■議会報告

●令和7年3月定例議会
質疑(1回目)
議員提出第2号議案「国連女性差別撤廃委員会への拠出金使途除外等の撤回を求める意見書」に対して、4点質疑します。
1点目です。意見書にあります女性差別撤廃委員会及び条約について、政府は女性ではなく女子と訳していますが、日本は1985年、昭和60年に批准し、以後様々な取組を重ねてきています。そこで、まず条約がいうところの女子に対する差別とは何かお伺いします。
2点目です。条約による勧告ということについて、日本を含めた各国の国内における法的な位置づけ、順位や序列といったものはどのようなものかお伺いします。
3点目です。今回の勧告は、昨年、2024年10月に示されたものですが、これには25項目にわたる事前質問票が寄せられています。1つの項目の中に複数の質問がありますので、都合67点にわたりますが、政府は2021年、令和3年9月に回答しています。この政府の回答及び回答する姿勢に対する評価、見解はどのようなものかお伺いします。
4点目です。意見書には今回の外務省の対応について、皇室典範改正を勧告したことへの抗議の意図であると説明しているとあります。本年1月29日に外務報道官が記者会見した内容を、その会見記録から読むと、女子差別撤廃委員会に対し、政府として2つの措置を講じることとしたとあります。1つは、女子差別撤廃委員会の事務を行っている国連人権高等弁務官事務所に、これまで用途を特定して毎年拠出している任意拠出金の使途から女子差別撤廃委員会を除外すること。もう一つが、本年度に予定していた同委員会の委員の訪日プログラムについて実施を見合わせること。この2つの措置を講じることを伝達したわけですが、任意拠出金の現状について、金額や政府が求める使途がどのようなものか、把握されている内容についてお伺いします。以上4点、よろしくお願いいたします。
山田議員答弁
菊地議員の質問にお答えします。4点質疑をいただいたと思います。
まず、1点目ですけれども、条約がいうところの女子に対する差別とは何かというご質疑だったと思います。女性差別撤廃条約第1条において、「女子に対する差別とは、性に基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他いかなる分野においても、女子が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するものをいう」と規定されております。
なお、先ほど菊地議員のご質疑で、政府は女性ではなく女子と訳していますがとのご指摘があったと思いますが、確かに公文書では女子という表記がなされているのですけれども、こちらは現在では女子というのが少女とか未婚の女性を一般的に表す言葉であるということから、現代では女性差別撤廃条約というふうに言われることが一般的になってきているかなと思います。
2点目なのですが、2点目は条約と国内法の関係性ということだと思いますけれども、まず日本国憲法では、日本が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守すると定められています。したがって、国際条約は日本国内の法律と同等または優先する立場にあると考えます。法的序列としては憲法があって、条約があって、国内法があって、政令や省令や自治体の条例があると捉えています。ただ、CEDAWの勧告というのは、国内法よりも上位にあるとは思うのですけれども、ただ法的な拘束力はありませんので、勧告というのは助言といいますか、各国に条約の履行をお願いするものだと捉えております。
3点目でございますが、事前質問票ですね、2021年に政府がCEDAWに対して、CEDAWからの質問に答えた事前質問票の回答に対する評価、見解というご質疑だったと思います。これは、令和3年9月の政府による回答書は、日本における女性差別撤廃の取組状況が包括的に示されているもので、CEDAWによる審査の重要な資料となっていると思います。見解ということなのですが、前進した取組としては2018年に候補者男女均等法が制定されて、また21年に改正されるなど、女性の政治参画施策がやや前進した一方で、選択的夫婦別姓の導入に関しては、2003年の審査以降、毎年勧告を受けているにもかかわらず、20年前進していないということがありまして、締約国としての日本の現状を真摯に回答しているという点は評価いたしますが、その内容としては不十分だと考えております。
また、恐らく菊地議員がこのご質疑をされたのは、この事前質問票の項目2に皇室典範に関し女性が皇位を継承することを可能とするために締約国が取ろうとしている手続の詳細を提供されたいという質問がありまして、それに対して日本政府は、我が国の皇室制度も諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や伝統を背景に国民の支持を得て今日に至っているものであり、皇室典範に定める我が国の皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項である。女子に対する差別の撤廃を目的とする本条約の趣旨に照らし、委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではないというふうに回答しておりまして、この姿勢、今回の拠出金停止の姿勢というのは、その2021年の事前回答票でも同じ姿勢であったというふうに認識しています。
4点目なのですが、4点目は任意拠出金の現状というご質疑だったと思います。任意拠出金の現状なのですが、この任意拠出金というのは、各国が国連の活動や機関を支援するために自主的に提供する資金でありまして、その金額とか使い道というのは、その時々の政策の優先順位などによって違うと思っています。外務省のホームページで調べてみますと、令和3年度の任意拠出金は約1,798億円だそうですが、内訳としては、10の国連機関に拠出されているということで、私たちが耳にする機会の多い機関としてはWFP、世界食糧計画とか、ユニセフとか、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所などがあるとのことでした。
ちなみに報道によりますと、外務省が確認した2005年以降でCEDAWに日本の拠出金が使われたことはないとのことでした。以上です。
質疑(2回目)
ご答弁ありがとうございました。質疑の2回目です。
