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■議会報告

教育長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
まず、「親学」推進についてのお尋ねでございますが。親学とは、親の学習と言われているもので、家庭教育の中の一つと位置づけられており、子育て中の親を対象とした、親が親として育ち力をつけるための学習と、近い将来親となる中学生や高校生を対象とした、親になるための学習があります。近年、都市化、核家族化、少子化、地域における地縁的なつながりの希薄化等により、家庭の教育力の低下が指摘されており、親の学習を通した家庭教育の充実が一層求められております。
お尋ねの「親学」推進についての取り組みでございますが、本市では埼玉県で作成した親の学習プログラムの趣旨を踏まえた各種事業を展開しているところでございます。具体的な取り組みといたしましては、親が親として育ち力をつけるための学習では、平成21年度に小中学校や公民館と連携して子育て講座を開催いたしました。小学校では就学時健診時に、中学校では1日体験入学時に、それぞれ保護者等を対象に講座を開催し、5,833人の方に参加いただきました。このように、保護者が多く集まる機会を活用し、親子の触れ合いや子育てに必要な知識などを学習していただいております。また、公民館におきましても子育て支援団体等との連携により、乳幼児、少年期の親子や成人を対象に家庭教育学級、親子教室を41事業、174回開催し、延べ5,044人の参加をいただきました。さらに、昨年10月には東南地区私立幼稚園協会との共催事業、東南地区子育てフォーラムを越谷コミュニティセンターで開催し、私立幼稚園児の保護者や教職員等を対象に、幼児期の子育ての留意点、家庭教育や子育てのあり方等について学習したところでございます。
また、親になるための学習につきましては、赤ちゃんとの触れ合いや交流を通して、親について学ぶ機会を積極的につくり出していくことが重要であると考えております。さらに、中高生にとって乳幼児や親と触れ合う体験は、子供を育てる親の思いや責任、大切さを知るよい機会であり、近い将来親となり子育てに直面した際に、有益なものになると考えております。
こうした中で、本市におきましては既に平成19年度に中学校やPTAを初め、子育て支援団体の協力をいただき、赤ちゃんとのふれあい講座を開催したほか、平成21年度には市内小中学校において乳幼児とのふれあい体験を初めとし、生徒が幼児に主体的にかかわる学習活動を技術家庭科の授業の中で実施しました。いずれにしましても、親学を推進していく上で家庭教育の果たすべき役割は極めて重要と考えております。今後とも家庭教育を推進する団体と連携を図りながら、親学の推進に取り組んでまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
次に、民間団体の事業に対する支援についてのお尋ねでございますが。教育委員会では、民間団体が行う事業について越谷市教育委員会における後援等の基準及び手続に関する要綱に基づき、一定の基準を満たすものについて団体からの申請により後援、協賛、共催の承認を行うとともに、関係機関への周知の協力をしているところでございます。
また、事業内容によっては、教育センター等の相談窓口において適宜情報提供を行っているところでございます。今後につきましても、民間団体が実施する事業については、事業内容を踏まえつつ後援等を行うとともに、ポスター掲示の協力等を通して市民の皆様に情報提供するなど、側面からの支援を行ってまいりたいと存じますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、郷土意識の醸成について、現状の取り組みはとのお尋ねでございますが。本市では、昭和40年代から都市化が進展する中においても昔ながらの景観をとどめ、水郷こしがやと呼ばれるほど多くの河川や用水が市内を縦横に流れ、その豊かな水と緑に恵まれた自然や風土を初め、歴史や伝統など多くの文化的要素が現存しております。郷土意識を醸成するには、市民の皆様が住んでいるまちに愛着心を持ち、郷土に対する誇りを高め、郷土の歴史や伝統、文化を理解していくことが重要であると考えております。
そこで、教育委員会といたしましては、郷土芸能祭の開催を初め下間久里の獅子舞、北川崎の虫追い、木遣りなど、古くから地域に伝わる伝統行事や、芸能を通して郷土文化を理解していただく取り組みを行っているところです。また、市内に点在する文化財を紹介し、市民の歴史への関心を高めております。さらに、名主のたたずまいを現代に伝える大間野町旧中村家住宅におきましても、生涯学習、学校教育における郷土、歴史、文化の体験学習の場として活用を図り、郷土の歴史について理解を深めていただいています。
いずれにいたしましても、先人たちがはぐくんできた郷土の歴史や伝統、文化に対し、市民の皆様がより一層理解を深め、郷土意識の醸成が図られるよう今後も普及、啓発のための事業を進めるとともに、郷土の文化的財産を後世に継承するための後継者育成に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
また、学校教育における郷土意識の醸成の現状の取り組みについてでございますが、グローバル化社会が一層進展する中、子供たちが自分の国や郷土の伝統や文化について理解を深め、尊重する態度を身につけるとともに、自分とは異なる文化や歴史に敬意を払い、他の人々と共存する態度を身につけさせることが重要であります。改正教育基本法第2条の教育の目標にも「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が規定されたところでもございます。
