■議会報告

●令和6年12月定例議会
市長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
まず、ネーミングライツ(命名権)の導入についてのうち、現在の検討状況についてのお尋ねでございますが。本市では、これまでネーミングライツ導入の課題や問題点の整理を行うため、近隣自治体へのアンケートの実施や、近隣自治体への視察、導入可能対象施設の検討など、ネーミングライツに関係の深い部署を中心に協議を重ねてまいりました。また、ネーミングライツに対する事業者の関心や参加意欲などを把握するため、市内に本店のある事業者への意向調査を実施し、関心のある対象施設を把握するとともに、ネーミングライツに関心がありそうな事業者を個別に訪問し、導入に向けた条件や、より具体的な意向をヒアリングするなど、導入可能性調査を実施してまいりました。
その結果、事業者からは、企業としてのメリットが少ない、施設を買収したイメージになるのではないか、企業側が問題等を起こしたときに、市民に迷惑がかかるなどといったご意見をいただきました。ネーミングライツの導入には、事業者にとってのメリットなどのほか、施設名称の変更に伴う施設案内板や市の刊行物の修正、市民や施設利用者の混乱などといった様々な課題が挙げられ、慎重な対応が求められる一方で、本市の自主財源確保の方策として有効な手段であることも認識しております。引き続き、他市の取組状況などを調査研究し、導入に向けて協議を進めてまいります。
次に、役務提供型についてのお尋ねでございますが。ネーミングライツは、市と民間事業者等の契約により、市が有する施設等に愛称を付与させることで、市が対価を得るものですが、役務提供型はその対価をネーミングライツ料といった金銭ではなく、施設の維持管理等の役務の提供を受ける手法であると認識しております。他市において、愛称付与の対価として金銭ではなく、公衆トイレの維持管理等の役務の提供を受けるといった事例もございますので、役務提供型のネーミングライツについても調査研究してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
次に、eスポーツを活用したまちづくりについて、eスポーツの取組の現状と今後についてのお尋ねでございますが。eスポーツは、海外では2000年代からプロリーグが発足し、世界大会が開催されるなど普及が進んでおります。国内では、2019年に開催された茨城国体の文化プログラムに採用されたことを契機として、徐々に社会的な認知度も高まっており、中には来場者が1万人を超えるeスポーツイベントも開催されるなど、年々市場規模が拡大し、またファンの数も増加している状況にございます。
このような中、本市においては、子供から高齢者まで世代を問わず、誰でも参加し、楽しむことができるというeスポーツの特性を生かした取組を始めたところでございます。具体的には、先月開催した市民体育祭において、デジタルコンテンツを活用した健康づくり、交流づくりを目的として、eスポーツブースを設置し、小学生やその家族など延べ約140人の市民の方にご参加をいただきました。また、老人福祉センターひのき荘において、利用者の認知機能の低下の予防、さらには交流の促進を目的として、先月の上旬にeスポーツの体験会を開催した後、機器を利用してeスポーツを楽しめる場を設けており、11月末現在で延べ70人の方の利用がございます。今後につきましては、こうした取組の効果の検証などを行いながら、本市の各種施策へのeスポーツの活用について、様々な観点から調査検討してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
次に、「ゼロカーボンシティ」共同宣言と森林保全についてのうち、こしがや・おがの交流の森についてのお尋ねでございますが。本市では、脱炭素の推進とともに森林環境譲与税の有効活用を図るため、令和5年5月1日に越谷市と小鹿野町との森林整備の実施に関する協定を締結いたしました。この協定では、森林の保全及び地球温暖化対策の推進を図るとともに、森林を活用した自然体験を伴う交流事業を実施し、相互の交流促進を図ることを目的としております。令和6年度の取組といたしましては、本市の森林環境譲与税を活用して、小鹿野町の協力を得ながらこしがや・おがの交流の森内の下草刈り、遊歩道の手すりや階段の改修を実施したほか、今後間伐や枝打ちの森林整備を実施してまいります。この森林整備により得られる二酸化炭素吸収量につきましては、本市の区域内において発生する二酸化炭素排出量と埋め合わせができることから、今後、埼玉県森林CO2吸収量認証制度に基づくカーボンオフセット認証手続を埼玉県に行う予定でございます。
また、森林の果たす役割やその重要性についての理解を促進するため、市内在住の小学生や中学生がいる家庭を対象に、小鹿野町の木である紅葉の苗を約8か月間自ら育ててもらい、その苗をこしがや・おがの交流の森へ植樹するイベントを実施いたしました。令和6年2月3日に実施した、紅葉の苗を各家庭に持ち帰り、自ら育てていただく苗木のホームステイの配布イベントには、合計で70名の参加がありました。その後、令和6年11月16日に実施した苗木のホームステイで育てた紅葉の苗を、こしがや・おがの交流の森へ植樹するイベントには、合計で34名の参加がありました。当日の参加者からは、植樹した紅葉が大きくなるまで見守りたい、緑を大切にしたいと思うようになったなどの意見があり、環境に対する意識の醸成が図られたものと認識しております。
