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■議会報告

教育長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問にお答えいたします。
資源の乏しい日本は、ものづくり産業によって今日の成長をもたらしてまいりました。菊地議員さんのご指摘のとおり、日本が誇る最先端技術は近年海外に生産の主体が移りつつあるという現状からも、これからの日本の科学技術を支える子供たちの教育に大きな期待が寄せられております。21世紀は、新しい知識、情報、技術が、政治、経済、文化を初め社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す知識基盤社会の時代であると言われています。科学技術の分野におきましても、競争力と生産性の向上がますます激化していくものと考えられます。科学技術立国を目指す日本にとって、科学技術の基盤である理科教育の充実がますます重要となってまいります。
こうしたことをかんがみて、新学習指導要領の教育内容に関する改善事項の一つに理数教育の充実が示され、平成21年度より段階的に授業時数の拡大と新学習指導要領の指導内容の追加履修を行っております。これを受けて、本市の各学校においても、小学校3年生の身近な自然の観察の学習では、校庭や近くの公園などに生息している生物の様子を調べ、土の様子や樹木の状況など環境とのかかわりについて体験的に学習したり、中学校1年生の光と音の学習では、簡単なカメラや楽器などを自分の手でつくり、原理や仕組みの理解を深めたりするなど、子供たちの五感を働かせ、実感を伴った理解に努めております。さらに、科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや、理科で学習することがさまざまな職業と関係していることについても授業の中で触れております。
教育委員会といたしましては、授業の質をより一層高めるために、小学校理科授業充実研修会や中学校理科指導法研修会を行うことで教員の指導力の向上を図っております。また、昨年度、学校ICT環境整備事業により全校に無線LAN対応のコンピューターと大型テレビを配備し、子供たちにとって魅力的で興味、関心が高まる視聴覚教材が提示できる環境を整備しました。現在、すべての教員が授業の中でICT機器を有効に活用できるよう、指導主事が各学校に出向いて直接アドバイスを行うICT出前研修会を実施しております。理科の授業におきましては、火山の仕組みや星の動きなど、観察や実験が困難な学習内容においてICTを活用し、わかる授業、思考や興味、関心を高める授業を行っており、児童生徒からは、授業がよくわかる、もっと知りたいといった声が寄せられております。今後も、観察や実験などの実体験を重視しながら、ICTも効率よく活用して理科好きの児童生徒を育ててまいります。
続きまして、科学技術体験センターミラクル、児童館コスモス、ヒマワリと学校教育との連携についてでございますが、これらの施設は、科学技術や地域の自然に関する豊富な情報源であり、理科好きな児童生徒を育てる上で学校との連携は極めて有効であります。そこで、ミラクルの学校利用として、小学3年生と5年生、中学1年生を対象とした科学実験教室と工作体験教室を実施しております。また、コスモスでのプラネタリウムを利用した天体の学習やヒマワリの栽培体験学習など、各学校のニーズに対応した体験活動を実施しております。こうした取り組みから、多くの子供たちが、学校では体験できない実験やものづくり、本物に触れる体験などを通して理科に対する興味、関心を高めております。さらに、越谷市科学教育振興展覧会や発明創意工夫展、科学おもちゃ作品展やロボット競技会などを開催し、児童生徒の創造力や探究力を高める機会も設けております。
各学校では、3館との連携に加え、地域人材を特別講師に招いた授業や学区内の施設を利用した体験学習なども行っております。今後、新学習指導要領に規定されている体験的な学習をさらに充実させるためにも、学校と関連施設との一層の連携を図り、理科離れ解消、理科好きの児童生徒の育成に努めていきたいと考えております。
最後に、理科系、工業系の高等学校に進学した子供たちの状況につきましてご説明いたします。平成21年度の越谷市立中学校を卒業した生徒は2,923人、そのうち工業に関する学科に進学した生徒は126名、理数系に進学した生徒は12名でございます。工業系、理数系に進学した生徒の割合は4.7%、学校数は10校でございます。
工業高校に進学した生徒のその後の進路状況ですが、近隣の工業高校を対象に調査したところ、工業系の大学への進学率は26%、工業系の専門学校への進学率は11%、工業系の企業等への就職率は約38%であり、高校での専門的な学習と進路先が結びついている生徒の割合は約75%でございます。また、理数科に進学した生徒の進路先は、ほぼ全員が理工系の大学に進学しております。理科好きな生徒の中には、普通科など工業系、理数系以外の学科に進学した者も多くおりますが、その中には理工系の大学に進学する者も多く見受けられます。
いずれにいたしましても、将来の日本の科学技術を支える人材がこの越谷からも生まれるよう、教育委員会といたしましては今後も引き続き理科教育の充実に努めていく所存でございますので、ご理解を賜りたいと存じます。
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