■議会報告

次に、業務継続計画についてでございますが。大規模な震災が発生した場合、市は災害への応急対策活動及び復旧・復興活動行う重要な役割を担う一方、災害時であっても継続して行わなければならない通常業務も有しております。これらの災害対応業務や市民生活等に必要な通常業務が的確に行われない場合、震災による被害が拡大するとともに、市民生活等に支障が出てくることが考えられます。
一方、過去に各地を襲った震災では、業務継続計画に支障を及ぼす庁舎の被災や停電等の事例も多く見受けられたところであり、仮に東京湾北部地震など首都直下型地震の発生時には越谷市みずからも被災し、職員、庁舎、物資、ライフライン等に制約を受ける可能性が非常に高いものと考えられます。
このように業務遂行能力が低下した状況下においても市として必要な業務資源を確保し、災害応急対策や復旧業務を実施しつつ、中断することのできない通常業務については一定の水準を確保する必要があります。
業務継続計画は、災害発生時に優先的に取り組むべき重要な業務を事前に定め、これら業務の継続に必要な職員、庁舎、電力、情報システム、通信等の準備や対応方針、手段を定めることで市民の生命、生活、財産を確保し、市役所機能の継続または早期復旧を図る効果を有するものと考えます。市では、既に初動活動以降に実施する応急活動の内容について、地域防災計画で目標時間を記載するとともに、ICTにおける業務継続計画の運用を実施し、また新型インフルエンザ対策業務継続計画を策定しているところでございます。
いずれにいたしましても、去る11月29日に埼玉県において東日本大震災の課題や教訓を反映した埼玉県地域防災計画の修正が行われましたので、今後は県の計画と整合を図りながら本市地域防災計画の修正をし、あわせて業務継続計画の検討も行ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、ICT業務継続計画についてのお尋ねでございますが。業務継続計画、いわゆるBCPにつきましては、災害時に重要業務をなるべく中断させず、仮に中断してもできるだけ早期に復旧させる業務継続を実現するための計画と位置づけています。
総務省は、平成20年8月に地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画策定に関するガイドラインを作成いたしました。これを受け、本市でも業務継続の根幹を支える情報システムに関するBCPを策定することは非常に重要であることから、市の情報化推進計画の第2次アクションプランにおいて策定を位置づけ、平成21年度からの2カ年でこのガイドラインに基づきBCPを策定し、情報統計課により推進、実行するものとしたところでございます。
平成21年度には、関係各課へのヒアリング、委託事業者へのアンケート調査等により、システムやリソース業務の関連性等を整理し、システムの復旧優先順位の洗い出しを行うとともに、机上訓練等を行い、明らかになった課題を取り入れ、初動行動計画を策定いたしました。
平成22年度には、情報システムが停止した場合を想定し、市民や企業等への影響を考慮した上で優先業務を各事業課が洗い出し、所管するシステムの重要度を設定し、それに応じたBCPを策定しております。また、策定した計画、対策を災害時において有効に機能させるために、机上訓練を重要度の高いシステムを所管している部署を対象に実施しております。
今年度は、計画に基づき、業務中断要因や機器、設備と資源の被災に対する事前対策として、機器の落下、損壊防止策の実施やバックアップデータの遠隔地保管など、順次実行可能な対策から実施しております。
また、業務継続には非常時に実際に行動する職員へのふだんからの意識づけが重要であることから、BCPの必要性と災害時における自治体の役割、職員としての使命についての理解を深めるために、まずは管理職及び係長相当職の職員を対象にセミナーを開催しております。今後も引き続き業務継続を実現させるための事前対策を実施し、進捗を阻害する要因の明確化と必要な対策を検討してまいります。
今年3月11日の東日本大震災の際、計画策定後初めてBCPの発動をいたしました。BCPの初動行動計画により、緊急時の基本方針、体制や役割などが明確であることから、まず何をすべきかから考えるのではなく、職員おのおのがすべきことを即行動に移せたことがその一つの成果でありました。さらに、想定外の計画停電などの事態においても、限られた環境の中で住民サービスを実現することができました。今後も非常時に実際に行動する職員へのふだんからの意識づけや事前準備が重要であることから、業務継続、復旧に関する行動計画の整合性や効率性の検証を行い、必要となる訓練や研修などを継続して実施してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、防災対策基本条例についてのお尋ねでございますが。東京都港区では、防災対策の理念に基づき、区民、事業者、区がそれぞれの役割を明確にして、総合的に区の防災対策を推進するという目的で、平成23年10月14日に港区防災対策基本条例を施行したと伺っております。また、条例施行に当たっては、港区の地域の特性として挙げられます昼間人口が非常に多いこと、臨海部を有すること、多数の大使館が存在するなど国際色が豊かであること、区民の約8割が共同住宅に居住していることなどを踏まえて今後の防災対策を進めていくということもお聞きしております。
同様の基本条例は、東京都千代田区や目黒区でも制定されております。さらに、東京都におきましても、帰宅困難者対策の一環として災害発生時に従業員らが職場にとどまるよう、中小企業も含めた都内のすべての企業に対して3日分の水や食料、毛布などの備蓄を努力義務として求めるなどを盛り込んだ防災対策基本条例を制定する方針を明らかにして、今年度内の成立を目指していると伺っております。また、隣接する神奈川、千葉、埼玉の3県においても同様の条例制定を呼びかけるとの報道もありました。
市といたしましては、地域防災計画を推進することで防災対策を進めてまいりたいと考えており、防災対策基本条例につきましては、他の地方公共団体の動向を注視しながら調査研究を続けてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
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