■議会報告

さらに、今年度におきましては、昨年度から進めております本市の新たな産業振興の指針となる産業振興ビジョンの策定に取り組んでおります。産業は、越谷に住み、働き、生活するすべての人々が生き生きとした暮らしを実現できる都市の魅力や活力を生み出す原動力であり、自立都市の形成において地域産業の活性化は主要な柱になると考えております。
このような観点から、本ビジョンにつきましては、商業、工業、農業等の方向性や将来像を明らかにしつつ、その将来像を実現するための指針、また今後の産業振興施策の新たな展開を図っていくための指針となるよう取りまとめていきたいと考えております。
なお、本ビジョンに基づく産業施策等を展開していくためには、最上位計画となる総合振興計画に盛り込むことが必要となります。本市におきましては、本年度から来年度にかけて第4次の総合振興計画の策定に取り組んでおりますことはご案内のとおりでございます。この総合振興計画における産業振興と雇用対策に係る分野につきましては、本ビジョンにおける施策展開の方向性や考え方を基本にしつつ、産業振興と雇用拡大に資する新たな施策展開を積極的に推進することを念頭に取り組んでまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、地方分権の進展、少子高齢化社会、さらには長引く景気低迷など、地域産業を取り巻く環境は非常に厳しい状況でございます。このような中で本市産業の9割以上を占める中小企業の持続的発展、活性化は、豊かで活力あるまちづくりにとって極めて重要と考えております。したがいまして、本市の産業振興と雇用対策に関しましては、国、県を初め、越谷市商工会、ハローワーク越谷など関係機関と連携を密にし、積極的に展開してまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、耕作放棄地の再生と農産物の地産地消についてのお尋ねでございますが。食料自給率の向上が叫ばれる中で、耕作放棄地の再生が大きな課題になっています。平成17年の農業センサスにおいては、全国では埼玉県の面積に相当する約38万ヘクタールの耕作放棄地があるとされており、本市におきましても200ヘクタールを超える耕作放棄地があると集計されております。
農地は我々が生きていくために必要な食料を生産するだけでなく、環境保全や景観形成、治水や生態系保持など、さまざまな分野において多面的機能を有しています。この貴重な農地を本来の耕作状態を維持しながら良好な状態で保全することは大変重要なことであると考えております。
本市の耕作放棄地の実態といたしましては、農産物の作付、栽培はされていないものの、耕うん、除草などが定期的に行われ、農地として管理されているものが大半であります。しかし、今後農業従事者のさらなる高齢化や農地の相続などにより耕作放棄地が増加することが懸念されるところです。このようなことから、今後とも農業委員会等と連携し、きめ細かく耕作放棄地の把握に努め、担い手への農地の利用集積や地域性を生かした農地の有効利用、市民農園、体験農園での農地利用、景観事業での農地利用等に努めてまいりたいと考えております。
次に、地産地消の推進につきましては、本市は東京から25キロメートル圏に位置し、大勢の消費者を周囲に抱えております。また、古くから市場の要望にこたえて、良質な農産物を生産する技術を持つ農業者が数多くおり、地産地消を推進する上での優位性がある地域であると考えています。
このようなことから、これまで農産物直売所の整備や学校給食等での地場農産物の利用、各種イベント等の機会を活用した地場農産物のPR等に積極的に取り組んできました。特に昨年11月にオープンした農産物直売所グリーン・マルシェは地産地消の推進拠点としての役割が期待されており、先日行われた産業フェスタでも地元の新鮮野菜を買い求める皆様でにぎわい、今後の運営に期待が持てるところでございます。
このようにこれまでの地産地消に対する取り組みは着実に成果があらわれており、今後もこれらの取り組みを充実させていく考えでございます。あわせて地産地消をさらに推進していくためには、農産物の直売だけでなく、食品の製造、加工、流通、販売に携わる企業や事業者など、商工、観光関係者との連携、協力が必要であると考えています。これら農業関係者以外の方々との調整や情報交換を積極的に行い、より多くの地場農産物を地域の食材として利用する仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、耕作放棄地の再生や地産地消の推進を含めた今後の農業施策の方向性につきましては、越谷市産業振興ビジョンや第2次越谷市都市農業推進基本計画の策定の中でしっかりと検討してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、「公共交通機関を事業者との綿密な連携により拡大に努める」とあるが、この考え方についてのお尋ねでございますが。