越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

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●平成30年12月定例議会


質問(再度5回目)


 いろいろと今ご説明いただきましてありがとうございました。
 なかなか個人の方の抱えている問題、困り事、悩み事というのが、本当に複雑化しているというようなことがよくわかりました。そういった中で、今後福祉なんでも相談窓口そのものとしては、「福祉」を外して「なんでも相談窓口」にしていくというようなことを今市として考えていらっしゃるそうですので、専門的な相談はそれぞれ所管課で対応しつつ、垣根を超えて市民の方の困り事とか悩み事にも寄り添えるような対応が、今後さらに充実していくということを期待しています。
 それで、2点目の地域福祉の今後のあり方について、こちらを再度お伺いしていきたいというふうに思います。今、手元に先日開催されました宇都宮市での全国市議会議長会研究フォーラムの資料がございますが、先ほども少しご紹介いたしました基調講演での中央大学の宮本先生、さまざまな講演の中でのレジュメの資料があるわけですけれども、「これまでの地域福祉とこれからの地域福祉」ということでまとめた資料があります。実際、そのことを話をされていましたが、これまでの福祉、これからの福祉ということを、雇用と福祉の目的と方法ということで区分をした形でうまく整理をされています。先ほどの答弁にもあるような形になっていますが、これまでの福祉というのは、安定雇用の中で働けない人を保護することを目的に、高齢、障がい、困窮などの縦割りの方法で対応してきた。これが、これまでの福祉だというふうに宮本先生は言われています。これからの福祉はそうではなくて、今現在の雇用が非常に不安定な状態の中、困難を抱えた人を元気にすること。その方法は、縦割りを超えた包括的な支援なのだと。先ほども市長からの答弁でありましたように、包括的なあるいは丸ごとというような表現もありましたけれども、まさにそういったことがこれからの地域福祉なのだというふうに宮本先生は言われています。
 ちなみに、同じ資料の中で、細川議員からあった社会保障教育というような話がございましたが、その関連の数字も具体的にございまして、主にはOECDの資料からのものなのですけれども、日本と韓国、オランダ、スウェーデン、イギリスの5カ国を対象にしてGDP対比で社会保障費がどう支出されてきているのかということを経年的に見たグラフが載っています。これで言いますと揺りかごから墓場までというふうに、私は子供のころに社会科の教科書で、イギリスの制度ってそういうふうに習ったというふうに記憶しておりますが、このOECDの資料ですと、GDP比で言えば日本は、こちらの資料にありますが、1980年から2013年までの資料なのですけれども、こちらで言いますと日本の社会保障の支出はGDP比で倍増になっている。結果として、イギリスやオランダを超えているというふうになっています。
 しかし、実際には困窮とか孤立を抑制できていないというようなことが指摘されています。具体的な困窮度合いで言うと、子供の貧困率あるいは女性の貧困率、さらには高齢者の貧困率ということを、OECDとかユニセフとかの資料の中から、日本とオランダの比較で出ておりますが、子供や女性の貧困率で言いますと、日本はオランダの3倍、高齢者の貧困率で言うと、オランダに対して日本は何と約15倍ということになっています。非常にその意味では、昔のように雇用が安定をしていて、経済も成長していてという時代であれば、自治体行政としてそういった福祉に対応するということも、ある意味では十分に対応ができていたあるいはまずまずできていたということでもあったかと思いますが、しかし社会が成熟して複雑化する中では、自治体としても対応がより困難になってきているというふうにも思いますし、先ほど1つ目の福祉なんでも相談窓口の中での実例で挙げていただきましたが、本当に多種多様なことをお一人の方、もしくは1つの家族の方が抱えていらっしゃるというような状況になっています。
 その意味では、今後ともますます市としては、一人一人の市民の方々に市としてしっかりと寄り添っていくということも重要ですし、他方では単に市がやればいいということではなくて、地域とか社会とか、そういったところも含めてどう対応していくのかということが、まさに問われているというふうにも考えておりますので、先ほどのご答弁もありましたが、改めて今後の地域福祉のあり方あるいはあるべき姿、それに向けて越谷市としてはどう取り組んでいこうと考えていらっしゃるのかということについて、再度お伺いしたいと思います。


