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■議会報告

次に、ワーク・ライフ・バランスにおける労働、雇用の面での取り組みについてのお尋ねでございますが。ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と仕事以外の生活を調和させ、性別、年齢を問わず、だれもが働きやすい環境を整え、その両方を充実させるという考え方でございます。各事業所におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みとしては、少子化対策、介護支援及び男女共同参画の観点から産休、育休、介護休業制度や育児、介護に係る短時間勤務制度などの導入、また労働時間削減等の観点からノー残業デーやフレックスタイムなどの柔軟な労働時間制度の導入など、さらにハード面では企業内保育施設の設置などの取り組みがあります。このような取り組みが、働く人の意欲や業務効率化による生産性の向上、また従業員の生活全体の質の向上につながり、結果として事業経営に好影響をもたらすものであり、ワーク・ライフ・バランス推進は事業主の経営戦略の一つとして重要と考えられます。
そのためには事業経営者の意識改革が必要という考え方から、本市では、事業経営者等を対象に労働基準法を初めとする労働関係の知識の習得を目的とした労働学院においてワーク・ライフ・バランスをテーマに取り入れ、実施しております。ちなみに、平成22年度は5日間の講座で参加者は51人となっております。また、毎年11月に実施している優良事業所・優良従業員等表彰事業においては、ワーク・ライフ・バランスの取り組みが積極的な事業所を優良事業所の表彰基準に追加するなど、事業所におけるワーク・ライフ・バランスの取り組み支援を強めております。さらに、ワーク・ライフ・バランスに関連するチラシ、パンフレットの配布やホームページ等への掲載など、情報提供もあわせて行っております。今後につきましても、庁内関係課はもとより、埼玉県等の関係機関と連携を図りながらワーク・ライフ・バランスの推進に努めてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、子育ての面での取り組みについてのお尋ねでございますが。平成20年に内閣府が実施した仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に関する意識調査において、希望と現実に乖離があることが明らかになっております。内容的には、希望は男女とも仕事、家庭生活、地域、個人の生活の優先が一番多くなっておりますが、現実は仕事優先となっております。一方、結婚や出産、子育てをめぐる国民の希望と現実の乖離の要因には、雇用の安定性と継続性、仕事と生活の調和の度合い、育児不安などがあると指摘されております。本市が平成21年に実施した子育てに関する実態調査においても、国の調査と同様に仕事優先の傾向となっております。また、育児についても、約9割が主に子供の世話をしている人は母親であると回答しており、育児の負担が母親に集中していることが明らかになっております。
このような状況の中で、子供の健やかな成長や子育て家庭を支援することを目的に策定した本市の次世代育成支援行動計画後期計画では、子育てしやすい就労環境づくりの支援を目標の一つに掲げております。結婚、出産しても働き続けることができ、仕事と子育てを両立させるため、これまでの仕事優先の働き方を見直し、ワーク・ライフ・バランスの視点に立って、育児や家事の負担を家族で協力していく体制づくりと職場での理解と協力が必要であるとしております。
本市では、仕事と子育ての両立を支援するため、現在、公立、私立を合わせ32カ所の保育所を設置し、通常保育のほか地域交流事業や障がい児保育、延長保育等、きめ細かな保育サービスを実施しております。このほか、利便性の高い駅前に、多様な保育ニーズに対応するため、保育ステーションを市の南北に2カ所設置するとともに、病気の回復期における一時預かりを行う病後児保育事業を行っております。また、低年齢児保育の補完的な役割を担っている家庭保育室の充実に努めております。さらに、登録会員が1,000人を超えるファミリーサポートセンターでは、保育所の送迎や日中預かりなど子育てに関する多様な市民ニーズに対応しております。また、学童保育室については全小学校区に設置するとともに、学校や地区センター・公民館を利用した放課後子ども教室を実施し、放課後児童の健全育成を図っております。さらに、地域における子育て支援事業として、地域子育て支援センターや子育てサロンなど16カ所の拠点を設け、乳幼児を抱える親子同士の交流や相談の機会を提供し、子育て家庭の不安や悩みなど負担感の軽減を図っております。このような本市の子育て支援事業の取り組みは、子育てに関して一定の要件を満たした市町村が認定される埼玉県の地域子育て応援タウンとして今月末には認定されることとなっております。いずれにいたしましても、仕事と子育ての両立などを軸とするワーク・ライフ・バランスの推進に努め、子育てするなら越谷と言われるよう、子育てしやすいまちを目指し、今後も子育て支援施策の充実に一層努力してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、男女共同参画の面での取り組みについてのお尋ねでございますが。男は仕事、女は家庭に代表される男女の固定的な役割分業が見直され、男女がその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を図る上で、仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスの推進は極めて重要なものと考えております。そのためには、市民だけでなく、労働、雇用の面での取り組みと同様に企業経営者の意識改革も必要となってまいります。
そこで、平成23年3月に新たに策定いたしました第3次越谷市男女共同参画計画において引き続きワーク・ライフ・バランスに関連する施策を位置づけ、男女共同参画支援センター「ほっと越谷」などにおいてさまざまな事業を実施しております。具体的な取り組みといたしましては、仕事と生活の調和をいかに図るかを視点とし、仕事と子育ての両立や父親の子育て参加などをテーマにした講座等の開催や、本市のホームページはもとより、「ほっと越谷」情報紙による情報提供を中心に市民への意識啓発を行っております。また、ワーク・ライフ・バランスの推進は、企業にとって企業の効率化や従業員の定着率向上などにつながり、経営戦略としても多様なメリットがあります。そのため、今年度からは新たにワーク・ライフ・バランスを推進することによるメリットや市内事業主における取り組み事例などをまとめた啓発用リーフレットを作成し、市内企業の経営者に配布する取り組みを行っております。いずれにいたしましても、男女共同参画社会の実現に向けてワーク・ライフ・バランスの取り組みが定着するよう、関係部署、関係機関との連携を図りながら、市民や企業経営者への可能な限りの情報提供や意識啓発に引き続き取り組んでまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。以上でございます。
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