越谷市議会議員 きくち貴光
 
 

■議会報告

 

●平成22年6月定例議会

Q1-①.質問


 議長の許可をいただきましたので、さきに通告してあります5項目、十数点について順次質問をさせていただきます。
 まず1項目め、予算編成についてお伺いいたします。改めて申し上げるまでもありませんが、平成22年度の越谷市の当初予算は、3月議会において予算特別委員会での審査を経て本会議で可決しました。総額は1,397億150万円となっております。この中には、新規事業として22件、細かいものを含めると32件あるというふうに聞いております。
 新規事業の予算の内容ということについて、昨年の3月議会に当たって新政クラブでは、21年度予算案について予算特別委員会の前に、その概要の説明を各担当に求めました。また、22年度予算案における新規事業22件については、今度は桜井地区6人の議員共同で事前説明を求めました。昨年と違いまして、ことしは共通のフォーマットでの資料のため大変見やすく、わかりやすいものでした。資料作成に当たっては、担当の方々大変ご努力があったというふうに思っております。
 実は、6人の議員共同で事前説明を求めたのには理由がございまして、桜井地区の6人の議員で、議会終了後に開かれた議会を目指して、市政報告会を地区の住民の方に対して行っております。今のスタイルになってから1年以上、前段のスタイルからですと2年以上、既に実施をしております。その中で市民の方から、予算が議会で決まる前に、なぜ市民に説明がないのかという意見が出されました。市民からしますと、自分たち市民はまず主権者である、さらには当然のこととして納税者でもあるということで、決まった後にだけ知らされるのはいかがなものかと、せめて決まる前に概要だけでも知らされないものなのかというような話がございました。予算の原資は、まさに市民の皆様方の税金でございまして、納めた当人であるにもかかわらず、現状では使い道が決まった後に知らされるという形となっております。もちろん厳密に言うと、予算特別委員会に傍聴に来ていただければ、少なくともその予算案、予算書を見ながら、正式に決定する前に予算の中身を知ることはできます。しかし、それでも予算案に対して直接意見を述べるような仕組みとはなっておりません。
 そこで、まず1点目ですが、予算編成過程の可視化についてお伺いいたします。この件につきまして、実際に取り組んでいる千葉県我孫子市に調査に行って来ました。その我孫子市では、平成18年度の予算案を編成するときから予算編成過程を市民に公開し、市民からの意見を聞く仕組みをとっています。具体的には、約1,200ある事務事業のうち新規事業について、年によって異なりますが、大体100から150ほどあるそうですけれども、その事務事業の名称や内容、予算予定額、さらに市の事業における優先度、これは4段階設定しているそうですが、その優先度も含めて記載をして公表をしております。それに対して市民からのパブリックコメントを求め、その意見などを参考にしつつ、市内部で検討を加えるという作業を数回にわたって繰り返し行い、最終的に執行部としての予算原案を固めるという形となっております。ここで重要なのは、それぞれの新規事業に実施の優先順位がつけられているということです。その優先順位は決して固定的なものではなく、政策を精査する過程においても変わりますし、あるいは市民からの意見によっても上がったり下がったりもしています。つまり個々の事業が市全体の中でどのように位置づけられているのかが、だれの目からもわかるという仕組みとなっています。
 そこで、質問ですが、予算編成過程の可視化というものについてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。平成22年度における新規事業は、先ほどもお話ししましたが事務事業数で22、細かいものを含めると32ありましたけれども、例えば平成23年度予算案の編成において、そういった新規の事務事業だけでも、担当部署から市長までの決裁過程、その理由を明らかにし、その都度パブリックコメントで市民の意見を求めるという仕組みを整える考えがあるかどうか、それについてお伺いいたします。

 