それでは、2点目と4点目について再度お伺いします。まず、2点目についてです。先ほどのご答弁にもありましたが、法律、国内法があって、その上に外国との条約があり、さらにそれらの上位に憲法がある。つまり国内の憲法は、外国との条約の上位にあるあるいは優先するという認識であるということでよいか、念のためお伺いします。
次に、4点目についてです。意見書には、今回の外務省の対応は皇室典範改正を勧告したことへの抗議の意図であると説明しているとあります。先ほど本年1月29日に外務報道官が記者会見した内容について述べましたが、当日の外務報道官の会見記録では、政府の対応を委員会に伝達した事実は説明していますが、そこに抗議の意図があるとの説明はないように見受けられます。意見書で言う抗議の意図であると説明しているとは、どのような点を指すのかお伺いします。
山田議員答弁
お答えいたします。
2点目の質疑への再質疑でございますが、私はそのように認識しております。
4点目への再質疑でございますが、どの点が抗議に当たるのかというご質疑だったと思います。菊地議員がおっしゃったように、1月29日の外務報道官が記者会見した内容についてなのですが、そこで岩屋外務大臣のコメントということで、皇位継承資格は基本的人権の範疇ではないと考えており、CEDAWの勧告は不適切であると判断しました。そのため、同委員会への任意拠出金の支出を停止することを決定しましたというコメントがありました。
また、外務報道官からも、拠出金の一部でも使われないことが確保され、日本政府の立場をより明確に示すことになるといったコメントもありました。
このCEDAWの勧告は不適切であるという発言や、また日本政府の立場を拠出金を停止することによってより明確にしたという、この発言が私は明確に日本の立場を表したということで抗議に当たるのではないかと考えております。以上です。
質疑(3回目)
ご答弁ありがとうございました。それでは、質疑3回目です。
まず、2点目の再質疑で、憲法の位置というものを確認させてもらいましたけれども、その憲法では第1章に天皇の章を立て、第1条に、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」。第2条に、「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めがあります。今回の政府の対応は、ひっきょう皇室典範のありようをどう捉えるかだと思います。委員会もそうですし、我々国民もそうです。
そこで、4点目について、いま一度お伺いします。皇室典範についてこれまでの議論を調べてみましたところ、平成15年に開催されました衆議院憲法審査会の際の資料として、過去の国会での議論の概要が出されています。インターネットに公開されていますが、それによると、平成2年4月17日の衆議院法務委員会で、今回と同様の件が質疑されています。そこでは、女子差別撤廃条約に対する皇室典範への疑念が提示され、女性皇族が皇位に就けないのは条約違反という主張がなされています。これに対する政府側の答弁は、皇位に就く資格は、基本的人権に含まれるものではない。皇位継承が男系男子の皇族に限定されていても、女子の基本的人権が侵害されることにはならない。したがって、条約が撤廃の対象としている差別にも該当しないという解釈を、1点目に私がお尋ねした条約で言う女子に対する差別に対する政府の見解を含めて述べています。
政府の見解は現在も踏襲されており、今回の勧告に当たってその説明も複数回女子差別撤廃委員会に行っているところです。歴史をひもといてみると、承久の乱以後、鎌倉時代中期から皇統が乱れ、持明院統と大覚寺統という2派が争うということになっています。それらをやがて南北朝時代となりますが、大覚寺統南朝方では北畠親房が「神皇正統記」というものを著しています。セイトウと書いて、ショウトウとここでは読みますが、後醍醐天皇の後を継いだ後村上天皇にそれを献上しています。私も現代語訳を持っていますけれども、この南朝の考えは、江戸時代の水戸学に影響を与えます。その水戸学は、幕末の志士たちに影響を与えます。そして、維新後、明治国家建設の過程で天皇の権能や権限というものを大日本帝国憲法の条文の中に定めて、そしてまた皇位継承の在り方を旧皇室典範で明文化するに至ったと理解をしています。
正統(ショウトウ)の概念を素直に受け止めると、持明院統こそ正統となるはずですが、それはさておいて、政府は女子差別撤廃委員会に対して、歴史や伝統がそれぞれの国にある中、国の在り方の基本的事項だとして皇室典範を説明し、女性に対する差別の撤廃を目的とする条約の趣旨に照らすと、委員会が皇室典範について取り上げることは適当ではないという説明を繰り返しています。改めて、このことに対する見解についてお伺いいたします。
山田議員答弁
再々質疑にお答えいたします。
菊地議員からるる天皇制の歴史、成り立ちのお話も少しいただきましたけれども、今回の意見書は提案者の私の気持ちとしましては、日本の歴史とか伝統を殊さらに否定するものではないというふうに考えております。その上で、私は今回のCEDAWが日本政府に対して皇室典範の改正を勧告した意図というのは、日本の歴史や伝統に対して干渉するというようなことではなく、男系男子のみが皇位継承できるとする皇室の在り方が、日本国内におけるジェンダー不平等に少なからぬ影響を及ぼしていることを問題提起するためであったのではないかと、そのように私は考えております。
日本国憲法において、国民統合の象徴とされる天皇は、歴史的、文化的な面だけではなく、現在の日本社会の価値観を体現する存在でもあると考えておりまして、女子は皇位継承できないという現在の在り方は、すなわち重要な役割は男性が担うものですとか、あるいは女性は家庭を守るべきですとか、そういったジェンダーバイアスを生む可能性があると考えています。
この点について、日本政府には拠出金停止ですとか、訪日プログラムの停止といった対話をしないという後ろ向きの姿勢ではなくて、CEDAWの勧告を契機に、再び政府内や国会で皇室の在り方について議論を再開することで、そしてそれらが報道され、国民的な議論につながっていくというような、そういうような流れになっていってもらえたらいいなというふうに考えております。以上です。
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