公共交通機関は市民の皆さんの日常生活を支え、だれもが利用できる身近な移動手段として欠くことのできないものと認識しております。バスに関しましては、これまでも市民の皆さんから多くのご要望をいただいております。本市では、既存路線の充実や新規路線の実現に向けて毎年、庁内関係各部、バス事業者、警察などをメンバーとする越谷バス網整備研究会を開催し、市民要望の把握や情報交換を行っております。おかげさまで、現在バス事業者6社により34路線66系統の路線バスが市内各方面に向けて、東武伊勢崎線及びJR武蔵野線の各駅から運行されております。今後とも、交通空白地帯と言われる地域の解消はもとより、高齢社会への進展、社会情勢の変化に合わせたバスの役割を念頭に置きながら、市民の皆様の利便性、安全性のさらなる向上を図るため、引き続き取り組んでまいります。
また、鉄道に関しましても、市民の皆さんから多くのご要望をいただいております。東武伊勢崎線については、2市2町で構成する東武伊勢崎線整備促進協議会において、駅施設のバリアフリー化及び輸送力の増強、北越谷以北への高架化等についての要望活動を引き続き実施してまいります。
JR武蔵野線については、8市で構成する武蔵野線旅客輸送改善対策協議会において、輸送力の増強、列車運行形態、駅施設の改善等についての要望活動を引き続き実施してまいります。
地下鉄8号線については、平成12年1月の運輸政策審議会答申第18号において、2015年までに整備に着手することが適当である路線として位置づけられました。そこで、沿線の埼玉県、千葉県、茨城県に及ぶ9市2町で構成する地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会においては整備促進に関して調査研究を行うほか、事業化検討調査を実施しております。なお、埼玉県内のルートについては、越谷レイクタウンルートとして一本化が図られております。答申を得てからおおむね10年が経過しましたが、今後とも地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会と連携し、関係機関への要望活動を引き続き実施してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、公共交通機関の拡充と利便性の向上のため、事業者の実態把握に努め、より一層事業者との綿密な連携を図り、その拡大に努めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、治水対策についてのお尋ねでございますが。関連がありますので、一括してお答えいたします。ご案内のとおり、さきの10月7日から8日にかけて大型の台風18号は、強い勢力を保ちながら8日の早朝に愛知県の知多半島付近に上陸し、本州上を北東に縦断しながら、東海・関東を中心に大雨をもたらしました。
本市では8日の未明から雨が強く降り始め、8日の総雨量は136ミリメートルに達しました。時間最大雨量は、8日午前3時から4時の1時間に48ミリメートル、8日午前2時から5時までの3時間で106ミリメートルの大雨を記録いたしました。本市では、7日午後1時45分に災害対策本部を設置、警戒体制第1配備を施行し、排水機場及びポンプ場、合わせて32カ所、固定式応急ポンプ、移動式応急ポンプ、約50カ所の排水ポンプにより内水排除を行うなど、被害の発生、拡大防止に努めたところでございます。しかしながら、短時間に集中した降雨により、市内各所において住居の床上浸水19件、床下浸水19件、道路冠水による道路の通行どめ17カ所等の浸水被害が発生いたしました。
お尋ねのせんげん台駅東口周辺につきましては、道路のかさ上げ、雨水幹線や連絡管等の整備により、総じて道路冠水等の浸水被害は減少傾向にありましたが、近年の集中豪雨はこれまでにない局所的かつ短時間に大雨を降らせ、浸水被害を発生させており、当該地域におきましてもたびたび浸水被害が発生しております。今後につきましては、さらなる雨水幹線等の整備や台風等の大雨のときに設置する排水ポンプ場の増強、常設化等の浸水対策について検討してまいります。
また、大袋駅東側周辺につきましては、現在公共下水道事業計画に基づく雨水幹線等の整備がされておりません。このため、当該地域に降った雨は既存の排水路等を経由し、周辺の雨水幹線等に排水されております。こうしたことから、集中豪雨等の大雨が降りますと一部排水不良を来し、道路冠水等の浸水被害が発生しております。今後につきましては、雨水幹線等の整備に向け検討を進めてまいります。いずれにいたしましても、総合的な治水対策を進め、地域の治水安全度の向上に取り組んでまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
以上でございます。
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