市長答弁


 ただいまのご質問につきましては、福祉部長から答弁申し上げます。


福祉部長答弁


 ご質問にお答えさせていただきます。
 かなり遠大なテーマでございますので、ちょっと話が長くなるかもしれませんが、先ほど市長のほうからご答弁させていただいた内容の中に、越谷市の現在の課題としてポイントが2つあったかと思います。1つは、高齢化のスピードが極めて速いということで、特に2025年問題に代表されますように、後期高齢者の伸びが著しいということが1点。さらに、あわせて半月ほど前の新聞でしたか、ひとり暮らしの高齢者が急速な勢いで増加していると。この15年間で、越谷市の場合3.2倍になっているということで、ひとり暮らしの高齢者、後期高齢者の伸び、これがまず高齢化のスピードの速さということが特徴として言えると思います。
 それから、先ほど申し上げましたように8050、今は9060なんていう言い方をされる方もいらっしゃいます。こういった問題の複合化あるいは複雑化した事例がふえてきているということで、それまで何とか支えながら生活していた高齢者と障がいを持った方、息子さんの事例でございましたが、例えば親の交通事故あるいは認知症というようなことの発症によって、支え合いながら生活を細々としてきたわけですが、地域での家庭生活が困難となるケースが出てきたということがございます。これは典型例でございます。こうしたケースは、基本的に地域包括支援センターですとか、あるいは障がい者等相談支援事業者に来所、相談に来ていただけるという事例があればいいのですけれども、むしろ多くは訴えがないあるいは訴えることができないケースがあるということが、課題として大きな問題でございます。
 今後の対応のポイントとしては、まず地域の高齢者の方々がたとえひとり暮らしになったとしても、これは我が事というコンセプトで言われますように、支援を受けるまでは、できる範囲内でほかの人の支援に回る、協力をするというような主体的な地域参加がしていただけるような意識の醸成をどうつくっていくか、これが一つの課題かなと。
 もう一つは、先ほど申し上げました対応が難しい複合的なあるいは複雑な課題を抱える世帯の相談を、しっかりと受けとめる相談体制をどう整備していくかということが2つ目のポイント。
 3つ目は、先ほど申し上げましたように訴えのない世帯、こういった世帯を早期発見できるように見守りなどの地域住民の協力が不可欠でございます。あわせて、そういった世帯には介入的といいますか、いわゆるアウトリーチが必要になりますので、こういった手法についても取り入れていく必要があると思います。したがって、先々は高齢者が先行しております地域包括ケアシステム、これを全世代型といいますか、全対象型に整備をし、強化をしていくという方向で進めていきたいというふうに考えております。その際の拠点としては、一部老人福祉センターに入っている地域包括もございますけれども、地区センターを地域福祉を支える拠点施設というふうに位置づけていきたいというふうに考えております。
 ただ、ここでは大きな問題がありまして、先ほど申し上げましたように、児童あるいは障がい者、高齢者、生活困窮者などの全てのジャンルの相談に対応できる相談員を配置するということが極めて難しいです。極めて高いスキル、面接技術ですとか、経験ですとか、あるいは知識もそうです。こういったものを全てワンセットでそろえていくというのは非常に難しい。人材をすぐに調達あるいは育成していくということは、非常に困難な問題でございます。当面は、各地区の地域包括支援センターを中心に障害者等相談支援事業所ですとか、あるいは生活福祉課の隣にある生活困窮者自立支援事業者、場合によっては子育て世代包括支援センターなどが複合的にかかわりを持って、多問題世帯を支援していくことが大切だろうというふうに考えております。もちろん虐待などの極めて困難なケース、これについては警察ですとか、あるいは児童相談所とか、市の関係各課が綿密な連携を保って対応に当たるということが、極めて重要だというふうに考えております。
 連携の具体的なイメージとしましては、例えばそういう事業者が一緒に面接を受けるとか、あるいは同行して一緒に訪問する。調査をする。さらには、その事例に対して、既に行われておりますけれども、ケースカンファレンスを行うというようなことで、具体的に処遇方針の検討を行っていくというような方法が必要だろう。加えて、先ほど冒頭申し上げましたように、地域の方々あるいはボランティアの方々の協力をいただいて、基本的には見守っていくということが極めて重要な要素になりますので、それが基本的に地域で包括的に支えていくというシステムづくりなのだろうと思います。地域のネットワークでそういう問題を発見して、地域のネットワークでそれを受けとめていくというのが、基本的には地域包括ケアシステムのイメージ、いわゆるソーシャルサポートネットワークを形成していくことにつながっていくのだろうというふうに考えております。


