越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●令和6年3月定例議会


市長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 まず、コロナ禍における財政状況についてのうち、令和2年度から令和4年度までの歳入の状況についてのお尋ねでございますが。本市では、コロナ禍において感染症対策や給付金などの各種支援策などを講じてまいりましたが、事業の財源については主に国庫支出金を有効活用してまいりました。その内訳を年度別に見てみますと、令和2年度は各種給付金に359億円、事業者を含む市民への支援に8億円、感染症対策に6億円など、全体で399億円の国庫支出金を活用いたしました。そのうち地方創生臨時交付金は30億円となっております。令和3年度は、各種給付金に81億円、感染症対策に33億円、事業者を含む市民への支援に11億円など、全体で125億円の国庫支出金を活用いたしました。そのうち地方創生臨時交付金は14億円となっております。令和4年度は、感染症対策に41億円、各種給付金に39億円、事業者を含む市民への支援に7億円など、全体で87億円の国庫支出金を活用いたしました。そのうち地方創生臨時交付金は27億円となっております。令和2年度から令和4年度までを合計いたしますと611億円の国庫支出金を活用し、そのうち地方創生臨時交付金は71億円となりました。
 次に、令和2年度から令和4年度までの歳出の状況についてのお尋ねでございますが。その内訳を年度別に見てみますと、令和2年度は特別定額給付金をはじめとする各種給付金に359億円、感染症蔓延防止のためのインフルエンザ予防接種など感染症対策に10億円、小中学校の臨時休校への対応や公共交通事業者への運行継続支援、事業継続支援金など、事業者を含む市民への支援に9億円を支出するなど、事業費全体では411億円となりました。令和3年度は、子育て世帯等臨時特別給付金などの各種給付金に81億円、ワクチン接種などの感染症対策に35億円、プレミアム付商品券や中小企業影響緩和支援金など事業者を含む市民への支援に11億円を支出するなど、事業費全体では128億円となりました。令和4年度は、ワクチン接種事業などの感染症対策に43億円、子育て世帯などへの各種給付金に40億円、コロナ禍における物価やエネルギー価格の高騰への対応など、事業者を含む市民への支援に10億円を支出するなど、事業費全体では93億円となりました。令和2年度から令和4年度までを合計いたしますと632億円を支出いたしましたが、その内訳としましては各種給付金事業が76%、感染症対策が14%、事業者を含む市民への対応が5%などとなりました。
 次に、令和6年度地方財政対策と当初予算案についてのうち、歳入における特色についてのお尋ねでございますが。地方財政対策は、全ての地方公共団体の歳入歳出の見込額を示す地方財政計画の公表に先立ち、新年度における地方への財源対策などが示されるもので、本市においても当初予算編成の参考としております。令和6年度当初予算編成においては、歳入で地方交付税や各種交付金の伸び率などを考慮するとともに、国の定額減税に伴う市税収入の減収分を地方特例交付金へ計上するなど、国の動向に合わせた調整を図っております。また、地方債では、臨時財政対策債の伸び率を考慮するとともに、期限が示されている緊急防災・減災事業債などの有利な地方債を積極的に活用し、災害対応予算への財源確保に努めました。
 次に、歳出における特色についてのお尋ねでございますが。歳出では、子ども・子育て政策の強化をはじめ、令和5年人事院勧告に伴う給与改定や物価高への対応、国が推進する各種施策などへの地方財政措置が示されましたことから、本市と国との取組の整合性を図りながら予算を調整いたしました。当初予算の編成においては、国や県、他市の動向などを踏まえるとともに、事業の必要性や有効性、費用対効果などを総合的に判断し、予算化しておりますが、地方財政対策は本市の行財政運営と密接に関連することから、引き続きその動向に注視してまいります。
