■議会報告

●平成22年12月定例議会
質疑
それでは、議員提出第7号議案について3点お伺いします。
まず、1点目に、TPP参加への影響を農林水産省の例、幾つかの試算を挙げてこちらに記されておりますけれども、農林水産省以外の経済産業省や内閣府での見解がわかればお示しください。
次に、もし今回TPPに参加しなかった場合、日本の農業を含む産業はどのようにして発展させていくべきかお示しください。
最後に、参加しないと政府が判断した場合、今後世界の中で貿易自由化に向けて日本はどうするべきか、都合3点お伺いいたします。
よろしくお願いいたします。
提出議員答弁
ただいまの質問に対しましてご答弁申し上げます。
まず最初に、TPP参加への影響を農林水産省以外の経済産業省や内閣府での見解ということでございますけれども、政府は10月27日にアメリカやオーストラリアなど9カ国が交渉中の環太平洋戦略的経済連携協定に、このTPPに参加した場合、関税の原則撤廃によって日本の実質GDP、国内総生産ですけれども、2.4兆円から3.2兆円押し上げられるという内閣府の試算を発表しています。一方で、米など主要19品目の自由化は、実質GDPを1.6%押し下げる要因になるとの農林水産省の試算も公表しています。内閣府の試算は、APEC21カ国地域の自由化構想、アジア太平洋自由貿易地域に参加した場合は、実質GDPが6.7兆円、1.36%ふえるという、こういう試算も明らかにしております。
一方、農林水産省の試算では、農産物の生産額が4.1兆円減少して、食料自給率が14%に低下をし、先ほども提案理由で述べましたけれども、雇用も340万人減少するということをしています。また、経済産業省は、TPPに参加をしなかった場合、実質GDPが10.5兆円、1.53%減少して、雇用が81万2,000人減ると試算をしています。これは、農業だけではなく、関連産業と地域経済の破壊に直結をし、雇用破壊が進むということになるというふうな見解も示しているところです。
それから、もう一点ですね。参加しなかった場合、日本農業を含む産業をどのように成長させていくのかということでございますけれども、産業では安定した雇用、人間らしい労働のルールをつくるということだと思います。日本経済の根幹にふさわしく、中小企業を本格的に支援することがまずは重要だというふうに思っています。農業では、農林漁業の再生を行っていくこと、食料自給率の向上を目指して、農政を抜本的に転換するということがまずは求められるというふうに思っています。国際社会の求めに対しましては、日本は東アジア各国の農業の共存を目標に、地域内での食料不足への共同した対応が今後の課題となると考えています。水田、稲作中心とした日本の家族経営と農村経営の安定、国土、環境保全、食料自給率の向上などで協力を強めていくことが重要であると考えています。日本農業の自然的、社会的条件や多面的機能を考慮して、各国の食料主権を尊重する、貿易のルールを確率をして、関税、輸入規制措置など必要な国境措置を維持、強化することこそ必要であると考えます。日本のように、農業生産の条件に恵まれた国が、食料自給体制を整えて、他国からの食料輸入に依存せずに、他国の食料を奪わないことこそ国際社会に貢献をする道だと考えています。
それから、3点目の参加しないと政府が判断したとき、自由貿易化に向けてどうするかというようなことでございますけれども、自分の国の食料のあり方というのは、やはりその国で決めるという、食料主権、この立場が大事であるというふうに考えます。関税など国境措置の維持、強化、価格保証などの農業政策を自主的に決定する権利を保障する貿易ルールこそが日本にも、国際社会にも求められているというふうに考えます。私どもは、日本農業と地域経済、そして国民生活を土台から破壊するTPP参加には反対をしています。食料主権を保障する、貿易のルールを目指す、国民的な共同を呼びかけるという立場でも取り組んでいるところでございます。
以上で質問にお答えをいたしました。
再度の質疑
ありがとうございます。確認の意味でもう一点だけお伺いできればと思います。
今ほどいろいろとご説明いただきました中で、自給率その他いろいろお話しあったわけなのですが、こちらの数値で言いますと、言うなれば参加をした場合のデメリットというような部分だと思いますけれども、逆に参加をした場合にメリットというものが全くないのか、それとも少しぐらいはあるのか、そのあたりいま一度お示しいただければと思います。
以上でございます。
提出議員の再答弁
再度のご質問にお答えをしたいと思います。
メリット・デメリットというお話でございますが、私はいわゆる食料主権というこの立場で、日本の農業をどう守っていくのかという、先ほども農水省の試算を示しました。また、同時に経済産業省のほうでも数値を示しております。いわゆる閣内での見方が違っている、政府自身の閣内での見方が違っているというところにも、まだまだこの問題ではこれから十分な審査が必要なのかなというふうには思いますけれども、私どもはあくまでも日本の農業をどう守っていくのか、食料自給率がこれ以上下がってはならないという、こういう立場で考えておりますので、いわゆる参加した場合のメリットというところはなかなか考えにくいのではないかというふうに考えております。
以上です。
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