越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●令和6年9月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、災害時の避難生活についてのうち地震被害想定と避難所の収容可能人員についてのお尋ねでございますが。現在の越谷市地域防災計画で想定している地震被害については、本市における被害が最も大きいとされる茨城県南部地震では約2万人を超える避難者が発生するとしております。また、東京湾北部地震では約5,800人の避難者が発生するとしております。
 避難者1人当たりのスペースにつきましては、本市の災害発生時における避難所運営マニュアルにおいて2平方メートルとしており、市内89か所の指定避難所では約3万5,000人が収容可能となっております。なお、過去の想定避難者数ですが、平成9年度の埼玉県地震被害想定調査では、本市における被害が最も大きいとされた綾瀬川断層による地震で約6万3,000人、平成19年度の埼玉県地震被害想定調査では東京湾北部地震で約4万8,000人とされておりました。
 次に、学校施設の利用手順についてのお尋ねでございますが。市内小中学校を避難所として開設する場合、避難スペースは原則体育館や柔剣道場となります。しかしながら、広範囲に甚大な被害をもたらす大規模災害の発生により想定を超える多くの住民が避難し、避難所となる小中学校の体育館、柔剣道場だけでは受け入れ切れない場合には、校舎内の教室等を避難所として活用することになると考えております。
 その際に使用する教室等については、河川決壊時に垂直避難が必要となった場合の避難場所として使用可能な教室を事前に決めており、それを参考に、避難の状況を踏まえて越谷市災害対策本部で判断することになります。今後につきましても、災害時の避難状況に応じた適切な避難所運営に努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、避難所のトイレについてのお尋ねでございますが。大地震などの大規模な災害が発生し、上下水道に損傷が出た場合、その範囲内にある避難所のトイレも汚水を流せず、使用できなくなることから、本市においては水を使わずに排せつ物を処理できる自動ラップ式トイレや簡易トイレのほか、組立て式トイレやマンホールトイレなど、各種の仮設トイレの計画的な備蓄を進めております。その他全国規模の災害派遣ネットワークが組織されているトイレトレーラー等も活用してまいります。
 また、能登半島地震においては、発災後の初期段階でし尿の回収が課題となっていたことから、平時から大規模災害発生時に備えて仮設トイレを運用する際の計画的かつ継続的なし尿回収体制の必要性を改めて認識したところです。避難所から排出されるし尿の処理は、固形化できるものは可燃物として、貯留型の仮設トイレについてはくみ取りでの対応となりますが、本市においては越谷市災害廃棄物処理計画の中で処理対応について基本方針を定めており、災害時には越谷市環境事業協同組合をはじめとする関係機関と連携を図りながら対応を行うこととしております。今後につきましても被害発生時には避難所に必要な仮設トイレ数を設置するとともに、適切な維持管理を図ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、トレーラーハウス等の活用についてのお尋ねでございますが。トレーラーハウス等は設置場所を選ばず、迅速な移動も可能であり、仮設住宅としての利用が終わった後も引き続き別の場所で繰り返し使用可能な点なども含め、被災地に適した有効な取組として捉えております。しかしながら、市として所有する場合、その保管場所や活用方法等の課題もあることから、本市におきましては令和2年度に緊急時における移動式宿泊施設等の提供に関する協定、令和4年度に災害時におけるレンタルキャンピングカー等の提供に関する協定をそれぞれ民間事業者と締結し、災害時にトレーラーハウス等を活用できるよう準備をしております。
 今後につきましても、平時から協定締結先等の関係団体との連携確保に努めながら、被災者の住宅再建、生活再建に備えた取組を推進してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、さらなる官民連携の取組について、成果連動型民間委託契約(ペイ・フォー・サクセス、ソーシャル・インパクト・ボンド)についてのお尋ねでございますが。成果連動型民間委託契約は、社会課題の解決に対応した成果指標を設定し、成果指標値の改善状況に連動して委託費等を支払うことにより、より高い成果の創出を民間事業者に働かせることが可能となる官民連携の手法で、従来型の委託方式に比べて社会課題が効果的に解決されるとともに、より良質な市民サービスの提供につながることが期待されています。内閣府成果連動型事業推進室によりますと、令和5年度末時点で134の自治体において、医療、健康を介護分野を中心に273の事業が実施されております。このように活用している自治体は一定数見られるものの、適正な成果指標や報酬の支払い条件の設定が難しいなどの課題が挙げられます。
 本市においても既に人口減少の局面を迎え、限られた財源で効率的、効果的な行財政運営がより一層求められることから、民間事業者のノウハウを活用し、市民サービスの質や事業の効果を高めていく新たな官民連携の手法を取り入れることは必要であると考えております。
 ご提案の成果連動型民間委託契約につきましては、本市が抱える行政課題の効果的な解決、改善や限られた財源でより政策効果の高い事業展開が期待できることから、国のガイドラインや他自治体の事例を参考にしながら調査研究してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、越谷総合食品地方卸売市場についてのお尋ねでございますが。まず、市場の現状につきましては、越谷市場の卸売業者は全国の青果全般を取り扱っておりますが、本市を含めた近隣5市1町の生産者が出荷する農産物は主にコマツナやネギ、ホウレンソウ、枝豆、山東菜などとなっております。また、取扱高につきましては、全国的に産直取引や契約栽培、直売所、ネット販売など、卸売市場を経由しない流通が増加し、減少傾向となっております。越谷市場におきましては、令和5年度の取扱数量は2万2,805トンで、平成25年度の3万1,731トンから10年間で約28%減少しており、令和5年度の取扱金額は約92億1,300万円で、平成25年度の約97億900万円から10年間で約5%減少しております。施設の老朽化対策につきましては、越谷市場は昭和59年3月の開設から40年が経過しており、維持管理コストの増大に苦慮されていると伺っております。特に電気設備や消防施設、空調施設などの老朽化が著しく、優先順位を決め、限られた予算の範囲で対策が進められていると伺っております。