 次に、職員人材の確保についてのうち、まず職員採用の現状についてのお尋ねでございますが。職員の採用については、市のホームページやSNSなどの活用のほか、県内市町村合同の採用説明会や大学、企業が開催する就職説明会において越谷市で働く魅力を直接伝えるとともに、就職活動の実態を知るべく新採用職員を対象とした就職先の選定理由等についてのアンケートを実施いたしました。主な回答として、地元自治体で働きたい、長く働くことを見据えての通勤のしやすさといった回答がございましたので、この結果を携え、市内大学などへのアプローチをさらに強め、本市の採用活動について重ねて周知、協力を求めたところです。
 また、今年度からは、新たな試験方式として、民間企業でも広く採用されておりますテストセンター方式による試験を導入しました。この試験は、いわゆるSCOAと呼ばれるもので、一般的な知識はもとより、基礎能力や事務能力をはかることができる内容となっております。新たな試験方式を導入した結果、大卒の事務職及び技術職においては、応募者数が昨年度の301人から今年度は572人に増加し、受験者数についても昨年度の145人から今年度は約3.5倍の496人に増えたところです。従来の試験方式や集合形式のSCOA試験も活用しながら、新年度のスタートに向け、現在までに153人を採用する予定となっております。
 内定辞退者の状況については、令和4年度が全職種で約14%であったところ、今年度については試験方式を変更して受験がしやすくなった影響もあり、現在までに29%の方から採用辞退の申出がありました。その主な理由は、他団体への就職が決まったことによるものと伺っております。採用辞退の対策として、今年度から採用予定者に向けた内定者懇親会を開催いたしました。参加者からは、入庁前に交流ができてよかった、先輩の話から働き方のイメージを明確にできたといった声も届いており、期待感の高揚や不安感の払拭に一定の効果があったものと理解しております。今後におきましては、これらの取組の結果について十分検証するとともに、優秀な人材の確保できるよう、採用活動の在り方やフォローアップの方策などについてもさらに検討を進めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 次に、入庁間もない職員の離職状況についてのお尋ねでございますが。職員の早期離職は、組織として人材育成を進めていく上で、また人材確保の観点からも大変重要な課題であると認識しております。入庁3年以内の職員の離職状況でございますが、令和4年度は19人、令和3年度は21人、令和2年度は17人、令和元年度は18人、平成30年度は17人となっており、ここ近年の離職者数はほぼ横ばいとなっております。これら早期離職者の主な退職理由としましては、健康上の理由や配偶者の転勤、他自治体への就職、他にやりたいことがあるなど、様々な理由によるものとなっております。このような状況を踏まえ、本市では若手職員を対象に健康上の理由による離職防止のための取組を実施しております。
 具体的には、新採用職員に対し6月から7月にかけて保健師、看護師による面談を実施し、不調者の早期発見、早期対応に努めております。また、階層別研修におきまして、メンタルヘルスのセルフケアのスキル習得を図り、職場への対応力を高めるとともに、先輩職員との意見交換の機会を設け、不安や悩みの解消に努め、さらには円滑な人間関係を築くために必要なコミュニケーションスキルの習得を図るなど、フォローアップにも努めております。今後におきましても、こうした取組を継続していくとともに、職員が健康で働きやすい職場環境の形成を図り、もって人材の確保に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、地域生活支援拠点等の取組についてのお尋ねでございますが。整備の現状と今後の見通しについて及び登録事業所における施策の取組状況についてに関しましては関連がございますので、一括してお答えをいたします。本市では、障がい者等の家族での緊急時の対応など、地域生活を続けていくための居住支援を行う地域生活支援拠点等、そして地域生活支援拠点等の運用とコーディネーター役を担い、総合的、専門的な相談支援を行う基幹相談支援センターの運用を令和5年10月より開始いたしました。
 国では、地域生活支援拠点等に必要な機能として、相談、緊急時の受入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりの5つの機能を地域の実情に合わせて整備するとしております。本市では、既に地域にある様々な障がい福祉サービス事業所等が連携して各機能を担う面的整備型の仕組みで整備し、特に障がい者等の家庭での緊急時の対応を優先するため、相談、緊急時の受入れ対応・体験の機会・場の機能についての運用を開始しました。現在の登録事業所は9事業所となっており、事業所間で情報を共有するためのアセスメントシートなどを作成し、受入れ体制を整えております。
