■議会報告

教育長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問に順次お答えをいたします。
言語教育のさらなる充実についてのお尋ねでございますが。まず、英語教育を小中連携の観点も含めて5年制として捉えることにつきましては、教育委員会では越谷市教育振興基本計画「いきいきとだれもが夢に向かって輝く越谷教育プラン」の中で、「自立して生きていくための基礎となる確かな学力を育む」の施策の一つとして小中学校における英語教育の推進を掲げております。具体的な取り組みといたしましては、小学校では、語学指導助手、いわゆるALTを計画的に配置し、ICT機器やデジタル教材を活用しながら、聞く、話す、体験活動を通して英語になれ親しむ学習活動を充実させております。中学校でもALTやICT機器等を活用し、聞く、話すに読む、書くを加えた4つの技能の基礎を培い、さらにスピーチや英作文など、表現する力を高める授業づくりを進めております。
議員さんご指摘の小学校5年生から中学校3年生までの5年間を見通した英語教育につきましては、円滑な接続を期して、英語に対する学習意欲の継続を図るとともに、各小中学校に学習到達目標を具体的に示した本市独自の中学校英語「Can―Doリスト」を配付し、小中一貫教育を意識しつつ、英語によるコミュニケーション能力が確実に養われるよう取り組んでおります。また、外国語活動・英語教育連携推進校を小学校及び中学校に委嘱し、中学校1年生での英語学習に円滑に取り組めるようになった。伝え合い、活動における意欲の向上が見られたや継続的な学習活動による理解の深まりが見られた等の研究成果を市内小中学校に広めております。
思考力、判断力、表現力の育成につきましては、これらを育むために必要な言語活動の充実について重点的に取り組み、言語活動の具体的な内容の周知を図るために、市内全ての教員に教育委員会で作成した言語活動の取り組みをまとめたブックレットを配付しております。また、機会あるごとに指導主事が学習の狙いを達成するための効果的な言語活動のあり方について指導しております。さらに、1時間、1時間の授業実践において、学習指導要領の趣旨が確実に具現化されるよう、各学校で作成する年間指導計画の中に言語活動と表現力の育成に有効なICT活用の2点について明確に位置づけることを指導しております。実際の小中学校の授業では、じっくりと課題に向き合い、自分の考えを深めている子や自分の思いや考えを進んでノートに書いたり伝え合ったりしている子など、学習指導要領が目指している児童生徒の姿が見てとれることを実感しております。
次に、日本の伝統・文化・歴史もしっかり身につけるための日本語教育につきましては、小学校3年生から詩や短歌及び俳句等の韻文の学習を行い、日本語の持つ響きや日本語のつくり出すリズムの美しさに気づかせる学習を行っております。特に季節の移ろいの中で、微妙なニュアンスを変える言葉の使い方は、言語文化の大切なところとして意識して学習できるよう各学校において指導しております。また、「竹取物語」、「枕草子」など、古典の冒頭の部分を暗唱し、日本語の響きやリズムの美しさに触れる学習を行っております。中学校では、よりさまざまな古典文学や俳句、短歌等の韻文の名作を学習し、日本語の美しさや価値の高さについて感覚的に学ぶとともに、係り結びなどの表現方法や文法的な内容についても学習をしております。また、「平家物語」における「扇の的」や「敦盛の最期」、「徒然草」、「奥の細道」などについて歴史的な背景とともに学習し、日本の伝統的な文化や日本人の繊細な美意識などに触れる学習も意識的に行っております。
次に、2つの言語を織り交ぜた独自教科の採用につきましては、ただいま申し上げましたとおり、本市では国語教育はもとより、英語教育の推進や言語活動の充実に重点的に取り組んでおりますので、現在独自教科の採用は考えておりませんが、今後も研究委嘱や訪問指導を通して、英語教育及び各教科における言語活動の充実を図ってまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
いずれにいたしましても、教育委員会では、引き続き知的活動の基盤やコミュニケーションや感性、情緒の基盤となる言語能力が一層高まるよう、児童生徒の生きる力を育む越谷教育を推進してまいります。
次に、子供たちを事故や犯罪等から守るための取り組みについてのお尋ねでございますが。まず、スマートフォンの使用指導につきましては、ながらスマホ等を含めたSNS等に係る児童生徒の被害及び加害の防止を図る上で、正しい使用方法や判断力を育成するための情報モラル教育の充実は重要な課題と捉えております。教育委員会といたしましては、これらの情報化の進展に伴う課題を踏まえ、今年度新規事業として、情報モラル教育の推進を教育行政の重点施策に掲げ、情報モラル教育や情報リテラシー向上を図る教育の一層の推進に取り組んでおります。具体的な取り組みといたしましては、各学校におけるデジタル教材を活用した授業、全ての小中学校の担当教員を対象とした情報モラル教育研修会や希望校の要請に応じて指導主事が訪問する出前研修会、児童生徒対象の出前授業、保護者や地域の方々を対象とした講演会を実施し、子供たちのスマートフォンの正しい使用方法について啓発を続けております。