■議会報告

次に、防疫用薬剤配布の今後の対応についてでございますが。今回の誤飲事故を受け、薬剤回収や再配布を行った際に各自治会より薬剤の管理や散布方法などのアンケートを提出していただいたところ、自治会によっては、散布に当たり、個人や各班などへの小分けが多く見受けられました。また、春日部保健所管内において、過去5年間、衛生害虫が直接の原因と特定された感染症の事例がないことや、薬剤の配布、管理の問題点について検討を重ねた結果、市といたしましては、このような重大な健康被害の再発を防ぎ、市民の健康を守ることを最優先に考え、平成24年度から自治会への防疫用薬剤の配布については、現状を踏まえ、中止する方向で検討してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、シティズンシップ教育の必要性についての認識についてのお尋ねでございますが。現在子供たちを取り巻く社会環境は、ネット社会の進展などに見られるように、急速かつ大きく変化しております。こうした環境変化の中で薬物乱用、非行、いじめ等の問題行動の多発、出会い系サイトや学校非公式サイトなど、インターネット上の有害環境の発生など、子供たちをめぐるさまざまな問題を発生しております。また、ニート、フリーター、若年失業者の増加、青少年間で拡大する格差なども見逃せない大きな社会問題となっております。このような社会状況において次代を担う子供たちが健やかに成長していくためには、大人の社会に出る前の子供のころから社会を生きていく力を身につけることが必要となってきます。
近年、イギリスを初め、欧米諸国を中心にシティズンシップ教育として学校教育において導入されていると聞いております。また、日本においても若年層の投票率の低下やニートの増加等、自発的に社会とかかわりを持つ環境が失われている状況にあることから、市民一人一人が社会参加していくために必要な能力を身につけるシティズンシップ教育が注目されております。
このような中で、京都府八幡市の小中学校や東京都の小中学校、さらには神奈川県の小中学校、高等学校などにおいて、シティズンシップ教育として取り組んでいると伺っております。よりよい社会を実現するためには、子供たちが規範意識を持ち、社会参加するための能力と態度を身につけることが重要であることなど、その必要性については十分認識をしているところでございます。
いずれにいたしましても、シティズンシップ教育につきましては、子供たちの社会性、市民性を高め、社会に貢献する自立した社会人を育成するため、今後とも教育委員会と連携して取り組んでいかなければならないと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。
教育長答弁
それでは、菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
まず、(仮称)中央図書室におけるビジネス支援事業についてのお尋ねでございますが。ご案内のとおり、中央図書室につきましては、中央エリアにおける図書サービスの利便性を高めるという視点から、このたび越谷駅東口再開発ビル内に(仮称)越谷市市民活動支援センターの機能の一つとして設置することになったものでございます。
初めに、利用開始時の提供サービスの内容についてでございますが、越谷駅前という立地条件のよい場所にあるため、通勤通学途中の勤労者や学生を初め、子供連れの買い物客等、大変多くの利用客が見込まれることから、短時間滞在型の駅近立ち寄り型図書室をコンセプトに、子育て支援機能も含め、利用者層に配慮したサービスを展開していきたいと考えております。
お尋ねのビジネス支援事業につきましても、中央図書室の持つべき機能の一つとして位置づけており、資格取得のための情報誌、会社情報、企業情報、キャリア教育のための企業に関する資料等を多く整備してまいります。また、インターネット検索用パソコンを設置し、有料データベースを導入することにより、新聞、雑誌記事や法律関係の情報等のビジネスに有用なサイトが利用できるようにしてまいります。さらに、図書館システムを活用し、本館、北部図書室、南部図書室とネットワーク化されたサービスを提供することにより、市全体の蔵書について検索と予約も可能となり、時間的に制約のあるビジネスマンにとって図書サービスがより身近なものになると考えております。
次に、ビジネス支援図書館として位置づける考えはとのお尋ねですが。中央図書室は駅前という好立地条件下にありますことから、さきに申し上げましたとおり、駅近立ち寄り型図書室としてさまざまな階層の方々に身近に図書サービスを提供できるという利点はありますが、あくまでも市民活動支援センターの機能の一つでございますので、蔵書能力を初め、ビジネス支援機能にも一定の限界、制約があります。したがいまして、ビジネス支援図書館として位置づけることは難しい状況にありますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、シティズンシップ教育の必要性についての認識についてのお尋ねでございますが。シティズンシップ教育は、目まぐるしく変化する現代社会において、子供たちが将来、市民として十分な役割を果たせるように、近年、欧米諸国を中心に学校教育で導入されてきたものであり、子供たちが参加型民主主義を理解、実践するために必要な知識、スキル、価値観を身につけ、行動的な市民となることが目的の一つとされております。
近年、若者の就業意識の低下、社会的無力感や投票率の低下を初めとする政治的無関心は深刻な問題とされ、より早い段階で将来を担う世代に社会的責任、法の遵守、地域やより広い社会とかかわることなどを教えるシティズンシップ教育は大変有意義なものであると認識いたしております。
現在の市内小中学校におきましては、小中学校ともに社会科の学習等を中心に子供たちの社会性、市民性、市民的行動力をはぐくんでおります。小学校中学年では地域の公共施設の見学、体験活動、インタビュー等を通して公民的知識の基礎を、小学校高学年ではより具体的に市の政治、国の政治について学習しております。また、中学校では、3年生の公民的分野でさらに詳しく地方自治を含めた政治の仕組みについて学習すると同時に、より参画意識を高めるために模擬選挙を行うなど、学習課程を工夫したり話し合い活動等を取り入れたりしております。既に新学習指導要領が全面実施となっている小学校においては、社会科の我が国の政治の働きに関する学習の単元において身近な具体的事例を取り上げ、問題解決的な学習などを一層充実させることにより、知識、技能を習得させるとともに、よりよい社会の形成に参画する知識や能力の基礎を培うことを重視して学習を進めております。
さらに、来年度から新学習指導要領が全面実施となる中学校においては、公民的分野において民主政治の意義、国民の生活の向上と経済活動とのかかわり及び現代の社会生活などについて、個人と社会とのかかわりを中心に理解を深め、現代社会についての見方や考え方の基礎を養うとともに、社会の諸問題に着目させ、みずから考えようとする態度を育てることを目標としております。
いずれにいたしましても、教育委員会といたしましては、公民的資質の基礎を養うことの重要性を認識し、今後とも社会科の学習等を中心に子供たちの社会性、市民性を高めてまいりたいと存じますので、ご理解賜りたいと存じます。
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