 また、これらの仕組みを効果的に運営していくため、越谷市障害者地域自立支援協議会に地域生活支援拠点等の運用の評価や機能強化を協議する地域生活支援相談部会や基幹相談支援センターが対応する困難事例の支援方針を協議し、その対応のバックアップを担う幹事会を新たに設けました。今後の取組としましては、障がい者等が安心して地域生活を続けていけるよう、地域生活支援拠点等の機能を担う登録事業所の拡大に努めるとともに、地域生活支援専門部会や幹事会における協議等を踏まえ、支援体制の強化を図ってまいります。
 次に、マンション管理の適正化についてのお尋ねのうち、まずマンション管理適正化推進計画の概要と策定状況についてのお尋ねでございますが。全国的にマンションの高経年化や区分所有者の高齢化が進行し、管理組合の役員の担い手不足が顕著な老朽化マンションが急増することが懸念されています。このようなことから、管理組合による自主的なマンション管理の適正化の推進を図るため、マンションの管理の適正化の推進に関する法律が改正されました。本改正により、マンション管理適正化の推進について、地方自治体の関与が明確化され、必要に応じ助言、指導等が行えるほか、地域の実情等に応じたマンション管理の適正化の推進を図るため、マンション管理適正化推進計画を策定することができることとなりました。
 本市においては、令和5年1月1日時点で281団地、332棟、2万3,383戸のマンションが供給されており、市民の約14.6%が居住する主要な居住形態となっております。マンションの老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するためには、適正に管理されるよう管理組合活動の支援を図る必要があることから、マンションにおける継続的で良好な居住環境の整備を図ることを目的として、マンション管理の状況把握、管理運営に対する当事者意識等の向上、管理組合による適正管理の促進を基本方針としたマンション管理適正化推進計画を令和5年度中に策定し、マンション管理の適正化を推進してまいります。
 次に、策定後の管理組合及び住民に対する理解促進策についてのお尋ねでございますが。現在マンション管理相談を行っているほか、分譲マンション登録制度やマンション管理士派遣制度を実施、管理状況等の把握に努めるとともに、マンション管理士を派遣することで管理組合への支援を行っております。マンション管理の適正化を図る上では、マンション区分所有者への周知、啓発は重要であることから、広報こしがやをはじめ、マンション管理組合へのダイレクトメールやSNSを活用し、マンション居住者への情報提供を図っております。さらにマンション管理の当事者意識や知識の向上を図るため、引き続きセミナーの開催や情報提供等を行ってまいります。今後につきましても、管理組合による適正管理を促進するため、様々な媒体を活用し、管理組合及び住民に対する周知、啓発を図ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、子ども・若者への支援についてにおけるこども家庭センターの取組につきましては。子育て世帯の包括的な支援の体制強化を目的に、児童福祉法の一部改正がされることを受けて、本市では令和6年4月からこども家庭センターを設置します。これに伴い、児童福祉の相談業務を行う子ども家庭総合支援拠点と母子保健の相談業務を行う子育て世代包括支援センターを統合することにより、全ての妊産婦、子育て世帯、子供に対して切れ目のない相談支援を行うことが可能となります。