本市では、菊地議員さんのご指摘にもありましたように、市内の史跡や施設等を見学し、実体験を踏まえた学習とすることで、児童生徒に郷土越谷をより深く理解させる学習を進めております。そのほかにも総合的な学習の時間、理科、道徳等の時間、さまざまな機会をとらえ児童生徒一人一人に郷土に誇りを持ち、大切にする態度を育成するように取り組んでおります。具体的な例といたしましては、総合的な学習の時間における越ヶ谷小学校の木遣り、越谷太鼓の体験、新方小学校の地域の方を招聘してのネギの栽培活動、北越谷小学校の絶滅危惧種フジバカマの研究、食育のかかわりで学校栄養職員等が小学校全校で行うクワイ等の地場産業の紹介などによって、郷土越谷の伝統や産業、自然等を理解できるように活動しております。また、道徳教育では郷土を愛する心を育てる学習を各学年で行っております。これからも教育基本法の趣旨を生かした教育活動を推進し、児童生徒に郷土越谷を愛する態度を育成するために学校を支援してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、教科書についてのお尋ねでございますが。ご案内のとおり教科書は、全国の教育水準の維持向上や教育の中立性を確保し、義務教育の充実を図ることを目的として、全国で使用されることを前提として編さんされております。ご質問にございました郷土についての学習を行う小学校3、4年の社会科では、地域の一員としての自覚を持つ、地域社会に対する誇りと愛情を育てること等を目標にして、地域の産業や消費の様子、生活環境及び安全を守るための諸活動等について学習します。こうした地域に根差した学習を行うに当たって、教科書には具体的に郷土越谷のことが触れられていないことから、独自に教科書の内容を補足し、児童が郷土越谷についてより深く理解できるように副読本「わたしたちの越谷」を作成し、毎年改訂しております。
この副読本を編集するに当たっては、だるまづくりや虫追い、獅子舞、オビシャ、節分等のふるさとの行事、葛西用水などを多角的、総合的に取り上げ、郷土越谷の産業や伝統文化、歴史等が児童にとって理解しやすいものになるよう留意しております。また、「わたしたちの越谷」の指導計画も作成し、経験の浅い教員でも質の高い授業が展開されるよう工夫しております。さらに、ことしの3月には市内の全小中学校45校に50インチのデジタルテレビ、ノートパソコン、DⅤDプレイヤーをワンセットにして校舎の各階に配置するとともに、校内LANを設置したところでございます。これに合わせて授業で活用できるように、越谷市制施行50周年記念誌のすべての写真を学校系ネットワークのデジタルコンテンツに掲載し、いつでも取り出せるようにいたしました。また、今年度は「わたしたちの越谷」で使われている写真も掲載する予定でございます。これからも児童にとって親しみやすい副読本となるよう工夫するとともに、ICTを活用しながら郷土越谷に対する誇りと愛情を育てることができるよう各学校を支援してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、「越谷いろはかるた」等の活用についてのお尋ねでございますが。越谷いろはかるたにつきましては、市民活動団体がふるさと越谷の再発見を目的として、越谷の歴史、文化、自然等を題材にした読み札、絵札を独自に作成したものでございます。一方で、郷土のかるたとして埼玉県教育委員会と埼玉県子ども会育成連絡協議会が、埼玉の有名な人物や美しい自然、文化や産業を札にした彩の国21世紀郷土かるたを作成しております。本市においては、越谷市子ども会育成連絡協議会と教育委員会の主催でかるたとり大会を毎年開催し、郷土愛の普及と青少年健全育成の推進に活用しているところでございます。
郷土かるたは、かるたの1枚1枚をひもとくことによって、深く郷土の成り立ちを知ることができ、歴史、地名、文化、自然等をより身近に学ぶことができます。また、かるたを通じて仲間づくりができるほか、家庭団らんの話題ともなることから、子供たちの健やかな成長の一助になるかと思います。越谷いろはかるたの活用といたしましては、今年度実施する放課後子ども教室の14教室に配備し、遊びの一つとして取り入れていくほか、学校には校長会等で授業での活用方法について紹介し、活用について広げてまいります。いずれにいたしましても、郷土かるたは市民に郷土を愛する心を養うよい機会となることから、今後各種事業等において郷土、越谷いろはかるた等を活用して郷土意識の醸成を図ってまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、仮称「越谷地図の日」制定についてのお尋ねでございますが。本市は、江戸時代には日光街道第3の宿場町として栄え、徳川家康や徳川秀忠がたか狩りの際に宿泊された形跡が越ヶ谷御殿跡として残されているなど、歴史上有名な人物が宿泊、あるいは休憩の地として訪れております。江戸後期の測量学者で日本地図を作成した伊能忠敬も、その中の一人であることは、越谷市史にその記述はないものの、伊能忠敬の測量日記に6月11日、旧暦の4月19日、江戸深川を出発し、同日大沢宿のはたごに宿泊されたことが記されていると伺っております。しかし、残念なことに本市には、その記録を記した文献や古文書、宿泊に関する記録等も残されていない状況にございます。現在さまざまな記念日がございますが、地図を学ぶ愛好家の方々の中では、伊能忠敬が第1回目の測量で蝦夷地に向かって出発した4月19日を独自に地図の日と定め、地図に関する調査研究をされているようでございます。菊地議員さんより、越谷地図の日制定とのご提案でございますが、宿泊、休憩の地としてさまざまな歴史上の人物が本市に数多く訪れておりますことから、本市固有の地図の日を制定することは大変難しいものと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
なお、今後は生涯学習の一環として、市民の皆様に歴史や文化、関連性のある歴史上の人物などをテーマとした学習の機会を提供できるよう検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
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