越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●令和6年6月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、金融政策変更による財政への影響についてのうち、市債発行時の利率の現状についてのお尋ねでございますが。市債発行に伴う元利償還金は、後年度の返済が義務づけられますことから、日銀の金融政策に伴う金利の動向は、将来の償還額にも大きな影響を与えます。近年、日銀のマイナス金利政策により、市債の借入金利は低水準で推移しておりましたが、本年3月のマイナス金利政策の解除に伴い、借入金利も上昇傾向にございます。令和4年度と令和5年度の出納整理期間に発行した通常債の主なものについて、借入先別に比率を比較してみますと、公的資金である財政融資資金は、借入期間10年の場合、0.3%から0.7%へ、借入期間20年の場合、0.8%から1.2%へそれぞれ上昇しております。
 また、民間資金のうち、市内金融機関からの調達では、借入期間10年の場合、0.364%から0.642%へ、借入期間20年の場合、0.924%から1.180%へ上昇しております。
 次に、利払いコスト上昇による財政への影響についてのお尋ねでございますが。日銀のマイナス金利政策の解除以降、長期金利の代表的な指標である国債の利回りは上昇しておりますことから、本市においても市債の借入利率は上昇傾向が続くものと見込んでおります。市債発行に伴う元利償還金は義務的経費となり、将来的に財政運営を硬直化させる要因となりますことから、特に金利の上昇局面における市債の発行については慎重に検討するべきであると考えております。
 一方、昨今の大規模災害の発生や公共施設等の老朽化の状況などを踏まえますと、市債を有効活用し、本市が喫緊に対応しなければならない諸課題も数多くございます。このため、引き続き市債残高の推移に注視しつつ、低利な公的資金からの借入れや交付税算入のある有利な地方債を活用するなど、財政負担の軽減を図り、行政需要へ的確に対応してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、越谷市避難行動要支援者支援制度についてのうち、制度の対象者についてのお尋ねでございますが。今回の制度の変更につきましては、内閣府が示す取組指針において、真に避難支援を必要とする方を対象に避難行動要支援者名簿を精査し、個別避難計画の作成に取り組んでいくことが適当とされていることを受け、庁内関係課で協議の上、実施したものでございます。この考えの下、変更後の制度では、これまでの制度の対象者から満75歳以上の者に関する要件を撤廃し、療育手帳○A、A及び精神障害者保健福祉手帳1級の所持者、難病患者のうち筋萎縮性側索硬化症患者と人工呼吸器装着者、小児慢性特定疾病児童のうち、人工呼吸器装着者をそれぞれ追加いたしました。なお、変更後の制度の対象者数は、令和6年4月1日現在9,682人となっております。
 次に、個別避難計画についてのお尋ねでございますが。市内における避難行動要支援者等のうち、制度に登録申請をいただいた方について、登録申請者本人の同意を得られた範囲で避難支援のための情報をまとめた個別避難計画を作成しております。その内容につきましては、登録申請者の氏名、住所、連絡先等の基本情報のほか、避難支援者の氏名及び連絡先、予定する避難所、移動手段、持病や常備薬の有無等を記載することとしております。計画の作成に当たっては、制度へ賛同した自治会や自主防災組織、民生委員・児童委員等の避難支援者の方々にご協力をいただいており、市から登録申請者の名簿の提供を受けた避難支援者の方に登録申請者の自宅を訪問していただき、申請内容や個別避難計画に必要な情報を相互に確認していただきます。その後、市にフィードバックされた情報を計画に反映する一連の流れとなっております。
 次に、避難支援者(地域の協力者)の確保についてのお尋ねでございますが。現在、避難支援者には制度への賛同自治会及び近隣住民の方々に地域の協力者として中心的な役割を担っていただいております。その際、避難支援者の方には災害時の支援について責任を伴うものではなく、ボランティアとしてできる範囲での支援をお願いしております。今後も制度の理解促進及び制度への賛同していただける自治会数のさらなる増加に向けて、引き続き制度の周知を図ってまいります。
 次に、実際の避難時の課題についてのお尋ねでございますが。災害時の実際の行動として、まずは避難支援者ご自身とご家族の安全確認をした後に、要支援者の安否確認をお願いしております。もし要支援者の家屋が被災している場合は、近隣住民と協力し、救助活動、関係機関等への連絡、避難誘導等を行っていただくこととなりますが、それらを実効性のある支援とするためには、平常時からの地域住民の連携、情報共有、防災訓練等が重要と考えております。
 さらに、人工呼吸器装着者など避難支援の優先度が高い方につきましては、より具体的な避難計画を作成することや、福祉避難所等への避難を想定した準備が必要と考えております。今後につきましても、災害時に制度が有効に機能するよう、平常時から避難支援者や要支援者と情報共有や連携を深めるとともに、制度の周知や個別避難計画の推進に努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、地域幸福度(ウェルビーイング)指標についてのお尋ねでございますが。デジタル庁における地域幸福度指標について及び地域幸福度を政策の意思決定に活用することについてに関しましては、関連がございますので一括してお答えいたします。令和3年、国が発表したデジタル田園都市国家構想では、デジタル実装を通じて地方が抱える課題を解決し、誰一人取り残されず、全ての人がデジタル化のメリットを享受することで、心豊かな暮らし(ウェルビーイング)と持続可能な環境・社会・経済(サステナビリティ)を実現するとしています。