また、情報モラル教育充実に向け、デジタル教材「事例で学ぶNetモラル」や「ICT活用事例ハンドブック」を各学校に配付し、家庭の協力を得ながら有効活用するように指導を進めております。加えて、教育委員会が独自に作成した情報モラル教育啓発資料漫画「ネット警備隊ねっぱとくん」での、ながらスマホの危険性や犯罪につながる使い方などをテーマに内容を充実させてまいります。今後とも学校、家庭、地域と連携し、子供たちのスマートフォンの正しい使用方法について指導を進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
次に、振り込め詐欺にかかわらせないための取り組みについてと越谷市暴力団排除条例に基づく教育の現状についてのお尋ねにつきましては、関連がございますので、一括してお答えをいたします。
これら2つのことは、児童生徒の規範意識の醸成に大きくかかわる部分であると認識しております。児童生徒の規範意識の醸成については、学校におけるさまざまな教育活動、例えば教科の授業、道徳の授業、学級活動や学校行事において意図的、計画的、継続的に行われているものでございます。特に非行防止教室は、児童生徒の規範意識の醸成、人への思いやりなどの豊かな心の育成、健全で安全な生活態度や習慣の形成、自己判断力の育成などを図るため、現在市内全45小中学校において、年間1回以上実施されております。この非行防止教室は、学級、学年または全校を単位とする集会においての教員による指導だけでなく、外部の関係機関である越谷警察署生活安全課、埼玉警察本部非行防止指導班「あおぞら」などから招聘した講師により、具体的な事例等を交えた講話などにより実施されております。内容は、振り込め詐欺を初めとする犯罪に関与しないことについて、犯罪から身を守ることについて、そして暴力団排除条例に関することについてなど、各学校の実情や児童生徒の発達段階に合わせた内容や回数で実施されております。この取り組みにより、学校が家庭、関係機関及び地域社会と一体となって児童生徒の規範意識の醸成及び非行、問題行動の根絶や犯罪防止の意識の高揚を図っております。その他、埼玉県警察本部生活安全部による振り込め詐欺被害防止啓発ポスターコンクール作品募集を紹介したり、埼玉県警察本部刑事部が作成している暴力団の悪影響から青少年を守るためのリーフレットを毎年中学1年生全員に配布したりするなどし、犯罪被害を防止するとともに、犯罪の加害者にならないための啓発指導を行っております。
いずれにいたしましても、教育委員会では、今後も子供たちが事故や犯罪に巻き込まれないよう、非行防止教室の一層の充実を推進するなど、子供たちの規範意識の醸成や子供たちを犯罪から守るための取り組みがより一層行われるよう、引き続き学校に指導してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
消防長答弁
それでは、ただいまの菊地議員さんのご質問にお答えをいたします。
消防職員のストレス対策についてのお尋ねでございますが。消防職員は、火災を初め救急、救助など凄惨な現場で活動することが多くあります。惨事ストレスの対策については、惨事ストレスが危惧されるような現場から戻った後に、それぞれの隊でグループミーティングを行い、惨事ストレスの軽減を図っているほか、必要に応じて市の健康管理スタッフによる個別相談を初め、産業医、シニア産業カウンセラー、精神科医、臨床心理士へ相談する体制をとっております。また、惨事ストレスの研修として、総務省消防庁が主催する惨事ストレス対策研修会や埼玉県が主催する惨事ストレスセミナーなどに職員が参加するとともに、職員のメンタルヘルス対策を含め、消防本部で研修会を開催いたしております。さらに、惨事ストレス対策を職員及びその家族に周知するため、総務省消防庁が発行した「ご家族の皆さんにも知ってほしい~消防職員の惨事ストレス」の冊子を職員全員に配付いたしました。また、全国消防協会が発行した「もうひとつの闘い~語ることができない消防士~」、「消防士たちの惨事ストレス」の冊子を各所属に配付するとともに、全職員がパソコンで閲覧できるようにいたしております。
これに加え、大規模災害や特殊災害などが発生したときには、市の健康管理スタッフによるサポートなどのほか、総務省消防庁では、消防本部等の惨事ストレス対策を支援するため、精神科医や臨床心理士等による緊急時メンタルサポートチームの派遣を行っており、必要に応じて派遣を要請することとなっております。
なお、平成23年3月11日に発生いたしました東日本大震災におきましては、本市から緊急消防援助隊として陸前高田市へ派遣した職員に対しまして、グループミーティングの実施、所属長による個別面談、市の健康管理スタッフによる個別面談、惨事ストレスに関するパンフレットの配付を行いました。今後につきましても、引き続き惨事ストレス対策を実施し、職員の健康管理に努めてまいります。
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