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■議会報告

市長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えいたします。
まず、予算編成についてのお尋ねでございますが。関連がございますので、一括してお答えさせていただきます。ご案内のとおり予算編成の過程における公表や市民参加には、いろいろな形態がございます。各査定段階における状況を公開する方法、また新規事業について我孫子市で取り組んでおりますが、市民の意見を求め、その意見も加味して査定を行う方法、また習志野市のように地区別の市民要望を取りまとめ、予算に反映させる手法などがあるようです。これらの手法につきましては、予算編成過程の透明性の向上や、予算に対する市民の意識醸成を図るための一つの方策となっております。導入の背景には、地方自治体の財政危機があり、従来のように行政が住民すべてのニーズに対応することが財政上困難であるため、住民に協力を仰がざるを得ないという事情もあるようでございます。
お尋ねの予算編成過程の可視化につきましては、本市では予算編成過程での情報公開はしておりませんが、当初予算の概要を初め半期の状況等をまとめた「越谷市のざいせい状況」や、市の財政状況をわかりやすく解説した「越谷市の財政事情」のほか、市の資産等の状況をあらわした「財務書類4表」などをホームページ等で公表しております。さらに、本年6月1日より平成22年度の予算書及び説明書や事業別予算説明書をホームページで公表するなど、財政情報の提供に努めているところでございます。
また、お尋ねの市民ニーズを把握するシステムにつきましては、本市では毎年度の予算編成の指針となります総合振興計画の策定に当たりましては、さまざまな手法により市民の皆様に参画をいただいております。ご案内のとおり、平成23年度からスタートします第4次越谷市総合振興計画の策定に当たりましても、平成21年度から地区ごとにまちづくり会議を開催するとともに、市民懇談会や各種アンケート調査を実施するなど、自治基本条例に基づき広く市民の皆様の意見が基本計画に反映できるよう取り組んでいるところでございます。なお、新規事業につきましてはそれぞれの所管部内で優先順位をつけるとともに、妥当性、効率性、有効性、貢献度を視点に検証した行政評価制度の結果を参考に事業の採択をしております。
また、地区ごとへの予算枠を設けて住民に協議してもらう手法につきましては、地区まちづくり推進計画に基づき実施する事業及び地域の特性や特色を生かした事業について、各地区のコミュニティ推進協議会から事業提案をいただき、予算の範囲の中で配分を行っております。
いずれにいたしましても、市民の皆様への積極的な情報の提供に加え、市民ニーズの予算への反映は重要な事項と認識しております。今後は、さらなる透明性の向上を図るため、他市の実施事例を参考に予算編成過程における各部からの予算要求概要等の公表や、市民ニーズを把握する手法、まちづくり助成金のあり方等について調査研究してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りたいと存じます。
次に、市民の声を聞く仕組みについてのお尋ねでございますが。本市では、市政に関する情報を適切に伝えるとともに、市民の意見や提言を聞き、市民と行政の間に良好な関係を築く、いわゆるパブリックリレーションズの理念に基づき広報広聴活動を行っております。とりわけ市民の声を市政に反映させることは重要であると考えており、これまでも広聴活動の中でさまざまな市民の声をお聞きしてまいりました。平成10年度からは、市長が市民からの意見や提言をお受けする市民の提案制度を実施しており、平成21年度の実績といたしましては、市長への手紙346件、メール209件、ファクス15件となっております。このほか市役所へ来訪、電話、面接などが218件、合計いたしますと788件のご意見、ご要望が寄せられております。
また、昨年9月からは越谷市自治基本条例が施行されましたが、本条例では協働と市民参加を基本原則としており、協働と参加を原則としたまちづくりを進めていくためには、広く市民の声を聞き、行政と市民とが相互理解を深めていくことが強く求められております。こうしたことから、このたび私が直接市民の皆さんと懇談する機会を設けることとし、「なんでも話そう市長とふれあいミーティング」を実施いたします。永井議員さんのご質問にもお答えをしたとおり、このふれあいミーティングは広く市政に関心のある方から、ご意見やご要望をお聞きするものです。本年度は13地区センターを拠点とし、地域の課題を中心に自治会連合会各支部、地区コミュニティ推進協議会のご協力をいただき、実施する準備を進めているところでございます。具体的には、7月下旬から8月にかけて、13地区において開催してまいりたいと存じます。本年度は、13地区で地域コミュニティ組織の皆様の協力で開催いたしますが、来年度以降はさまざまな市民活動団体、市政の施策などのテーマに沿った懇談を予定しており、詳細については検討を進めているところでございます。
いずれにいたしましても、開かれた市政運営を目指して市政情報を適切に提供するとともに、市民の声を市政に生かし、市民を主人公とした自治のまちづくりを進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、越谷市における「協働化率」についてのお尋ねでございますが。ご案内のとおり、今日の社会経済情勢の変化により地方分権が一層進展するとともに、地域や自治体独自の特色あるまちづくりが求められております。また、厳しい経済情勢は、市民ニーズのすべてにおいて対応することが困難となっていることから、市民と行政がパートナーとなって連携し、それぞれのアイデアと役割分担においてまちづくりに取り組むことが重要となっております。
協働化率については、杉並区において平成17年度に行財政システムの構造改革を目指してスマートすぎなみ計画が策定され、平成22年度までに事務事業評価の事業数のうち6割をNPO等との協働や民営化、民間委託が採用されている事業とする指標とされております。この計画により、NPOや民間団体と協働で事業を実施することにより、柔軟できめ細かなサービスの実現ができ、サービスの向上につなげていくというものでございます。また、民間と市が互いの役割分担を明確にすることで、協働に対する意識の醸成が図れるなどの効果が得られるものとして実施されております。
本市におきましては、協働化率について同じとらえ方はしておりませんが、平成21年度に本市の行ったNPOやボランティア団体との協働事業等の調査結果によりますと、心身障がい者地域デイケア事業でのNPO法人への助成事業や、男女共同参画支援センター管理事業委託など51事業、事業費として2億8,549万円の実績がございます。事業委託や事業共催、事業協力など形態はさまざまでございますが、このことにより市民活動団体には活動資金を確保することや、実績として次の事業の足がかりとなっていると伺っております。行政としては、きめ細かな市民サービスを提供するとともに市民ニーズの把握をすることができることから、この協働事業によりお互いの特性が生かされ、より効果的な成果が得られております。いずれにいたしましても、自治基本条例に掲げる協働を進めるに当たり、先進事例や本市の実情に適した協働の姿について調査研究をしてまいりたいと存じますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、民間団体の育成についてのお尋ねでございますが。ご案内のとおり市内には、各自治会を初め地区コミュニティ推進協議会等の地域コミュニティ組織やNPO法人などの市民活動団体がございます。この市民活動団体等は、協働の担い手として地域の課題解決等に取り組んでおります。例えば地域コミュニティ組織の自治会や地区コミュニティ推進協議会は、地区の独自性を生かした地区フェスティバルや地域の安全、安心を図るための防犯活動や防災訓練などを実施しております。地域活動団体の活動により、従来行政だけの取り組みでは解決に時間を要するような地域の課題を住民みずからの視点で解決の糸口を見出したり、また柔軟な発想で地域に合った事業を展開し、地域力の向上や地域コミュニティの醸成に寄与していただいております。
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