 こうした中、令和3年9月に発足したデジタル庁により、住民の健康面や精神面の幸福度を示すウェルビーイング指標を計測するツールの提供が開始されました。このツールは、オープンデータやアンケートを活用し、自治体ごとに医療、健康、子育てなど20を超える要素を基に、住民の幸福感や暮らしやすさといったことを数値化、可視化するもので、このツールの活用により、これまで見えなかった課題やニーズを把握した上で、住民の幸福度を高めるための施策の立案が可能となるとされております。
 昨年6月に公表された令和5年度の幸福度に係るデジタル庁の評価結果を見ますと、本市のアンケート回答者142人の幸福度の評価は、全国約8万5,000人の回答者の平均値を若干上回っている状況にございますが、住民の幸福感、ウェルビーイングを高めていくということは、行政として重要な視点であり、本市といたしましても、引き続きこのことを十分念頭に置き、各種施策を進めていきたいと考えております。
 また現在、令和8年度からスタートする第5次総合振興計画後期基本計画の策定に向けた取組を行っておりますが、この計画はまち・ひと・しごと創生法に基づく国のデジタル田園都市国家構想総合戦略や埼玉県のまち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえて策定することとしております。この策定のプロセスの中で、デジタル庁が提供するウェルビーイング指標の活用についても検討していきたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、子どもの視力についての3歳児健診での眼科屈折検査についてのお尋ねでございますが。母子保健法に基づく3歳児健康診査での視力検査は、目の疾病及び異常の有無を確認し、幼児の弱視等を早期に発見し、早期治療につなげることを目的に実施しております。
 なお、令和4年度からは、屈折検査機器等の整備に対し、国の補助事業が創設されたことに伴い、本市においても令和4年8月から3歳児健康診査において屈折検査を開始いたしました。この屈折検査は、視力検査と併用して行うことにより、日常の生活では気づきにくい片眼性の弱視等の発見に有効であるとともに、目の写真を撮影することにより、屈折や眼位の異常について自動判定ができるものでございます。令和5年度は、2,241人が受診し、弱視や斜視などが疑われ、眼科での精密検査を勧めた幼児は169人であり、そのうち42人が医療の必要があると判定されました。精密検査では、31人が弱視、11人が遠視などの診断結果となりました。
 人間の視覚機能は、3歳頃までに急速に発達し、6歳から8歳頃にほぼ完成することから、3歳児健康診査において視力の発達の遅れや眼疾患を早期に発見し、治療につなげることは、その後の視覚機能を向上させるために大変重要であると認識しております。本市といたしましては、引き続き3歳児健康診査において屈折検査を実施し、幼児の弱視等の早期発見、早期治療に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。私からは以上となります。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、多忙な学校業務の解消に向けた取組についてのお尋ねでございますが。多忙の現状については。学校を取り巻く環境が複雑化、多様化する中で、学校の担う役割が拡大し、教職員の負担は増加しております。このことから、教職員のこれまでの働き方を見直し、子供たちに対してよりよい教育を行うことができるよう、教職員の働き方の改善が急務となっております。
 このような学校の現状を鑑み、教育委員会としては、令和4年4月に第2期越谷市学校における働き方改革基本方針を策定いたしました。その中で、教職員の健康を意識した働き方の推進、教員の専門性を踏まえた総業務量の削減、教職員の負担軽減のための条件整備、保護者や地域の理解と連携の促進という4つの視点を取り上げ、取り組んでおります。その結果、令和5年度の時間外在校等時間の1か月当たりの平均時間は、令和4年度と比較して、小学校で8時間3分減の28時間38分、中学校で8時間33分減の31時間48分となっており、一定の成果が上がっております。一方、勤務時間を除く在校等時間に行った業務内容については、本市における傾向として、教材研究など授業準備の時間を筆頭として、校務分掌に関わる業務や学級経営上の業務、部活動に関する業務等が多いという実態が明らかになっております。
 次に、外部コンサルタント活用を含めた改善内容についてのお尋ねでございますが。令和4年度と令和5年度においては、外部コンサルタントを活用し、働き方改革の推進を図るとともに、改善策の普及に取り組みました。具体的には、導入した学校において、指摘事項に基づいてアクションプランを作成し、業務の効率化を図るとともに、外部コンサルタントから教職員の意識改革やタイムマネジメントの推進をするための手引の提供を受け、越谷市立小中学校負担軽減検討委員会で共有し、校長会や教頭会で情報を提供することで、市内小中学校に周知しております。
 次に、今後の取組についてのお尋ねでございますが。今年度においては、産業医等による面接指導体制の充実やスクール・サポート・スタッフ等の人的配置の促進等を重点として継続してまいります。また、校長会での働き方改革に関する情報提供や指導主事による学校への出前研修を通して、市内小中学校の業務の効率化を推進してまいります。一方、各学校においては、今年度新規の重点取組として、必要最低限の授業時数にする教育課程の編成、学校行事の精選、重点化や準備時間の短縮等を各学校の実情に合わせて行ってまいります。
 教育委員会といたしましては、引き続き教職員が子供たちの指導に専念できるよう、多忙な学校業務の解消に向けた取組を着実に推進し、学校教育の質の向上に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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