質問(再度6回目)


 ご答弁ありがとうございました。
 いろいろとさまざまな問題、課題、地域福祉の今後のあり方、確かに非常にテーマが大きいものですから、どこをどのように対応していくのかあるいはどこから手をつけていくのか、非常に対応としても難しいということは承知をいたしました。その中で、市民に寄り添っていくということを市の職員がやっていくということの中には、一つには職員の方々のスキルを上げていくということが非常に重要なのかなというふうに思っていますし、そしてまた職員の方々のスキルもさることながら、まず職員の方々の問題意識、それをどのように高めていくのかというようなことも、もちろん今でもしっかりやっていらっしゃるということは承知しておりますが、今やっていらっしゃる職員の方々はそのようにやられているとしても、これから先の職員の方々も、それに引き続いてあるいはそれ以上にそれをやっていただくということをやっていかなければ、今後のまずは直近の2025年問題、さらには2040年問題ということにも対応が難しいということだと思いますので、ぜひ引き続いて市民に寄り添うということでしっかりと職員の皆さん方がご尽力をいただければというふうに思います。
 続きまして、次の4項目めは、今まさにお話ししていますようなバスが休止になるとか、あるいは複合的な福祉ニーズが高まっているのだという中で、では2025年問題、さらには2040年問題に対して、自治体としてはどう対応していかなければならないのかという話になってくるかと思います。ここでは事例だけご紹介するという形にしたいと思いますが、先ほどからお話ししております自治体戦略2040構想研究会の報告が上がりましたので、それを受けて総務省の担当官3名の連名の形で解説が記事として、今手元にございますが、「地方自治」の平成30年7月号に掲載されています。非常に長い内容になっているので、自治体行政の課題ということだけ抜き取ってお話をしたいと思いますが、こちらには5つ課題があると整理されています。
 1つには、社会保障にかかわる経費がどんどんふえてきます。さらには、老朽化したインフラ、公共施設の更新にお金がかかりますというような費用が膨らんでいくという話。それから、歳入では、人口減少の中ではだんだんと税収も減っていきます。そのときに、行政サービスを維持するための財源の確保が必要ですよねという話というところがありますが、その中で4項目め言えば、職員という話になっていますので、職員という部分でここは少しお話をしますと、これまでの地方行革により職員数は減少。人口減少が進む2040年ごろには、さらに少ない職員数での行政運営が必要になる可能性があるということと、近年の採用数減少により、職員数の山となった団塊ジュニア世代が2030年代に退職期を迎えることを見据えて、職員体制を整備する必要があると、そういったことがうたわれています。当然、それは福祉行政の中でも言えることですし、福祉行政以外の行政にさまざまな取り組みが行われています。全ての全庁的な取り組みの中でこのことが言えるというふう思います。その中で自治体行政の経営資源が変化する中、持続可能な行政体制の構築が必要だというふうなことを、都合5つ課題として挙げられていますので、ぜひ今後も、先ほど来より若手の職員の方々にしっかりと頑張ってもらいたいのだという気持ちがあるのだというふうに市長ご答弁ありましたが、ぜひ引き続いて若手の職員の皆様方に、今も問題意識持っていらっしゃるということは十分承知しておりますが、これから先はむしろもっともっと今まで以上に複雑化するのだ。その複雑化するものに対応しなければならないのだということも含めてお伝えいただければ、発信していただければというふうに思っております。
 それは要望とさせていただきまして、5項目めもこれも再度聞くということは控えますけれども、先ほどお話ししましたように、私からは18歳の選挙権年齢の前の17歳の高校2年生、そしてまた中学2年生、14歳、さらには11歳の小学校5年生というような話をさせていただきましたが、それぞれの年齢が22年後、2040年の時点では39歳、36歳、33歳になっていくと。中には越谷市の職員になって、今私がいろいろと話をしていますような2040年問題に文字どおり対応していく職員となる子供・若者も中にはいるかと思います。その意味では、なかなか子供たちの意見、粗削りな部分も確かにあるかと思います。夢を語るという意味では、確かに夢を語っていますが、現実的にその夢が具体的な形としてできるかといえば、なかなかアイデアはいいけれども、そのアイデアを実現するための例えば法的なものだとか、財源的なものだとか、そういったことも確かにあるかと思います。