 具体的な取組として、妊娠期から保健師等の家庭訪問等の伴走型相談支援を通じて、出産に向けた助言や利用可能なサービス、支援の情報を提供するとともに、出産後も定期的な訪問等を行います。相談を受ける中で、要支援児童や特定妊婦等、支援が必要な状況を把握した場合には、対象者の意向を踏まえサポートプランを作成し、保健、福祉等の関係機関による支援を行い、育児不安の解消を図るとともに、家庭内の課題への早期対応により、児童虐待の発生予防の効果があると認識しております。また、虐待リスクの高い事案に対しては、児童福祉と母子保健のそれぞれの専門職の視点から対応を検討した上で、必要に応じて要保護児童対策地域協議会における協議によって関係機関による見守りや支援を行うなど、虐待防止につなげてまいります。これらの取組を通じて、今後こども家庭センターを中心とした子供に対する包括的な支援体制の構築に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、ケアリーバー(施設退所児)ヘの支援についてのお尋ねでございますが。ケアリーバーとは、児童養護施設や里親からの保護を離れた子供や若者のことで、原則18歳で施設等から自立することとなります。18歳での自立はハードルが高く、生活困窮や孤独、孤立に陥りやすい傾向にあると認識しております。令和4年公布の改正児童福祉法では、年齢要件が撤廃され、都道府県が必要と判断する時点まで同じ施設で自立支援を受けることが可能となりました。これにより子供が置かれている状況や子供の意見、意向、関係機関との調整を踏まえ、施設での生活の継続、または施設から自立した生活のどちらかを選択できるようになります。今後につきましても、児童相談所をはじめとした関係機関と連携し、ケアリーバーの生活困窮や孤独、孤立を防ぐなど、不安を抱えたまま自立していく子供を誰ひとり取り残さないよう、施設への入所支援に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、エントランス棟についてのうち、これまでの経緯と今後の運用についてのお尋ねでございますが。本市では、市民サービスのさらなる向上を図り、災害発生時の拠点等としての役割を十分に果たすことができるよう、越谷市民の安全、安心な暮らしを支える親しみのある庁舎をコンセプトに庁舎整備に取り組んでまいりました。エントランス棟については、本庁舎整備基本構想、建設基本計画において、市民やNPO、企業など、地域の様々な主体と市が連携した活動を行う拠点としての機能を位置づけており、ワークショップやパブリックコメント等を踏まえ、市民協働・交流スペース、多目的スペース、行政情報提供スペース等を備えた協働のまちづくりに資する施設となるよう、(仮称)市民協働ゾーンの名称で整備を進めてまいりました。
 ご案内のとおり、昨年7月からエントランス棟の会議室や各庁舎間のアプローチ通路の供用を開始していますが、今月16日には新庁舎グランドオープンセレモニーを開催し、全面的な供用開始となります。エントランス棟の今後の運用につきましては、エントランス棟を活用した様々な事業や各種イベントなどを企画、開催してまいります。また、閉庁日においても、午前9時から午後9時までを利用可能とし、市で使用していない時間帯には1階ホールや多目的ホール、2階市民ラウンジや会議室などを市民の皆様に貸出しができるよう、越谷市役所エントランス棟管理規則を新たに整備し、適正に管理、運用を行ってまいります。なお、管理、運用に当たっては、市民の皆様からご意見を伺いながら適宜改善するなど、利用しやすい施設となるよう継続して取り組んでまいります。
 次に、協働のまちづくりを進めるための利用促進についてのお尋ねでございますが。エントランス棟を含む市庁舎については、協働のまちづくりの拠点施設として旧藤だな通りや葛西用水ウッドデッキなどのスペースを一体的に利用できるよう整備をいたしました。また、エントランス棟1階ホールみんなの広場にコンビニエンスストアを併設するほか、2階の水辺空間に面した市民ラウンジにカフェを配置するなど、利便性の向上を図るとともに、多種多様な用途での利用ができるよう環境を整えております。市民の皆様には、これらの施設に親しみを持っていただき、積極的にご利用いただきたいと考えており、市ホームページや広報こしがや等を通じて周知を図ってまいります。今後とも全面供用開始となるエントランス棟をはじめ、市役所庁舎の有効活用に努めるなど、市民参加と協働のまちづくりを一層推進するとともに、にぎわいの創出に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、治水対策についての中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクトについてのお尋ねでございますが。