 次に、埼玉県東部流通センターの経営につきましては。近年の売上高は2億円前後で推移しており、令和5年度の売上高は約2億700万円、純利益は約1,300万円となっております。しかしながら、約9,000万円の累積欠損金を抱えており、純利益はその解消に充てている状況でございます。また、収入は卸売業者や関連事業者などからの施設使用料や、電気、水道使用料などに限られておりますが、施設の老朽化に伴う修繕費の支出が増加傾向にあり、今後も厳しい経営状況が続くことが予想されると伺っております。
 越谷総合食品地方卸売市場を開設しております埼玉県東部流通センターは、昭和56年7月に本市を含む近隣5市1町や農業協同組合、市場関係者等が出資、第三セクター方式により設立されております。この埼玉県東部流通センターでは、経営上の課題等における意思決定につきましては取締役会において決議されることとなっており、本市を含む近隣5市1町の首長などが取締役として経営に参加をしております。今後も埼玉県や5市1町をはじめ、関係機関との連携、協力の下、埼玉県東部流通センターの安定的な経営に向けて取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、次代を担う子ども・若者支援についてのうち奨学金返還支援についてのお尋ねでございますが。教育費の負担が理想の子供の数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声があることから、令和5年12月に閣議決定されたこども大綱において、高等教育の負担軽減として、授業料等の減免や奨学金制度の拡充などの必要な措置を講じていくことが明記されました。また、本年6月には子どもの貧困対策の推進に関する法律が改正され、子供の貧困の解消の推進が強調されました。
 このことを受け、国では奨学金の返還支援として、貸与型奨学金における減額返還制度が見直され、利用可能な年収上限が引き上げられました。また、子育て支援等の観点から、授業料等の減免と返還を要しない給付型奨学金をセットで行う高等教育の修学支援新制度について、多子世帯や理工農系の私立大学等に進学する学生を対象に世帯年収約600万円まで支援対象が拡大されたほか、来年度からは多子世帯の授業料等の無償化などを講ずることとするなど、子育てや教育に関する経済的負担の軽減に向けた集中的な取組が実施されているところです。このような状況を踏まえ、本市といたしましては引き続き国や県の動向に注視するとともに、国が実施する教育費の負担軽減制度について、様々な機会を捉えて周知啓発を図ってまいります。
 ご提案のありました子育て支援の観点からの奨学金返還支援制度について、先進事例を参考にしながら事業効果等について調査研究してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 私からは以上となります。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問にお答えをいたします。
 次代を担う子ども・若者支援についての入学準備金貸付制度についてのお尋ねでございますが。本市では教育基本法第4条の趣旨を踏まえ、ひとしく教育を受ける機会を提供することを目的に、高等学校、大学等への入学を希望する生徒の保護者で入学資金の調達が困難な方を対象に、無利子で入学準備金の貸付けを行っております。
 本制度の過去5年間の高校、大学等の貸付件数及び貸付金額の推移につきましては、令和元年度は高校等が18件720万円、大学等が18件1,400万円、計36件2,120万円の貸付けを行いました。令和2年度は高校等が19件700万円、大学等が13件1,040万円、計32件1,740万円の貸付けを行いました。令和3年度は高校等が7件190万円、大学等が8件620万円、計15件810万円の貸付けを行いました。令和4年度は高校等が7件330万円、大学等が6件460万円、計13件790万円の貸付けを行いました。令和5年度は高校等が16件、620万円、大学等が7件510万円、計23件1,130万円の貸付けを行いました。
 貸付件数が減少傾向にある要因といたしましては、平成22年4月に開始した国の高等学校等就学支援金制度による公立高校の授業料実質無償化に加えて、令和2年4月に開始した私立高校授業料実質無償化や大学等を対象とした高等教育の修学支援新制度など、奨学金等の制度が拡充されたことが一因であると考えられます。
 次に、本制度の周知につきましては、広報こしがやや市ホームページに掲載するほか、市内公立中学校の保護者宛てに連絡アプリすぐーるによる配信や市内高等学校及び市内公共施設へチラシ等を配架するなど、本制度を必要としている方に情報が行き渡るよう、効果的な周知に努めております。
 次に、連帯保証人については、市内在住の方1名を立てていただき、申請を受け付けております。これは、借受け手続を行う際に、借受人の方とともに連帯保証人の方へも十分な説明が必要であることなどから設けている要件となっております。市内在住の方が見つからない場合は、連帯保証人としての債務を保証し得る能力があると認められるかを審査の上、市外在住の方でも認めております。
 教育委員会といたしましては、今後も本制度や国、埼玉県等において実施している奨学金等の制度の周知を行い、子供、若者がひとしく教育を受ける機会の提供に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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