を前倒して進めるよう、必要な財源も国から補助を出すという異例とも言える強い調子の通達を出している。
 現在、越谷市でも市内45小中学校の耐震化について、耐震診断とそれに続く耐震工事を進めている。しかし、現時点で94棟が工事対象となっており、その全部が完了するまではなお数年がかかる見通しである。これにかかる費用としておおよそ90億円がかかる見込みであり、予算不足も一因となって完了に時間がかかるようである。
 しかし、地震はいつ起こるかは分からない。もし地震が発生した場合、完了した学校は大丈夫だったが、完了していない学校で校舎が崩れて子どもが犠牲になってしまった、といった場合どう責任を取るのか。
 耐震工事は全国の自治体で進められているが、すでに完了している自治体も少なからず存在する。
 越谷市においても、財源を確保し、不足するならば市民からの寄付を募ってでも、計画を前倒しして早急に工事を完了させる必要がある。

(2009年4月11日)

 

 
 
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