 しかし、そういった子供たち、若者から意見を聞いて、それを市政の中に反映をさせていくということが、2040年、さらにはその先のさまざまな問題や課題解決にもつながっていくというふうにも思っていますし、そしてまたそういった子供たち、若者たちが自分の考えを、今こういうふうな社会になっている。それに対して、今自分たちはこう思っているということを自分の口から発信をする。そういう体験を通じて、そこからさまざまな社会に向けての興味、関心が広がっていく。そして、また実際に自分がしかるべき年齢になったときには、文字どおり社会の一員としてそれを支えていく。実行していく。そういった形で意識づけもできるというふうに思っておりますので、この5項目めの子供・若者の市政参加についても引き続き検討を重ねていただきながら、今お話ししたような将来を見据えた中でどうあるべきかということで、しっかりと子供たちの意見を聞くあるいはそういう素地をつくり上げていくというところを含めてご検討いただければというふうに思います。
 それでは、6項目めの質問に移りたいと思います。こちらは教育長にお伺いいたしますが、今お話ししていますように、将来の社会を支える子供たちが、今2万7,000人ぐらい45の小中学校に毎日通っていて、その中には踏切を渡って学校に通うという児童生徒もいるわけです。通常、踏切は電車が来るときには警報器がカンカンカンと鳴って、遮断機がおりるわけです。ですから、踏切が鳴れば渡らない。とまる。もしくは渡っている途中であれば、とにかく急いで渡るということを普通はするわけですけれども、中には時々踏切で見ていますと、警報器が鳴ってから無理やり渡り出すというような大人もいまして、これは非常に危険だなというふうにも感じております。そういった無理やり渡り出していますと、しばしば不幸な事故にもつながっているということが全国的にはあります。大人がどうこうというよりも、それは一旦置きますけれども、踏切は現状では市の北部だけにあるということになっていますので、一義的には市の北部にあります小学校、中学校の通学路で子供たちがどう安全に渡るかということの指導が必要だというふうに思っていますが、それは今現状ではいろいろと取り組みをされているということも承知しています。
 ここで、少しお伺いしたいと思いますけれども、市の北部のほうに通学路として設定されている学校のところでは、もちろんしっかりと子供たち、児童生徒に対して、そのことは小学校1年生のときからでもきっとやっていらっしゃると思いますが、そうではない、つまり通学路として設定されていない学校も市の北部にはあって、児童生徒の生活圏の中では、踏切を横断する。通学路としては使わないのですけれども、生活の中では使うということもあると思います。そういうときに学校でも、通学路として設定されている学校ではしっかりとやっていらっしゃると思いますが、通学路として設定されていないところでも、しっかりと対応を図っていかなければならないというふうに思っていますので、そのあたりの意識、考えとしてはどうかということと、あわせて、単に子供だけではなくて、先ほども大人がというような話をさせていただきましたが、むしろ保護者の方々にも自分の子供たちが安全に渡れるように、通学路として設定されている学校の保護者であればなおのことですが、そうでない学校の保護者にも、踏切ということの安全に渡るということを、自分も含めて自分の子供にしっかりと伝える。保護者である自分も含めてですけれども、そういった方々、大人の方にもしっかりと発信をしていく、啓発をしていくということが必要であるというふうに考えておりますが、その点について教育長のお考えをお伺いしたいと思います。


教育長答弁


 ただいまのご質問につきましては、福祉部長から答弁申し上げます。


学校教育部長答弁


 お答えします。
 踏切が通学路になっている学校以外にも踏切の安全な渡り方というか、そういう指導が必要かというお尋ねだと思いますけれども、いろんな形でそれぞれの学校が交通安全指導を行っておりますけれども、その中で子供たちには、直接教員から踏切ということも想定した交通安全の話をする場面を持つように指導、助言したいと思いますし、それから何より保護者の方々が、特に小さい子供たちは生活経験が少ないわけですので、保護者の方々にしっかりと交通安全における家庭の役割というのを認識してもらうことが大事だと思いますから、保護者会ですとか、それから入学前の入学説明会ですとか、そういう場面でも話をする機会を設けていきたいと思っています。
 以上でございます。


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