これまで中川・綾瀬川流域では、令和元年の東日本台風をはじめとした近年の激甚化、頻発化する水災害に備え、本市を含む1都2県28市区町で構成する中川・綾瀬川流域治水協議会が令和2年8月に発足し、令和3年3月に策定された中川・綾瀬川流域治水プロジェクトの下、流域全体で浸水被害を軽減させる治水対策「流域治水」を推進しているところでございます。このような中、令和5年6月の台風第2号に伴う大雨では、埼玉県下流部を中心に甚大な内水被害が発生しました。このことを受け、被害が著しかった本市のほか、春日部市、草加市、八潮市、三郷市、吉川市、松伏町の6市1町及び国、埼玉県で構成する中川・綾瀬川流域治水協議会緊急流域治水部会が令和5年9月に設置され、令和6年2月に中川・綾瀬川緊急流域治水プロジェクト案が取りまとめられたところでございます。
 本プロジェクト案は、早期に内水被害の軽減を図るため、氾濫をできるだけ防ぐ、減らすための対策、被害対象を減少させるための対策、被害の軽減、早期復旧、復興のための対策の3つの柱から構成され、その柱ごとに国、埼玉県、関係市町の役割分担の下、対策内容などが整理されております。主な対策内容として、河川管理者である国や埼玉県では八潮排水機場の排水能力の強化、中川の水を江戸川へ流す新規放水路整備の調査検討、新方川と中川の合流点処理検討、新方川の新規調節池検討などが示されております。また、本市では浸水被害の大きかった新方川、元荒川、綾瀬川周辺の地区などを対象に、排水ポンプ施設の整備や雨水貯留施設の整備、検討などのほか、浸水被害が広範囲で発生した新方川において埼玉県と連携を図りながら、新規調整池検討を行っていくこととしております。今後につきましては、緊急流域治水プロジェクト案を国や埼玉県と一体となって推進していけるよう、緊密な連携を図るとともに、引き続き浸水被害の軽減に向けた総合的な治水対策に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、生活保護について。受給世帯の現状についてのお尋ねでございますが。本市の令和6年1月末時点の生活保護の現状は、受給世帯数が3,565世帯、受給人数は4,465人で、前年同月末と比較して39世帯、22人の増加で、コロナ禍前と同様、微増傾向が続いております。また、生活保護申請件数は令和6年1月末時点で390件で、前年同月末と比較して10件の増加で、同様に微増傾向となっております。受給世帯の世帯構成は、単身世帯が2,939世帯、2人以上で構成される複数世帯が626世帯で、単身世帯の割合が82.4%となっております。世帯類型別の世帯数は、高齢者世帯が1,826世帯、母子世帯が151世帯、障がい者世帯が503世帯、傷病者世帯が391世帯、いずれの世帯にも該当しないその他の世帯が694世帯となっており、高齢者世帯が全世帯の51.2%を占めております。世帯構成や世帯類型の割合についても、コロナ禍前と大きな変化はございません。
 生活保護の平均受給年数は7年10か月で、そのうち16歳から64歳の稼働年齢層が世帯に含まれている世帯の平均受給年数は6年9か月となっております。また、生活保護から自立した件数については、今年度の令和6年1月末時点の生活保護の廃止世帯327件のうち、就労収入の増加や働き手の転入、年金等社会保障給付金の増加により生活保護を廃止となった世帯は79件となっており、コロナ禍前から同程度の数で推移しております。
 次に、受給世帯の生活上の課題とその支援についてのお尋ねでございますが。生活保護は、受給者の最低生活を保障するとともに、自立に向けた支援を行うことを目的としております。生活保護の申請理由は様々ですが、稼働年齢層の方の理由には、心身の不調による未就労や収入の減少をはじめ、借金などの負債を抱えている、ひきこもりの状態にある、就職活動をしても不採用が続いているなどがあり、さらにこれらの問題を複合的に抱えていることも多く、自立に向けた大きな課題であると認識しております。このような課題に対し、適切な支援を行っていくためには、第一に受給者の生活実態を把握することが重要であるため、ケースワーカーによる定期的な家庭訪問などを通じて、生活状況や健康状態、就職活動状況等を確認することに加え、受給者との対話の中で困っていることや将来に向けた希望などを聞き取り、助言や指導を行っております。