Q1-②.質問


 2点目として、市民ニーズを把握するシステムについてお伺いいたします。この件につきまして、千葉県習志野市に調査に行ってきました。習志野市では、小学校区単位でまちづくり会議というものを16設けています。起源は古く昭和40年代、平成4年から現在の仕組みにしているとのことですが、自治会、PTA、子ども会、高齢者団体、学校、消防、警察、地域ボランティアの方、それから習志野市の独自の制度ですけれども、職員の方々をそれぞれの地域に地域担当という形で割り当てをして、その職員の方々もまちづくり会議に加わっているという形となっております。多いところでは、年に10回以上会議を開催しているとのことです。この会議の中で、地域の問題点や課題点などを抽出して議論をし、それぞれについて優先順位を地域の中で考えた上で、市に要望を挙げています。要望を挙げる際の会議を特にまちづくり予算会議と称しているそうですが、単純な地域の要望ということではなく、あくまでも地域の中で優先順位を話し合った上で、その要望を挙げるという仕組みになっています。実際に平成22年度の予算編成に当たっては、それぞれの地区から合計で267件の要望が挙げられて、そのうち89件が予算組みされたそうです。また、市が関与するものではなく県や警察などが対応すべきものは、そのまま地域の要望としてそれぞれ伝えるという仕組みもとっているとのことです。なお、寄せられた要望に関しては、予算案が3月議会で通った後のまちづくり会議で地域に結果を戻し、具体的に何が通り、何が通らなかったのかをフィードバックする仕組みとなっています。
 そこで、2点目の質問として、市民から予算への要望を聞く仕組みとして、13地区それぞれに地域の問題点、課題点を議論してもらい、地区センターなどを経由してその中身を聞く仕組みをつくってはどうでしょうか。その際に重要なのは、地区内での問題点、課題点を一切合財要望として挙げるのではなく、あくまでも地域の住民同士で個々の問題点、課題点の優先順位を考えてもらった上でです。つまり限られた財源をより有効に活用するために、納税者である市民にも考えてもらおうということですが、そういったシステムを整備することについてお考えをお伺いいたします。

 

Q1-③.質問


 3点目に、地区ごとに予算枠を設けて住民に協議させる考えはについてお伺いいたします。その前に、習志野市の先ほどの16あるまちづくり会議の話を少し続けますと、267件の要望のうち、道路の維持管理、改善等が112件で42%、カーブミラーや防犯灯の設置が41件で15%、公園の維持管理、改良等が34件で13%、下水、河川、ごみ問題が33件で12%、自治活動、防災、防犯に関する事項が16件で6%、学校、幼稚園に関する事項が2件で1%、その他が29件で11%となっています。習志野市の場合ですと、267件の要望に対して89件が予算化されました。それらは特別な枠ではなく、あくまでももともとの事業予算の枠の中で予算化をされています。
 今提案させていただくのは、先ほどの質問、地区からの意見を吸い上げる仕組みをさらに進めて、いっそのこと13地区それぞれに予算枠を最初から分配をするという考えです。例えば1,000万円、13地区ですと1億3,000万円になりますけれども、その1,000万円をどのように活用するかは、その地区ごとの意思とするものです。そうしますとどうなりますか、例えば2点目の習志野市のまちづくり予算会議の仕組みで、市に要望を挙げたものが市の担当部署の本予算にはつかなかったとしたときに、それを13地区それぞれに割り当てられた予算枠の中で対応して実現しようということも、もし本当に必要であればできるという形になります。あるいはもっと地区の特色や地域性を考慮する中で、それぞれの地域で施設を改良したり、学童保育を充実させたり、ひとり住まいの高齢者の方の支援をしたり、その地区ごとの問題点、課題点の中で何を優先的に取り組むべき事項なのかをそれぞれの地区の皆様方に考えていただいて、より機能的に予算を振り向けることができるようになるかというふうに考えております。この際に、繰り返しになりますが、あくまでも優先順位という考えのもとに行われることが重要ですし、また市民の皆様方にも主権者意識、当事者意識を持ってもらうような仕組みを考えることも必要になるかと思います。
 今後進むであろう地方分権、地域主権型社会においては、主権者たる市民に最も近いところで税と権限がコントロールされる仕組みをつくる、その必要があるかというふうに考えておりますけれども、地区ごとに予算枠を設けて住民に協議させるという考えについて、市長の見解をお伺いいたします。

 

 
 
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