越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■鷹隠書屋(コラム)

政治や経済・文化・歴史などさまざまな事柄について、きくち貴光の考えや想いを随時載せます。なお、「鷹隠(よういん)」とは、きくち貴光の号です。

 

 

■越谷市の財政状況について

 越谷市は人口31万8000人で、その予算規模は一般会計が732億900万円、特別会計が612億3781万1000円、病院事業会計が105億630万円、合計1450億2311万1000円となっている(2006年9月議会での補正予算)。ここでは、市の歳入と、その歳入の不足を埋める市債について考察してみたい。

 まず、一般会計の歳入であるが、大きな比重を占めるのが市税である。この内訳は市民税や固定資産税、市たばこ税などであるが、400億3200万円となっている。その他に市債が64億8270万円、国庫支出金59億8676万円、地方交付税27億3600万円、県支出金26億5614万円、その他159億2040万円となっている。なおこの数字には繰越事業が含まれているので、合計額が上記732億900万円とはならない。

 さて、市債の残高であるが、市債にも一般会計の市債、特別会計の市債とある。平成18年度の当初の発行残高は、一般会計が793億7948万円、特別会計が637億6887万円となっている。合計では1431億4835万円である。この数字は残高のピークであった平成13年度の1520億3559万円に対して88億8724万円の減少となっている。この限りでは財政の健全化が図られているように見えるが、その内容をよく見ると、特別会計の市債残高は減少傾向にあるのに対し、一般会計の市債残高は増加傾向にあるのである。

 問題点を整理するために、一般会計の市債残高の内訳を見てみたい。平成18年9月30日現在では、土木債312億4901万円、減税補填債・臨時税収補填債・臨時財政対策債274億3162万円、教育債83億8278万円、衛生債26億5843万円、その他62億3034万円となっている。この中で、土木債・教育債・衛生債・その他の合計は年々減少している。かつては600億円以上あったものが520億円を切るにまで減少している。そこの部分は十分に評価できる。

 問題は減税補填債・臨時税収補填債・臨時財政対策債の3つである。減税補填債とは、地方税を減税したことで生じた歳入の不足を補うためのもの。臨時税収補填債とは平成9年度の地方消費税の税収が著しく落ち込んだことで生じた歳入の不足を補うためのもの。臨時財政対策債とは国の財源不足等により減収となった地方交付税交付金を補うためのものである。つまり簡単にいえば、あてが外れて金が足りなくなったので借りたということである。この額が年々膨らんでいるのである。

 平成18年度当初では、税収補填債は117億538万円、臨時税収補填債は11億4498万円、臨時財政対策債は152億4897万円で、合計が280億9933万円となっている。これが9月30日には274億3162万円となっているので、わずかに整理が進んでいる形にはなっている。しかし近年の傾向では、市税収入がやや上向いているため税収補填債・臨時税収補填債の残高は減少しているが、国の地方交付税をあてにして結果としてもらえないがために発行している臨時財政対策債は増加の一途をたどっている。まさに、国からの交付金への依存度を減らしていかなければ財政の健全化は図れないということである。

 地方自治体の中で、財政が悪化して苦しんでいるところは、まさに国からの交付金への依存度が高いところである。全国的にみれば越谷市の場合は依存度が低く、比較的財政事情がよい部類には入るものの、今後の社会情勢、経済情勢次第では悪化する恐れも十分ある。新たに小学校を建設するなど人口もまだまだ増加しているが、この状態がずっと続くわけではもちろんない。今のうちから財政の健全化を目指し、削るべき経費は削り、必要とされるものに十分に予算を回すことができる状態を作り出しておくべきである。

(2007年1月3日)

 

 
 
copyright (c) 2009. kikuchi-takamitsu. All Right Reserved.