 具体的な支援の内容ですが、心身が不調な方については、医療扶助による適切な医療機関への受診を促し、また一定期間医療機関や健康診断の受診をされていない方については、健康状態を把握するため健康診断の受診勧奨を行っております。借金などの負債や相続の問題を抱えている方については、生活福祉課事務所内において埼玉県弁護士会による無料法律相談を月1回開催し、受給者の債務整理や権利擁護が着実に行われるよう支援しております。就職活動がうまくいかず、就労に結びつかない方や、就職活動に際しカウンセリング等の支援が必要な方については、就労支援員による就労に関する相談や情報提供、精神面でのケアをはじめ、必要に応じて家庭訪問やハローワーク等への同行訪問を行うなど、きめ細やかな対応により、就労による自立につながるよう支援しております。さらにひきこもりの状態であるなど、直ちに就職活動を行うことが困難な方については、専門相談員による就労準備支援を行い、社会生活に必要な基礎能力の形成など、日常生活や社会生活上の自立に向けた支援をしております。
 このほか年金などの公的給付金を受給していない方については、その方の職歴等に応じて受給資格の調査及び申請事務を社会保険労務士に委託し、受給者の自立助長に向けた支援を行っております。また、子どもの学習・生活支援事業では、子供の学習支援をはじめ日常の生活習慣、進学に関する支援、高校進学者の中退防止に関する支援など、子供と保護者の双方に必要な支援を行っております。生活保護受給に至る経緯や受給者が抱える課題は様々であるため、今後も受給者一人一人に寄り添いながら、自立に向けた支援に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 次に、介護保険事業についてのお尋ねでございますが。要支援・要介護者数の推移につきましては。介護保険事業を円滑に実施するため、介護保険事業計画では必要となる介護サービス量を見込むことになりますが、そのためには介護サービス量の基礎となる要支援、要介護者数を適正に推計することが大変重要です。要支援、要介護者数は、本市の総人口、高齢者人口の状況のほか、国の見える化システムによる要支援、要介護者数の推計等を参考にするとともに、各年度における要支援、要介護者数の伸び率等を勘案し、推計しております。現行の第8期計画では、要支援、要介護者数について、各年度10月1日時点として、令和3年度が1万4,185人、令和4年度が1万4,958人、そして第8期計画最終年度の令和5年度は前期計画最終年度である令和2年度と比較して約17%増の1万5,709人と見込んでおりました。これに対し、実績値でございますが、令和3年度が推計値から0.7%減の1万4,086人、令和4年度が1.4%減の1万4,755人、そして令和5年度は2.6%減の1万5,302人となっており、おおむね推計どおり推移しております。
 また、現在策定中の第9期計画では、要支援、要介護者数について、令和6年度が1万6,341人、令和7年度が1万6,912人と引き続き増加傾向にあり、第9期計画最終年度の令和8年度は第8期計画最終年度の令和5年度と比較して約14%増の1万7,451人と見込んでおります。しかし、期間中の2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、介護を必要とする方が増加すると予測され、特に比較的介護度が重いとされる要介護3から5の方の増加率は約17%になるものと見込んでおります。
 次に、給付費の推移についてでございますが。給付費につきましては、先ほどの要支援、要介護者数のほか、各サービスの利用率、入所施設等の開設状況、介護報酬改定などを勘案し、推計しております。第8期計画における保険給付費の総額は、前計画の実績額549億5,074万3,000円から22.3%増の671億9,201万4,000円と見込んでおりましたが、実績は15.4%増の634億2,442万9,000円にとどまる見込みです。保険給付費の実績値が下回る理由につきましては、訪問看護などの一部のサービスに関しては新規施設の開設などにより利用が増えたものの、新型コロナウイルス感染症拡大による通所系サービスの利用控えの影響などが主な要因と考えております。なお、第9期計画では、保険給付費につきましては、特に要介護度が重いとされる方の増加や、介護報酬改定が1.59%引き上げられることなどを勘案した結果、795億7,366万円と、第8期計画の実績見込みから25.5%増加するものと推計しております。