今後の取組につきましては、小鹿野町との協定に基づき、こしがや・おがの交流の森で間伐や植樹などの森林整備を実施するとともに、入り口の案内看板の設置を検討するほか、将来を担う小学生や中学生を中心に紅葉の植樹など、森林を活用した自然体験を伴う交流イベントの実施について、小鹿野町と協議を行いながら取り組んでまいります。
私からは以上となります。
教育長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
まず、「ゼロカーボンシティ」共同宣言と森林保全についてのうち、越谷市ふれあいの森についてのお尋ねでございますが。越谷市ふれあいの森事業は、国の分収造林制度を活用し、子供たちや市民の皆さんに、市内では味わうことができない自然との触れ合いを通して、自然環境の保全や保護の大切さ、自然との共存を考える機会を提供することを目的とした事業です。分収造林とは、国が森づくりを希望する造林者に国有林を無償で貸与し、造林者が植樹、保育、管理の全てを手がけ、成木を伐採する際に、その収益を造林者と国で分け合う制度でございます。
本市では、分収造林越谷市ふれあいの森づくりとして、昭和61年度から平成17年度までの20年間にわたり、福島県二本松市、会津若松市、浪江町、福島市の4地区、20事業地、約71ヘクタールに延べ1万692人の市民参加により、杉やヒノキなど22万8,800本を植樹してまいりました。また、平成6年度から平成30年度までの25年間にわたり、樹木の枝打ちやつる切り作業等を中心としたふれあいの森育てる集いを開催し、延べ1,079人の市民の皆さんにご参加いただきました。
事業地の現状としましては、さらなる生育には専門的な技術が必要なことから、市民参加による間伐等の保育作業に移行し、最終的な伐採に向けた森林の保育を進めているところでございます。現時点の計画では、令和17年度に最初に植樹した二本松市内の事業地についての伐採を行い、以降他の事業地についても、順次伐採を進めていく予定としております。今後につきましては、引き続き現地を管理する森林管理署と連携を図りながら、伐採に至るまでの管理を進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、環境学習についてのお尋ねでございますが。授業での取扱いについては、第3期教育振興基本計画に環境教育の推進を位置づけ、児童生徒一人一人が環境問題を自らの問題として認識し、持続可能な社会の担い手となるよう、学習の充実を図っております。小中学校においては、生活科や理科等の授業における植物の栽培や観察、田植や収穫を行う農業体験等、自然に直に触れる学習を通して、情感豊かな心を育んでおります。
また、全小学校において実施している越谷生物多様性子ども調査では、こしがや環境サポーター等の支援をいただきながら、ビオトープを中心としたトンボに着目した実態調査を行い、身近な環境について実践的に学んでおります。さらに、総合的な学習の時間等を利用して、蛍の飼育をしたり、川の水質調査をしたりして、環境について考える取組をしている学校もございます。森林保全につきましては、例えば小学校5年生の社会科では、「わたしたちの生活と森林」という単元を通して、森林資源の果たす役割や森林の育成、保護に従事している人々の様々な工夫と努力が、国土の保全に重要な役割を果たしていることなどを学ぶとともに、森林を守っていくために自分たちにできることを考える学習を行っております。
また、中学校の社会科の地理的分野では、南アメリカ州の学習において、アマゾン川流域の人々が熱帯林を守りながら農業に従事していることについて学習しております。教育委員会といたしましては、環境教育主任を対象とした環境教育研修会の実施などを通して、教職員の指導力向上を図るとともに、令和4年度からデジタル化した環境教育資料しらこばとに実践事例を掲載し、環境教育のさらなる推進を図っております。
次に、校外学習の現状についてのお尋ねでございますが。林間学校や修学旅行等の校外学習は、学習指導要領では特別活動の学校行事に位置づけられ、平素と異なる生活環境にあって見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、よりよい人間関係を築くなど、集団生活の在り方や公衆道徳などについての体験を積むことができるようにすることを狙いとしております。校外学習の内容や実施方法については、この狙いの達成に向け、児童生徒の実態に応じて各校で判断しております。
校外学習の行き先として山間部を選択している学校につきましては、例えば小学校の林間学校においてハイキングやオリエンテーリングを行い、自然の雄大さを味わう体験をしている学校がございます。また、修学旅行においては、山や湖を訪れて自然に親しんだり、スキー教室では雪山の自然を感じながら、自然の偉大さや厳しさを体験したりしている学校もございます。校外学習での様々な体験を通し、自然のよさやすばらしさを多くの児童生徒に経験させるとともに、各教科等での学習と結びつけることで、より深い学びとなるよう各校で工夫をしております。教育委員会といたしましては、今後も人と自然に優しい、情感豊かな子供の育成を目指した環境教育を推進してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
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