 次に、各種施策に対する評価と課題についてでございますが。第8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、第7期計画での課題を踏まえ、6つの主要施策を掲げ、21の施策の柱の下、96の事業を展開してまいりました。第8期計画期間中は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、事業の規模縮小などを余儀なくされた部分もございましたが、おおむね計画どおり実施できたと考えております。また、本計画の進捗達成状況を定期的に報告しております介護保険運営協議会からも、事業の実施により地域共生社会の実現に向けた取組は着実に進んでいるとの評価をいただいております。
 現在策定中の第9期計画では、こうした評価等も勘案し、今後の課題の抽出や国の方針を確認するなど、作業を進めているところですが、高齢者の生活環境は新型コロナウイルス感染症拡大により大きな影響を受け、また近年多発する自然災害の際にも多大な影響を受けることが予想されます。こうした影響は、高齢者と地域社会との関係性にも大きく影響し、結果として地域社会との希薄化が進むことが懸念されます。こうしたことから、第9期計画では第8期計画で掲げた主要施策の構成は大きく変更いたしませんが、高齢者と地域社会との関係性を希薄化させないためにも、さらなる地域共生社会の実現に取り組むことが重要であると考え、25の施策の柱の下、104の事業を展開する計画を予定しております。高齢者を取り巻く環境が刻々と変化する中においても、本計画の基本目標である、「ともに支え合いながら高齢者が住み慣れた地域で安心して生きがいのある生活を送ることができるまちを目指す」の実現に向けて引き続き取り組むとともに、持続可能な介護保険事業の運営に当たってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
 私からは以上となります。


教育長答弁


 それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
 オンラインを活用した学びについてのお尋ねでございますが。まず、SINET接続については。安全かつ高速なインターネット回線を整備するために、文教大学と教育のデジタル化に関する調査・研究を追加した協定を再度締結することで、国立情報学研究所が構築、運用している通信ネットワークSINETに接続しました。同時に各学校からSINETまでの回線を全て専用回線とすることで、埼玉県内初の越谷モデルを構築しました。この越谷モデルの構築により、授業等におけるタブレット端末の活用に大きな効果が見られました。具体的には、SINET接続前の令和4年8月30日に小学校4年生から中学校3年生を対象に実施した学力・学習状況調査のCBT化に向けた同時接続確認テストにおいて、同時接続できた学級は13学級でしたが、SINET接続後、同様のテストを実施した際は、テストを行った市内の全515学級でスムーズに同時接続することができました。
 また、これまでは授業中に教室内にいる児童生徒が一斉にインターネットにアクセスすると遅延が発生し、スムーズにデータのやり取りができなかったり、やむを得ず投稿できない児童生徒へオンライン授業配信をしようとしても、映像が固まってしまったりするなど不便を強いられることがありました。しかし、SINET接続後は、このようなストレスがなくなったため、児童生徒がタブレット端末上で共同編集をしたり、動画等の容量の大きなデータを送受信したりする際、遅滞なくやり取りができるようになり、タブレット端末を活用する機会が増加しております。
 具体的には、令和5年度における1日当たりの利用回数は、令和3年度と比べて約4倍となっております。さらにICTの研究委嘱校では、教師と児童生徒がデータを円滑に送受信できることで、友達の進捗状況を簡単に確認したり、教師と子供、子供同士が素早くやり取りをしたりする活用が進んでおります。このような活用方法を全校に広げ、授業の質の向上を目指してまいります。なお、近い将来、学習者用デジタル教科書の導入により、多くの児童生徒がインターネットに接続する状況も想定されますが、その状況にも耐えられる仕様となっております。今後も各学校のオンラインを活用した学びについて、これまで以上に支援してまいります。
 次に、オンラインおあしすについてのお尋ねでございますが。これまで本市では、平成9年度より学校に通うことが難しい児童生徒がつながりを実感し、学ぶ喜びを味わえる場として適応指導教室おあしすを3教室開室し、支援してまいりました。しかしながら、不登校の要因の複雑化に伴い、多様な学びの場を確保することが今後ますます重要になってくることから、令和5年9月よりこのおあしすをオンライン上にも開設いたしました。今年度は、毎週木曜日に小学校1年生から小学校5年生のクラスと小学校6年生から中学校3年生のクラスに分けて、教職員経験者である指導主事1名と教育指導員1名が教師役としてそれぞれ30分間、オンライン上で様々な活動を行っております。内容としましては、指導員とのつながりや他の子供と一緒に活動することができるような取組として、まず朝の会を実施し、一人一人の心の健康観察を行うとともに、最近の出来事や話題のニュースについて話したり、話を聞いたりするなどの活動を行っております。また、メインの活動では、読み聞かせ、古典の音読、歴史上の人物や地域の特産品を題材にしたクイズなどを取り入れ、競ったり、協力したりしながら、意欲的に活動に取り組めるよう工夫しております。
 実績としましては、令和6年1月末までに17回開催し、申込み人数は26人、実際に入室した小学生は延べ50人、中学生は延べ33人おりました。その中には、自宅で過ごすことが多い児童生徒もおりましたが、ほぼ毎回出席し、積極的に活動に参加する姿や、笑顔を見せる姿も多く見られました。また、発言することが難しい生徒も、チャットを通して少しずつ自分の思いを伝えるなど、一人一人のペースで参加することができました。今後は、越谷市のホームページサブサイト等も活用し、周知に努めるとともに、オンラインおあしすの開室期間を増やし、児童生徒同士が関わり合えるような活動を取り入れるなど、つながりと学びの一層の充実に向け、工夫改善を図ってまいります。
 次に、プログラミング教育についてのお尋ねでございますが。まず、目的については。情報化の進展により、将来の予測が難しい社会において、情報技術を手段として活用し、論理的に思考しながら課題を解決する力が求められておりますことから、国は現行の学習指導要領において、小中学校では情報活用能力の一つとして、課題を解決するために必要な内容や手順を考え、試行錯誤を繰り返して改善を目指していくプログラミング的思考の育成が重要と示しております。具体的には、小学校3年生から系統的に指導を行い、生活や社会の中から情報技術に関わる問題を見いだし、どこで誰がどのように使用するかといった使用条件や機器の制約条件を踏まえて、課題解決を論理的に考える力や、コンピューターに指示を出して実行させたり、指示を修正したりする力などを育成することとしております。教育委員会といたしましては、このような情報活用能力の育成は、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力として重要であると捉えております。
 次に、目的に対する現在の取組状況についてでございますが。教育委員会では、年次研修や出前研修による支援のほか、特に小学校においてどの教員でも指導することができるよう、実践事例や指導の手順などを示した越谷市小学校プログラミング教育指導計画を作成いたしました。各学校では、算数や理科、総合的な学習の時間において、学習指導要領で求められているプログラミングについての必要な知識や技能を学習できるよう、小学校3年生から系統的に位置づけております。具体的な活動としては、タブレット端末を利用しながら初心者でも楽しめるプログラミングソフトや、教育用マイクロコンピューターを活用し、ある一定の暗さになるとライトがついたり、一定の温度になったら音を鳴らしたりするプログラムを作成するなど、課題を解決するための手順を考える学習を行っております。
 また、中学校では、技術・家庭科の技術分野において、互いにコメントなどを送受信できる簡易なチャットを教室内で再現し、それに安全性や利便性を高めるためにパスワードによる本人認証の仕組みを加えることや、温度などのセンサーによる計測結果を基に様々な作業を自動的に行うシステムを開発するなどといった学習を行っております。今後も各学校がプログラミング教育を円滑に実施できるよう支援してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。


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